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新しい店長が赴任してから、スーパーの雰囲気は一新された。
加えて、新しいバイトも入ってきたことから、歓迎会を開くことになった。
スーパーの仕事が終わった後、社員とバイトが集まって、貸し切りの居酒屋へ向かうことになった。
守にとって、これまで飲み会やイベントは、いつも避けてきたものだった。
しかし、今回は違う。盗撮事件の解決に貢献した主役として、彼も天城も参加を強制されたのだ。
普段なら絶対に断るはずの守だったが、強いられた参加に内心戸惑いながらも、どこか新しい自分を感じていた。
歓迎会が始まると、紗良はバイト仲間たちと笑顔で会話をしていた。
以前なら、紗良のそばにはしつこく付きまとう佐々木や森井がいたが、
今は彼女を囲むのは新しいバイト仲間たちだ。紗良の笑顔に、守は自然と目を奪われていた。
「楽しそうだな…」と、うっとりしたまま彼女の姿を見つめていた。
その時、隣から声がかかった。「守さん、本当に紗良のことが好きなんですね。」その声は天城だった。
守は慌てて天城を制し、「ちょっ、しーしー!声が大きい!」と焦った表情を浮かべた。
天城はいたずらっぽく笑みを浮かべ、「あはは、守さん必死」と、
楽しそうに守の反応を眺める。その笑顔に、守は思わずドキっとした。
「おじさんをからかうなよ。」と言いながら、守もつられて笑ってしまう。
天城の無邪気な笑顔は、守にとって意外なものだった。
「あんな笑顔もするんだな…」と胸の奥で感じながら、守はふとした感情に気づかされた。
普段はほとんど飲まない酒を口にし、守は少し酔いが回っていた。トイレで用を足しながら、
さっきの天城の笑顔が頭の中で繰り返される。
「はは、相変わらずイケメンだよな。」とぽつりとつぶやいたその瞬間、後ろから誰かが入ってきた。
振り返ると、そこには…
守はトイレで一息ついていたところ、突然、男子トイレの扉が開き、
驚くべき光景が目に飛び込んできた。そこに立っていたのは、パートの田中さんだった。
「田中さん!?ここ男子トイレです!」と慌てて声をかけたが、田中さんは何食わぬ顔で、
「ここ、共同なのよ」と言いながら守の背中にぴったりと寄り添った。
守は明らかに困惑し、「田中さん、酔ってるんじゃ…?」と聞いたが、
田中さんは守の下半身に視線を移した。
「や、ちょっと見ないでください!」守が慌てて遮ると、田中さんはニヤリと笑いながら、
「なによ、あの更衣室でバッチリ見ちゃったんだから」と、あの忌まわしい事件を引き合いに出してきた。
「そ、それは…!」守は焦り、早く場を離れようとするが
田中さんはしっかりと守の手を掴んで離さなかった。
「ちょっと、何してるんですか?」と必死に抵抗しようとする守に、田中さんは冷静に言った。
「私、藤井くんに謝らなきゃいけないと思ってたの…あの時は動揺しちゃって、本当にごめんなさい。」
田中さんはそう言いながら、さらに守の手首を強く握り、なんと彼をトイレの個室に無理やり引きずり込んだ。
「ちょっ、ちょっと待って!」と必死に訴える守だったが、個室のドアがガチャリと閉まり、
鍵が掛けられる。狭い空間の中、田中さんはゆっくりと上着のボタンを外し始めた。
彼女の手が守の股間に伸びた瞬間、守は驚愕しながら声をあげた。
「待って!やめて!」と守は必死に抵抗したが、田中さんはそれを気に留めることなく、
さらに体を密着させてきた。彼女の全体重が守に乗りかかり、守は息も絶え絶えになりながら叫んだ。
「お、重い…!」
「藤井くん、本当にありがとう…」と田中さんは耳元で囁く。
守は混乱しつつも、恐怖と焦りが入り混じった感情に包まれた。
そして突然、田中さんは静かに口を開いた。「私、店長に脅されてたの。」
その一言が、密室の空気を一変させた。守は耳を疑ったが、田中さんの顔は真剣そのものだった。
守は田中さんの言葉に動揺しながら、「脅されてた?」と問いかけた。
「昔ね、ちょっとエッチな動画に出ちゃって、それがバレたの」と田中さんは静かに語り始めた。
「それ以来、店長に時々セクハラされてたんだ」
守は驚きながらも、「そうだったんですか…」と、彼女の過去の苦しみを聞き入れた。
「お尻触られたところ、見たでしょ?」田中さんは恥ずかしそうに言った。
守は思い出し、苦笑しながら頷いた。「はい、見ました…」
「嫌いじゃないんだけどさ、さすがにスタッフの前ではね」と田中さんは苦笑いしながら続けた。
「田中さん…」
「私がなんて呼ばれてたか、知ってる?」田中さんは少し小声になり、守の耳元で囁いた。
「デビュー作品にちなんで、『肉便器』よ」
その言葉に守は衝撃を受け、「AVでしか聞いたことない…」と呟いた。
いつも明るく振る舞い、仕事をサボることもあったけれど、
誰よりも掃除を欠かさない田中さんが、あの店長にそんなひどいあだ名をつけられていたとは
田中さんはふっと虚ろな笑顔を浮かべ、
「私なんか、ここがお似合いなの。遠慮しなくていいのよ」とささやきながら
守の肩に身体を寄せてきた。彼女の豊かな胸が近づくのを感じ、守はどぎまぎしながらも、
田中さんの心に隠された痛みを感じ取っていた。
守はゆっくり田中さんを両肩をつかみ目をみながら言った
「田中さん、自分のことをそんな風に言わないでください」守は声を震わせながら必死に言葉を紡いだ。
「田中さんは…ちょっとエッチで、みんなを困らせることもあるけど、俺は知ってますよ!
田中さんが誰よりもきれい好きで、隅々までピカピカに磨いていること。休憩室も
店内も快適でいられるのは田中さんが毎日掃除をしているからです
そんな人が、に、肉便器なわけないでしょ!!」
その言葉に田中さんは驚いた表情を浮かべ、「藤井くん…」と感情がこみ上げてくるのを抑えられなかった。
「店長はもういないんです。だから、自分をそんな風に思うのはやめてください」と守は続けた。
すると、田中さんの瞳に涙が浮かび、次第にぽろぽろと流れ出した。
「そんなこと言ってくれたの、藤井くんが初めてよ…」と田中さんは泣きながら言った。
守は少し照れながら、「オレ、あのスーパーに何年も勤めてますから」と肩をすくめた。
田中さんは感極まって守に抱きつき、「嬉しい…」と涙を流し続けた。
守は一瞬、動揺したが、彼女の背中をそっと撫でた。
「さあ、行きましょう。みんな待ってますよ」と守は少し不器用に言った。
「うん」と田中さんは涙を拭いながら、ようやく微笑んだ。
2人は手を引き合うようにしてトイレを出た。