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孤独な翼

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孤独な翼

1 - 戦場での出来事

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2026年01月22日

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灰色の空の下、燃え残る街の瓦礫の間で、光の羽を背負った少年は剣を握って立っていた。

「悪魔は、倒すべき存在…」

教え込まれた言葉が、鐘のように頭の奥で反響する。

振りかざした剣に、まだ動く悪魔の影が映る。揺らめくその輪郭は弱々しく、今にも消えてしまいそうだった。

光が触れた瞬間、周囲の悪魔たちは音もなく崩れ落ちる。

塵となり、灰となり、風に溶けていく。

だが、その中でひとりだけ、膝をつき、震える手を差し伸べる影があった。

小さく、か細い呼吸。

傷ついた翼のような黒い影が、瓦礫に絡みつく。

少年の胸が、なぜかざわめく。

「…倒すべき相手…だよな…?」

呟きは、自分に向けた確認だった。

息を呑み、剣を止めたまま立ちすくむ少年。

悪魔は言葉もなく、ただ見上げてくる。

その瞳の奥には、恐怖や絶望、そして微かな諦めが交わっていた。

抗う力も、憎しみもない。

ただ、終わりを待つ者の静けさ。

その表情は、少年が想像していた「敵」のものとは少し違っていた。

少年は意識的に剣を握り直した。

けれど、心の奥底で、何かが動いた。

これまで『正義』と信じてきたものが、ほんの少し、揺れた瞬間だった。

瓦礫の間に残る静寂の中、少年の思考は途方に暮れる。

「守るべきものは、天界の秩序か?それとも、この小さな命か?」

問いかけは、答えのないまま、胸の奥で重く沈み込んだ。

その時、悪魔がかすかに口を動かした。

「…助けて…!」

たった一言。

それは悲鳴でも、呪詛でもなかった。

ただ、生きたいと願う音。

少年の鼓動が大きく跳ねる。

世界が、一瞬だけ音を失った。

剣先が、わずかに下がる。

決められた運命。

選ばれた役目。

揺らぐはずのない光の使命。

そのすべてが、静かに、しかし確実に軋み始めていた。

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