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2泊3日の「分離不安」に耐え抜いた滉斗が、ついに山奥の合宿から帰還しました。
玄関の鍵が開く音がした瞬間、リビングにいた元貴と涼架は「あ、帰ってきた」と顔を見合わせましたが、その後の滉斗の豹変ぶりは、二人の想像を遥かに超えるものでした。
ドアが開くなり、そこには泥のように疲れた顔をした滉斗が立っていました。
「……ひろと、おかえり! お疲れさ……わっ!?」
元貴が駆け寄るよりも早く、滉斗は荷物をその場に放り出し、元貴を逃がさないようにガッシリと抱きしめました。それも、ただのハグではありません。元貴の肩に顔を埋め、深く、深く呼吸を繰り返す、まさに「元貴成分」の緊急補充です。
「……長い。……2泊3日は、長すぎる」
「あはは、ひろと、くすぐったいよ。……頑張ったね」
元貴が背中を優しくさすると、滉斗は「ふぅ……」と大きな溜息をつき、そのまま元貴を抱き上げたままリビングのソファまで運んでしまいました。
夕食後、いつもなら「自分の部屋で課題をする」と言い張る滉斗ですが、今日は一歩も元貴の側を離れません。リビングで涼架がテレビを見ていてもお構いなし。元貴の膝を枕にして、ソファに横たわっています。
「ひろと、まだ甘えん坊さんなの?」
「……うるさい。合宿所、電波悪くてお前の声が途切れてたんだ。その分の補填をしろ」
滉斗は元貴の手を引き寄せ、自分の頬に当てさせます。
中等部・高等部時代なら、涼架の前でこんな姿を見せることは絶対にありませんでした。しかし、今の滉斗にとって「元貴がいないストレス」は、プライドを易々と凌駕するほど重大なものになっていたようです。
1階でその光景を眺めていた涼架が、ニヤニヤしながら口を挟みます。
「おやおや、心理学科の期待の星が、重度の『もとき不足』で幼児退行しちゃってるねぇ? ひろと、そんなに寂しかったの〜?」
普段なら「黙れ」と一蹴するはずの滉斗ですが、今は元貴の服の裾をぎゅっと握ったまま、薄目を開けて涼架を睨むだけ。
「……涼架さん。……明日、一限だろ。早く寝れば」
「はいはい、お邪魔虫は退散しますよ! でも元貴、あんまり甘やかしすぎちゃダメだよ? 明日の朝、ひろとが大学行きたくないって泣きついちゃうから!」
涼架が2階へ上がった後、静かになったリビングで元貴が囁きました。
「ひろと、そろそろお部屋に行こうか。……今日、僕もひろとの部屋で寝ていい?」
その言葉を聞いた瞬間、滉斗の瞳がパッと輝きました。
「……当たり前だ。……っていうか、もう部屋に運ぶ準備はできてる」
そう言うと、滉斗は再び元貴をひょいと抱え上げ、慣れた足取りで階段を登っていきました。
翌朝、目が腫れるほどぐっすり眠った滉斗は、昨日の甘えっぷりが嘘のように「キリッ」とした顔で大学へ向かいましたが、その手元には元貴が持たせてくれた「手作りのお守り」がしっかりと握られていたのでした。
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コメント
2件
いつも元貴くんを守ってる若井さんがすごい可愛く見える…! 今回も良すぎます!!
若井さん可愛すぎでわ??? みんなかわいすぎでは??? 続きも楽しみにしてます🥰