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ちゃんとお互いの好きを確認し合い無事付き合った俺たちは、毎朝待ち合わせて一緒に登校している。

「….ん、おはよう真」

「お、おう!!はよ!!」

そして、ほぼ毎日先にいるのは弦だ。

ぼーっと虚空を見つめて俺を待つ弦を見ると、寝坊助なのに頑張って早起きしてくれていると分かってどうしようもなく愛しくなる。

「手、繋いでもいい?」

「…!おう!!」

あれから何度か話し合って、俺たちの関係は皆には秘密にすることにした。俺はすぐにでも周りに話したかったし、正直自慢もしたかった。

けれど意外にも弦の方が、周りに話したがらなかった。自分が常日頃から周りからの視線を感じ不快感を抱いているため、公表することによって俺まで好奇の目に晒してしまうのが嫌なのだそう。

(どこまでいっても俺のこと考えてくれんだよなぁ….好きだな…)

なんて考えていると、すぐに校門が見え、弦が手を離す。

「…..早ぇもんだな」

寂しさを隠しきれずにそう言うと、弦が遠回り用の道に俺を引っ張る。念の為時間帯も早めに集合しているため、人通りは全くない。

「….弦?」

ある程度学校から離れた路地裏で、弦が俺を抱きしめる。

「….ごめん..あんまり可愛いこと言わないで….抑えられなくなる…..」

ぎゅうっと苦しくなるほどの力で俺を抱きしめて弦は言った。

「….なぁ弦…もうちょっとだけこうしてたい」

「っうん、俺も」

学校に着いても同じ教室の中にいるのに、どうしてこうも寂しくなるのだろう。

「….真、ちょっとだけ上向いて?」

「…ん」

俺の後頭部に手を添えて、キスをする。

俺は弦についていくのに必死で、少しでも気を抜くと息を忘れて膝から崩れ落ちそうになる。

「….真..好きだよ」

耳元で囁かれた瞬間、一気に足の力が抜け、へにょんと座り込んでしまった。

「っ真?!大丈夫!?」

「…げん…もっかい言って…」

「…うん..っ….」

それから10分程、何度も何度も弦に甘やかされた。少しだけ寂しさが消え、学校に向かう。

「なぁ弦、俺もお前好きだよ」

「ふふ、律儀だなぁ…ありがとう」

幸せそうに笑う弦を見て、余計に周りに公表したいという気持ちが押し寄せる。

この笑顔を、堂々と独り占め出来ればいいのに。

登校時間の30分前、校門につこうとしたときだった。

(ちょっと早すぎたな集合すんの….ってアレ?ん?!)

校門の前に立っていた、うちとは違う制服を着た男子生徒がこちらに目を輝かせながら走ってきた。

「弓矢せんぱーーーーーい!!!!!!!」

「…..げ」

(先輩….ってことは中学生か…!?俺より背高ぇ…..)

「弓矢先輩っ!!!もー何っで連絡くれないんすか?!!俺ついにここまで来ちゃいましたよ!!」

「….いやまぁ…どうせくだらないことだと思って…….」

「ちょ!相変わらず遠慮ないなぁ….そこも先輩の魅力ですけど!!!」

えへへっと人懐っこく笑うその子を見て、思わず弦の制服の裾を引っ張った。

「弦、この子は??」

(弦が取り繕わずに普通に接してるってことはかなり親密度高ぇんだろうな….)

流石に中学の頃の後輩にまで嫉妬はしないが、純粋に興味が湧く。人と距離を取りがちな弦が砕けた話し方をする貴重な人材だから。

「…あぁ、中学の部活の後輩で….1個下」

「どうも!!動明 封雅(どうみょう ふうが)です!!!!弓矢先輩にはお世話になってます!!」

「封雅くん!赤峙 真です、よろしくね!」

俺たちが軽い挨拶を交わした後、弦がはっとしたような顔になり封雅君に尋ねた。

「…ていうか封雅、学校は?」

「っあー……..」

「なぁ、もしかしてまたサボってる?」

「だ、だって……先輩いないから..」

すると普段周囲に対して全く微笑まない弦が微かに笑みをうかべ、ごねる後輩にデコピンした。

「なに馬鹿なこと言ってんだよ、行くって約束しただろ」

「せ、先輩が付き合ってくれたら俺だって頑張れますよぉ….!!!なんで振り向いてくんないんすか….」

その発言に激しく動揺する。

(….は?!え、何この子弦のこと好きなの?!!いやまぁ懐きすぎだなとは思ったけど!!!え、弦この子の気持ち知ってたの?!!)

「…だから、好きな人がいるってずっと言ってただろ」

「でも….俺の方が幸せにできますよ、何回振られたってこんなに好きなんだから!!!!」

「封雅…..あのな…そういう話じゃなくて…」

「っもう!!!!」

次の瞬間、封雅君は弦に抱きついた。

「….俺、本気です。こんな心臓バックンバックン言ってんの…伝わりますか….?」

「ちょ、封雅…..」

「と、とりあえず今日は帰りますすみませんいきなり!!!!!でもまた来ますから!!!考えてくださいね?!!!失礼します!!」

ニカッと笑って会釈した後、砂埃をあげながら走り去っていく後輩を見つめ、弦が吹き出した。

「っふふ…ほんっと元気だな」

確かに嵐のような子だったな….と呆然とした後、大事なことを思い出した。

「ってか!!あの子お前のこと好きだって!!」

あの子の発言から察するに、恐らく中学時代から弦に気持ちは伝えていたはずだ。

「あぁうん….言われる度に断ってるんだけど…ずっと真のことが好きだったし」

「そっその割には仲良いよなぁ〜…」

(弦なら、好意を寄せられていると気付いた時点で相手と距離を取りそうなものなんだけどな…)

「何度も逃げ回ったんだけどね….ふふっ…なんで追いつくんだろうなあいつ」

…後輩にまで嫉妬はしない…….けど!!!弦のこと好きなら話は別だよなぁ…抱きついてたし。

それに、他人に対しこんなに顔を綻ばせる弦を見たくなかった。

「ふーん…」

弦の大切な後輩である以上、気を遣わせたくなかった。だからできるだけ何ともないフリをした。

だけど、弦は俺の輪郭に手を添えて頬を撫で、目を細めて微笑んだ。

「もしかして真、ちょっと妬いてる?」

「え”っ….い、いや?!」

「ふーん」

そう言って弦は俺の頬から手を離し校門をくぐろうとした。

「うっ、うそ…ほんとは….ちょっとだけ」

「っ….ぁあ”ぁー….」

弦は振り向くやいなやしゃがみこんで唸った。

「ご、ごめんまじで大事な後輩なのにな!!まじで悪い!!!」

「違……可愛すぎるんだよ…抱きしめ…いやもう押し倒したくなるからほんとに…….」

「は、はぁ?!」

「….ていうかごめん、ほんとはちょっと狙った」

「へ、ね、狙っ?」

「うん….流石に最初からではないけど、封雅が抱きついてきたときの真の表情があんまりにも可愛くて….俺には真しかいないって俺が1番わかってるからこそちょっといじわるしたくなった」

へへっ、といたずらっ子のようなその笑顔に、困惑しながらも撃ち抜かれた。

「もっ….お前本ッ当イイ性格だな!!!」

「ごめんごめん、大好きだよ真。俺の目には真しか映ってない。」

「……誰にも渡す気ねぇからな」

「う”っ…..だから….あんまり可愛いこと言うなって………..うん、俺もだよ。封雅にもちゃんと付き合ってること話したい」

「!おう!!」

なーんかもう、一生敵わねぇな。

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