こちらの作品は妖怪学校の先生始めました!のBL作品です。
この作品の中にはたか山(たかはし×山崎)が含まれています。
楽園市街様の『トピアリー』という曲を参考にさせて書かせていただいた小説です。田中まい先生の枕返しIfはしの妄想の産物です。山崎さんが共犯者になっています。
18巻と生徒のほうの2巻まで読んでいると、この小説がもっと楽しめると思います。
以上のことが大丈夫という方はこの先にお進みください。
ガタン、ガタンと誰もいない回送電車に2人きりで乗っている。君が人を殺すために。そんな暮らしに耐えられず、僕は君の首を絞めている。そんな生活を君とすると決めたのは僕なのに。
「どうしたの…?誠君、ずいぶんと積極的だねぇ♡」
そう言って自分の首を絞めている奴を愛おしそうに見つめるなんて、やっぱり君はイカレている。でも、そんな君と一緒にいる僕もきっと正常じゃない。やめてよ、そんな、愛おしい人にするように優しく僕の頬を撫でないでよ。ねぇ、やめてよ。僕は君の首を絞めているんだよ?僕のことを拒絶してくれよ。
「なんで僕の事拒絶しないの…?」
「誠君は、僕の親友、だからね…」
そう言われて、つい手を放してしまう。僕はさっきまで君の首を絞めていたのに君は僕のことを愛おしそうに見つめてくる。それを見て、うれしいと思ってしまってる僕も僕だ。きっと、いや、絶対僕もイカレてる。
いつからこんな関係になってしまったんだろう。
君が人を殺してしまった時から?
いや、違う。
きっと僕が、一緒に逃げようと言ってしまった時からだ。
僕たちがすんでいた所は、安全なんて言えるもんじゃなくて、日常的に人殺し、妖怪殺し、窃盗などが起きていた。僕がその被害にあうとは思ってもいなかった。
ある日、街中を歩いていると、急に誰かに路地裏に引きずり込まれた。そして、蹴る殴るなどの暴行を受けた。きっと僕がドッペルゲンガーで、忌み嫌われていたからだったんだろう。ただストレス発散の理由もあったのかもしれないけど。あの時僕は何もすることができず、ただ虚空を見つめていた。あれがきっと一番の間違いだったんだと思う。そうしていたら、急に明君が来た。僕を殴っていた人たちを包丁で刺し、真っ赤な血が明君に付着した。
「誠君を助けに来た」
なんて言ってた。でも、きっと違う。明君は僕を助けたという事実を免罪符にして、あんなことをしたかったんだと思う。僕は何もすることができず、ただ明君が僕を殴っていた人たちを殺しているのを見つめていた。急に正気に戻って、明君を止めようとした。
「明君!まってよ、ねぇ!その人たち死んじゃうよ!」
それを聞いても、明君は何にも反応しない。明君を後ろから抱きしめるようにして止めると、
「なんで止めるの?誠君殺されかけてたんだよ?」
なんて満面の笑みで言うんだ。その時、初めて明君のことを怖いと思った。今まで理解できないと思ったことはあったけれど、初めて怖くなった。腰が抜けて、動けなくなった。明君は、楽しそうに僕をいじめてた人たちをグサグサと包丁で刺している。僕は何もすることができずに、ただ目の前の人たちが死んでいくのを見ていた。明君が止まったのは、目の前の人たちが完全に息絶えた時だった。明君は恍惚とした表情で、目の前の死体を見ていた。その時、目の前が急に暗くなり、まぶたが重くなった。
「えっ、誠君?まことく…
ただ、ゆっくりと沈んでいく世界を見ながら、僕は君の声を聴いていた。
目が覚めた時、見慣れたいつも僕たちが寝ているベッドの上だった。
「あっ、誠君起きた!大丈夫?急に倒れたんだよ!」
僕の事を心配そうに見つめてくる明君は、さっきまで人を殺していた人とは思えないほど、年相応の少年だった。いや、さっきのが嘘だったくらい、ただの倒れた友人を心配している少年だった。
「あきらくん、君、人を殺した?」
そんなことを聞いたら、明君は一瞬目をかっぴらいた後、ケラケラと笑った。
「いやだなぁ、誠君!僕がそんなことするわけないじゃん!やっぱり誠君って面白いね!」
嘘みたいだと思った。いや、嘘であってほしかった。
「二人で買い物してたら、気が付いたらいなくて、探したら路地裏で倒れてたんだよ?焦ったんだからね。僕が人殺しなんて、誠君、変な夢でも見たんじゃない?」
明君はそう言って笑った。きっとそれは嘘だったんだろう。でも僕はそれを信じたかった。だから、変な夢を見たということにした。そうして普通に二人で友達みたいに過ごした。その中で、明君はちょっと変だけど年相応の少年だった。きっと変な夢だったんだろう。そういうことにした。したかった。
大人になって、自分の家を持ったころ、明君が急に家に訪ねてきた。
「あれっ、明君じゃん。急にどうしたの?」
「誠君、俺ね、人を殺したんだ。」
明君はそう言って玄関の前に立っていた。冗談だと思った。それにしては異臭などがあり、明君の頬には血が付着していた。彼を放っておけず、とりあえず彼に部屋に入ってもらった。
「俺ね、人殺したよ。」
友人が人を殺したときどんな気持ちになるのかと思ったが、思っていたよりも冷静だった。自分の心と体が一致していないような感覚、まるで自分が他人を見ているみたいだった。
「誠君を助けたときね、人を殺すのが楽しいことだって気が付いたんだ。」
「だからね、殺しちゃった。」
その時、急に自分の心と体が一致した。冷汗がどっと出てくる。目の前が暗くなるような感覚。友人が人を殺したことよりも、自分のせいで人が死んだことが一番悲しかった。そんな感覚を持っている自分が、気持ち悪くてたまらなくなる。
「…、なんで僕を助けたの?」
そんなこと偽善なんてわかってる。ただ自分のせいで人が死ぬのが嫌なだけだ。
「僕なんて死ねばよかったんだ…!」
それは言ってはいけない。明君に一番かけてはいけない言葉だ。
明君は悲しそうな、それでいてどことなく嬉しそうな顔で僕を見つめていた。
「そうだね。ごめんね。」
最低な言葉だってことはわかってる。でも君に人を殺さないでほしかったんだ。僕の心臓も眼球も鼓膜も全部君にあげられたらよかった。僕を殺すだけで、明君が人を殺さないなら、僕は喜んで差し出す。ぜんぶ、全部君の身體に植え込められたら。そんなに大切に思っている彼をそんな顔にさせてしまった僕は本当にダメな奴だ。
自嘲していた。
「(トピアリーみたい…。)」
僕は明君が人を殺したって聞いたとき、一緒に自首をしようというのでもなく、罵るのでもなく、軽蔑するわけでもなく、口から出た言葉は、「一緒に逃げよう」だった。
すぐにしまったと思った。友人として、ここは自首を進めたほうがよかったのだろう。でも、僕がそう言った時、明君は珍しく驚いた顔をして、すぐにうれしそうに笑った。その笑顔を見た瞬間、君が人殺しだとかそんなものどうでもよくなってしまった。なんて気持ち悪い友情だろう!いっそ、友情じゃなくて信仰心といったほうがしっくりきそうだ。その時、僕は人殺しの君と一緒に逃げることを決めた。
いいよ。ずっと君と一緒にいてあげる。誰にも邪魔ができないような最低な日々を二人っきりで送ろう。二人きりの逃避行だ。そんな僕の思考が分かっているのか、明君は僕を見て愛おしそうな顔で笑った。
僕の家の周りにはたくさんの巡回車がいて、夜とは思えないほど警笛でうるさく、ライトが縦横無尽に光っていた。
「じゃあ、逃げよう?」
僕がそう言った途端、明君は満足げに笑った。凡てを振り切って、二人で逃げよう。
「きっと、誠君といたら、灼熱の火焔なんかよりも、三十六度五分のほうがずっと温かいよ。間違っているかな?」
それはきっと間違いだと否定したかったけど、明君の顔を見たらそんなこと言えるわけがなかった。
「ふたりきりでえいえんにいようね!」
「はぐれないよにてをつないで」
そういう彼は、どこか昔の学生時代の明君みたいだった。
「離さないでいて?」
そんな彼の言葉を、僕は否定することができなかった。
そこからが、悪夢みたいな最低な日々の始まりだった。
明君が殺した人たちを、僕が埋めて証拠隠滅する。ずっとそれの繰り返し。
最初のころはずっと気持ち悪くて、夜も全く寝れなかった。
でも、真っ白な脂肪も筋肉組織も、吐き出しそうな鉄の匂いも、君がいて、君が笑っていたら、鼻腔が遮って愛おしく感じている僕がいた。
僕たちの傍から見れば悲劇のような逃避行も、僕たちからしたら喜劇だ。
君はイカレてるけど、僕もイカレてる。それでよかったんだ。
こんな喜劇の最後には盛大な拍手とフィナーレを送ろう。
逃避は大健闘だ!
僕たちのそんな日々は、クローゼットの中で見つかった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!ずっと書きたかったんですよ、枕返し編のたか山。
にしてもたか山少なすぎません?一億件くらいあってもいいと思います。
滅茶苦茶読みたいですたか山。たかはしにいじめられてるのに、助けを求めたのがたかはしでもっとたかはしを興奮させてしまう山崎誠のたか山とか、学生時代のたかはしの知識欲がやばくてサラッと処女奪われてる山崎誠のたか山とか、めっちゃ読みたいです。誰か書いたら私に教えてください。バカみたいな長文のコメント送りますので。
まぁ少し長くなってしまいましたが、ここまで見てくださりありがとうございました!2番のところとかあまりかけなくて申し訳ないです。私が力不足なばっかりに…。
またいつか次の話でお会いしましょう。それでは、3回目ですけど、ここまで見てくださりありがとうございました!!!
コメント
4件
私もたか山もっと増えていいと思います!たか山めっちゃ好きです!