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今日は高3の頃のクラスの同窓会。「この後どうする〜?」
「カラオケでいいんじゃない?」
「コンビニでなんか買ってこー」
トントン拍子で2軒目が決定してコンビニへ。
お酒コーナーで足を止めると、好きなシリーズ2種類がどちらも新作を出している。
2本いく…?いや何人かお酒弱い人いるし
軽く飲むだけの2時間とかだよなー
3軒目ありそうだしなぁ
「なーにしてんの」
不意に肩に頭が載せられる。
「悩んでんの」
「…あー俺も悩むわ」
「どれとどれ?」
「Homieのライムか、濃梅の新作」
「ねぇ同じので悩んでた〜どっちかって言われたら?」
「濃梅」
「おけじゃあ私こっち買うわ、一緒に飲も」
どっちも飲めるのが嬉しくてにっこにこで
見慣れた顔を振り返る。
「…っ」
変な反応を見せたハルを置いてさっさと レジへ…行こうとすると右腕を引かれる。
「…なに?」
「はぁぁぁ〜〜〜」
盛大にため息をついて俯いたハルを覗き込むと
、ハルは諦めたように顔を上げ
「あーーーいや、どっちも俺が買うわ」
「えーなんで?ありがとー」
「気分気分。次はナナが奢って」
カラオケ終盤「明日早いから」 と帰るメンバーが出始めて、 このまま解散でもいいなーとか思っていると
「ナナちゃん!ナナちゃんも来るよね3軒目!」
部活が一緒だった男の子数人に誘われる。
ふと机の下で繋がれたままの右手に力が込められそちらを向くと
「ハルくんも行こーよー!」
「ハルくん行くなら私も〜」
…はぁ。
女の子たちにバレないように手を振りほどき
立ち上がろうとすると、グッと手を引かれ抱きしめられる。
「…は?」
色んな女の子と関わりたがるハルが、こんな大勢の前でこんなこと初めてだった。
グリグリと頭を肩に押し付けてくる。
「はぁ…??」
困惑しながら顔を上げさせて覗き込む。
泣きそうな、苦しそうな、縋るような顔。
「あんたなんて顔してんの」
「え、どういうこと?水瀬さんハルくんと付き合ってるの?」
「ただの幼なじみって聞いてたんだけど」
周りのざわめきで我に返る。
…これは良くない、敵を作るやつだ。
パッと女の子を振り向き
「ごめんね!なんか今日すごい酔ってるみたいだから連れて帰るよ」
「…なーんだ酔ってたんだぁ〜」
「酔ったら甘えるタイプってこと?可愛い〜」
「いいよ水瀬さん、3軒目行きなー?わたしがハルくん送ってくよ〜」
安堵の表情を見せた女の子たちが我先にとハルの腕を掴もうとする。
「…やだナナがいい、俺と帰ってナナ。」
女の子たちを振り払い、再び私を強く抱きしめながら、まるで捨てられた子どものような目でじっと見つめられて
「…いいよ」
反射だった。