テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
灰色の空の下、燃え残る街の瓦礫の間で、光の羽を背負った少年は剣を握って立っていた。
「悪魔は、倒すべき存在…」
教え込まれた言葉が頭の中で反響する。振りかざした剣に、まだ動く悪魔の影が映る。
しかし、光が触れた瞬間、悪魔たちは一瞬で崩れ落ちた。その中、ひとり膝をついて手を差し伸べる影があった。
小さく震える姿。少年の胸は、なぜかざわめいた。
「…倒すべき相手…だよな…?」
息を呑み、剣を止めたまま立ちすくむ少年。悪魔は言葉もなく、ただ見上げてくるだけだった。
目の奥には恐怖や絶望、そして微かな諦めが交わっている。その表情は、少年が想像していた「敵」のものとは少し違った。
少年は意識的に剣を握り直した。――けれど、心の奥底で、何かが動いた。
これまで「正義」と信じてきたものが、ほんの少し、揺れた瞬間だった。
瓦礫の間に残る静寂の中、少年の思考は途方に暮れる。
「守るべきものは、天界の秩序か?それとも、この小さな命か?」
問いかけは、答えのないまま、胸の奥で重く沈み込んだ。
その時、悪魔がかすかに口を動かした。
「…助けて…!」
――たった一言。それは、少年の決められた運命を静かに、しかし確実に揺るがす合図だった。