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更地になった渋谷から、リムルの『空間移動』で一瞬にして高専の医務室前へと戻ってきた一行。
「……あー、緊張するな。硝子、怒ってないかな」
五条が珍しく、子供のようにソワソワしている。
「自業自得だよ、悟。……だが、私も合わせる顔がないのは同じだ」
夏油も少し居心地悪そうに、自分の制服の襟を正した。
「ほら、二人ともシャキッとしろ! ほら、開けるぞ!」
リムルが勢いよく医務室の扉をガラリと開けた。
中では、山のような書類と灰皿を前に、ひどく疲れた顔をした家入硝子が椅子にふんぞり返っていた。
「……五条、うるさいよ。渋谷が大変だって時に、何しに――」
家入の言葉が、止まった。
五条の隣に立つ、見間違えるはずもない長い黒髪の男。
かつて自分の前から去り、そして死んだはずの、もう一人の親友。
「……よぉ、硝子。……老けたな、お前」
五条が照れ隠しに軽口を叩く。
「……久しぶりだね、硝子。……すまない、苦労をかけた」
夏油が、かつての優しい微笑みで頭を下げた。
家入の手から、火のついたままの煙草がポトリと落ちた。
彼女はゆっくりと立ち上がり、二人の元へ歩み寄ると――。
バチィィィン!!
「っ痛!!」
「……ぐっ」
五条と夏油の頬に、家入の鋭いビンタが飛んだ。
「……遅いんだよ、バカ二人。……どんだけ待たせたと思ってんのさ」
家入の瞳から、大粒の涙が溢れ出す。
五条と夏油は顔を見合わせ、困ったように、でも幸せそうに笑って、同時に彼女を抱きしめた。
「悪い、硝子。もうどこにも行かないよ」
「あぁ。これからは、三人だ」
その様子を、リムルは扉の陰から満足げに眺めていた。
「……な、ラファエルさん。こういうのも悪くないだろ?」
『解。マスターの行動により、当該世界の「後悔」の数値が大幅に減少しました。……ナイスです、マスター』