昔から、本気でやることが嫌いだった
自分が本気でやることも、本気でやってる人を見る事も。
そもそもなんでそんなに本気になるのかが分からない。
運動も勉強もいつも少しだけ手を抜いて
俺はそんな人生を歩いてきた
これからもきっとそんなに人生を歩いていくのだろう
……と、思っていた
でも、俺はある人に出会って世界が180度変わった
渡辺「ふぁぁっ、~」
深澤「おぉおぉ笑 でっけぇあくび笑」
渡辺「昼食べたあと寝れねーの辛いわ、」
深澤「呼び出しおつです!笑」
渡辺「っるせーな、笑」
渡辺「ばか真面目にやるくらいなら呼び出しくらった方がましだけどな」
深澤「でた渡辺論」
渡辺「それ聞いたの今日で片手以上だわ」
深澤「って事は翔太が片手以上渡辺論言ったってことじゃん笑」
渡辺「まー確かに笑」
深澤「少しくらい本気でやったらいいのに」
渡辺「絶対やだわ。無理」
深澤「は〜、まじてなんでだよ笑」
渡辺「……かっこわりぃじゃん、この年で本気とか、」
深澤「………そぉか?笑」
渡辺「…まぁな、」
渡辺「今日部活は?」
深澤「あり〜でも職員会議で2時間で終わり」
渡辺「どーせ岩本先輩と帰んだろ」
深澤「感がいいですね〜正解ですっ!」
渡辺「らぶらぶすぎだろ笑」
深澤「んふっ笑 幸せだよ〜」
渡辺「は〜そんな気持ちでいられるのも今のうちだって笑」
深澤「辛辣すぎ!!!夢ぐらい見させろ〜」
渡辺「ふはは笑」
渡辺「やべっ、職員室行かねーと、」
深澤「おっけーじゃぁ俺先移動教室行ってる」
渡辺「おけー」
そんな中身もない会話のキャッチボールを繰り返す
渡辺「めんどいなー」
そう口に出すがそれをキャッチする人はいない
~~~~~~
きーんこーんかーんこーん
渡辺「あ〜終わったぁ!!!」
深澤「おつかれ〜」
深澤「おれ今日体育館の鍵出しだから先いくな!!!」
深澤「また明日〜」
渡辺「うい〜」
今日は1人か、と思いながらスクバに教科書やらを詰め込む
まだ帰らずに机に寄り掛かりながら話しているクラスメイトを横目にバッグを持ち帰る
靴を履き替え外に出ると蒸し暑い空気が俺を包む
渡辺「あっつ、」
こんな中でも外で活動しているサッカー部を見るともっと体温が上がる気がした
暑いのは大嫌いだ。寒いのよりも、遥かに。
こんな暑い中歩きで帰るなんて本当に生理的に体が拒否反応を起こすから
太陽が雲に隠れるまで少し玄関で休むことにした。
渡辺「……なにやろ、」
勉強は嫌いだからしたくない、
将来使わないものに時間を費やしたくない
読書も、うーん、、
そもそも多分俺に文字を読むっていう行為は合っていないからな〜、
そう思うとやはり、目の前の校庭で汗を垂らしながら活動しているサッカー部を見るしか無かった
まだ玄関内から見てるからさっきよりかは幾分涼しく感じるけど。
なんであんなに汗を垂らしてまで打ち込むのだろう
将来プロにでもなりたいのか、??
こんな学校の部活だけでプロになんてなれるのかな?
……俺はいつからこんな考え方しかできなくなって言ったんだろう、
昔から、とは思っていたけれど、
幼稚園の頃はそれなりにやっていたのだろう、
ただ、…あぁあの日だ。
小学3年、だったっけ、
クラスの男の子が勉強を凄く頑張っていて、
塾に、本もたくさん読んでて、授業でもいっつも手を挙げて、
俺はかっこいい、と初めは思っていたけれど、
物心ついていた友達は俺にこう言った
友達「あいつキモイよな〜。なんであんなに本気なのかな笑」
友達「先生に褒められたいのかな?」
『あんなに俺頑張ってます!みたいな感じだとちょっとかっこわりぃよな笑』
…鈍器のような、バールのようなもので頭をがつん、と殴られたように感じた
そこから俺は頑張ることはかっこ悪いと思うようになった
そして俺自身も頑張るという行為に目を向けなくなった
最低限やってればいいかな、とだけ思うようになった
この高校に入れたのは本当にギリギリだった
なんとか頑張らなくても受かりそうなところを探して、
……頑張る事ってかっこわりぃよな、??
誰かにそう問いかけたくなる
それはきっと俺のやっている事は正しいと過信させる為だ
????「かっこ悪くないよ」
……は?
突然背後から振ってきた声に驚きばっ、と後ろを振り向く
渡辺「…誰ですか?」
????「宮舘涼太。」
宮舘「君は?」
渡辺「…渡辺、翔太、」
宮舘「ふーん、翔太は何年?」
いや急に呼び捨てって、
感じ悪いな、と思う
でも、この見下ろしている顔を見ると、
どうしても懐かしいような抱きしめたくなるような、
そんな顔だった
渡辺「…に、2年だけど、」
宮舘「じゃぁ同い年だ」
宮舘「よろしくね、翔太」
そう言って右腕を出してくる
………ん?
俺はこの右腕の手の甲に入っている傷に既視感があった
俺の中でこの傷が入っているのは1人しかいない
渡辺「…お前っ、涼太か…!?」
宮舘「ふは、今?笑」
宮舘「ほんとに気づくの遅いんだからさ、笑」
涼太はさっき言った、
勉強をめちゃくちゃ本気でやっていた子だ。
昔は大がつくほど仲良しだったが、
俺があんな風に考え出したために距離を置くようになってしまった
そして涼太はその後転校をしてしまった為、疎遠になってしまっていた
渡辺「なんっ、…えっ、と、」
宮舘「もしかして今更緊張してる?笑」
宮舘「これから時間あるかな?」
渡辺「お、おう、…」
そうして俺らは涼太の教室に来た
渡辺「失礼します、」
宮舘「俺の隣座る??」
渡辺「あ、うん、」
宮舘「久しぶりだね、元気だった?」
渡辺「まぁな、笑何とかって感じ笑」
渡辺「そっちは?」
宮舘「俺もかな〜ぼちぼち、笑」
渡辺「そっか笑」
渡辺「…涼太まじで大人になったな、」
久しぶりに見た涼太の顔つきは、俺が覚えてないほどに変わっていた
キリッとした輪郭に、整った眉毛
綺麗な二重まぶたにぷくっとした唇
髪の毛はマッシュに近い髪の毛になっていた
ざ、好青年って感じ、
宮舘「そう?笑」
宮舘「翔太だって変わったんじゃない?笑」
渡辺「俺はまじでなんにも変わってない笑」
宮舘「いやいや!!少し見ない間に、なんだろう、」
宮舘「かっこよくなった、…//??」
渡辺「…!!」
頬を桃色に染めてそう話す涼太
宮舘「やばっ、自分から言ったけど恥ずいわ、笑」
渡辺「ふは、笑」
宮舘「…………かっこ悪くないからね、」
渡辺「え?」
宮舘「さっきの話の続き、」
渡辺「……あぁ、うん、」
宮舘「俺ずっと翔太に会ってなかったから、今翔太がどんな性格なのかあんまり分からない、」
宮舘「けど、俺予想したんだよね笑」
渡辺「どゆこと?笑」
宮舘「翔太の今の性格笑」
宮舘「予想だよ?予想だけど、」
宮舘「なんか少しだけ手を抜いてる的な、感じ?」
宮舘「最低限出来てたらまぁいいかな、みたいな感じ!!っていう俺の予想笑」
渡辺「………流石涼太、笑」
渡辺「全部ピンポイントで正解だわ、笑」
幼馴染パワーってこんな凄いの?笑
宮舘「やっぱりね〜笑」
宮舘「翔太はきっとそうなんだろうなってなんだろ、パワーで受け取ったわ笑」
渡辺「こぇーよ笑」
宮舘「ふふ笑」
宮舘「…なんであいつあんな本気なんだろう、キモイなって思う事は分かるよ?」
宮舘「分かるけど、そういう概念にとらわれて、自分も…って言うのはそれこそかっこ悪いよ。」
渡辺「………………」
宮舘「さっきのサッカー部を例に例えると、」
宮舘「きっとプロを目指してる人は何人かいると思う。」
宮舘「けど、きっとそういう人は部活だけじゃないと思うよ?」
宮舘「部活に、もしかしたらクラブチームとかに入ってる人もいるかもね、あとは大学の為とか…」
宮舘「表面だけじゃ分からない人っていっぱいいるし、」
宮舘「ほら、確かに見た目頑張ってます!!っていう人は苦手かもしれないけどさ、」
宮舘「裏で本気で物事に取り組んだり努力してる人ってめちゃくちゃかっこよくない?」
宮舘「ってね笑」
宮舘「…以上、宮舘講座でした、笑」
渡辺「…おぉ〜」
渡辺「…なんか、ありがと、」
渡辺「俺、ほんとに今までなんにも努力とかしてこなかった、」
渡辺「そうやって自分も馬鹿にされたくなかったから、逃げてた、」
渡辺「けど、確かにそれは表面上じゃなくて裏で頑張ればいいんだよな、」
渡辺「…ありがとう、涼太」
渡辺「俺、これから頑張ってみる」
宮舘「うん、そうだね笑」
宮舘「あっ、時間とってごめんね、」
宮舘「じゃぁ、まt」
渡辺「待って!!!!!」
宮舘「え、…??」
教室から出ていこうとする涼太の腕を引っ張って無理やり引き止めた
渡辺「…ごめ、ん、」
渡辺「……久しぶりに会って、ちょっと緊張しちゃった、」
渡辺「…だって、涼太が、」
言うんだ、今、
渡辺「こんなにも真っ直ぐでこんなにもかっこよくなってたから、…!!」
渡辺「すげー物事ハキハキ言えるのほんとに凄いと思う、」
渡辺「あとは、…どっか変わんない面影に少しドキッとした、」
渡辺「急にこんなこと言われても困るとおm」
突然懐かしい匂いに囲まれた
宮舘「…俺も、昔から変わんない無邪気な感じに、」
宮舘「すっごいドキドキしてた、」
宮舘「……あぁ、やっぱり、」
『好きだなって、思った、笑』
渡辺「かぶんなよ、笑」
宮舘「翔太こそ笑」
宮舘「…俺と付き合ってください」
渡辺「こちらこそ、よろしくお願いします、//」
考えてみれば、恋愛はまともにしてこなかったな
だって、会ってない間もずっと、こんなにも想ってた人がいたから
抱きしめられたら、愛情で苦しくて涙流してしまうほど好きな人がいたから
宮舘「翔太は泣き虫さんだ笑」
渡辺「っるさい、、」
ちゅっ、
嗚咽している俺の口を涼太の口で塞がれる
宮舘「…涙でしょっぱ、笑」
渡辺「ふは、当たり前じゃん、笑」
こんなに真っ直ぐな人がいたら俺はもう道を間違えない
ありがとう、涼太
[END]
コメント
2件
うわぁ、、めっちゃ好き、、
どうしてゆり組はこんなにも尊いのだろう😇 ゆり組ジャスティス!!🫰🏻🩷