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私がカンナの絵を見てしまったのは、偶然でもあり、そして必然でもあった。


「あっ、美雪ちゃん、撮って撮ってー!」

「あ、うん。いいわよ」

その日、写真部だった私は、誕生日のプレゼントで親から貰ったミラーレスカメラを持って適当にぶらついていた。

部活に励んでいる運動部とか、将来みんなの思い出になりそうな写真を撮影したりしている。

そんな感じで校内を歩き回って、自分のクラスの教室の前を通りがかった。

(カンナだ)

声を掛けようかと思って、止まる。

彼女はスケッチブックに向かって、鉛筆で何かを描いていた。

(なにあの子、絵描いてるの?)

どうやらこっそりと絵を描いているらしい。

この前の美術の似顔絵の授業ではイヤそうにしていたと思ったのだが、そうではなかったのだろうか?

(本当は絵をかくのが好きだけど、描いた絵を見られたくないとかかな?)

まぁたぶんそんなところだろうな。

(でも、隠されると余計に見たくなるなぁ、これが)

カンナはカバンにスケブをしまうと、カバンを置いたまま教室の出入り口へとやってくる。

私は慌てて物陰に隠れてカンナをやり過ごす。

たぶんお手洗いだろう。

(カンナがいないうちに見てしまおうっと)

私はカンナのカバンからスケブを取り出し、そしてぱらぱらとめくってみる。

「………………………………なにこれ」

彼女の絵を見て、私は目を見開いた。

なんていうか、凄くメルヘンチックにデフォルメされた絵だった。

いやそれはよく言い過ぎだろうか?

黒い鉛筆一色だけで描かれているせいかもしれないが、何か得体のしれない不気味な絵だ。

なにか禍々しいものすら感じさせる。

見る人が見たら怖いと感じるかもしれない。

風景なのか、それともなにかカンナの心情を形容したものなのか、その辺の事はよく分からない。

人物画? の方はもっと異常だった。

そもそも人間の顔ではない。

目の数や口の数が違ったり、輪郭が崩壊していたりと、どうしてこんな風に描いているのか正直よく分からない。

本人は可愛くしているつもりなのか、ハートマークをたくさんあしらってるのが、なおさら返って不気味さを醸し出していた。

おおよそ、あのカンナが描いたものだとは信じられなかった。

だけど私は――、

(すっごい、イイじゃん)

私はカンナの絵に見惚れて――

「ダメ!」

バッとスケッチブックが奪われる。

カンナだ。

「何で見るの!?」

「カンナ……?」

私は戸惑った。

こんな風に声を荒げて怒るカンナなんて初めて見た。

カンナは顔を真っ赤にして、怒って、泣いていた。

「酷いよ」

カンナの剣幕に驚いて、私は言葉がうまく見つからずに口ごもってしまう。

「ご、ごめん、ごめんね。たまたまカンナが絵を描いてるの見て、それで……」

「知らない! もう知らない!」

カンナはカバンをつかんで、そのまま出ていってしまった。

「カンナ……」

呆然とカンナを見送る私。


不幸にもその日は金曜日だった。

それから2日間の休日は、私にとってものすごく長く感じられた。

スマホでメッセージを送るか、電話するかでずっと悩んでいたが、最後に見たカンナの拒絶の顔が怖くて、私は結局何もできなかった。

【閲覧注意!!】ヤンデレ百合少女は殺してでもハッピーエンドを目指します-冥き乙女のリリーフィリア-

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