僕の名前は都築 楓。
今年入学した高校1年生。
実は今日、久しぶりに学校に来ることが出来た。
入学式3日後、慣れない自転車通学で運悪く起こした事故が原因で学校を休み約2週間。
教室を見渡せば、もうすでにいくつかのグループが出来ているようだった。
完全に出遅れてしまった…。
入学式の日はどうだっけ?
……
しまった…自己紹介をしたはずの隣の席の人の顔さえ忘れてしまった。
どんな人だっけ?
女子だったし、髪はボブくらいの…
いや、あれはショートっていうのか?
…と、そんな事を考えているうちに隣の席の人が来たようだ。
「あ!おはよう!」
「お、おはよう…」
こんな明るい感じの子だったっけ?
うーん、自己紹介で話したことはある気がするんだけどなあ。。
確か名前は…
「久しぶりだね!」
「ずっと1人席で寂しかったよ〜」
……そうだ、思い出した。
この隣の席の人は七瀬さんだ。
確か、誰も手を挙げないからって学級委員になった人だ。
「ねえ、ずっと休んでたけどなにかあったの?」
「あ、や…、ちょっと事故にあって…」
「え!?事故!?大丈夫だったの?」
「はは…まあなんとか…」
しまった、誰かと話すなんて久しぶりすぎる。
しかも女子と話すなんていつぶりだ?
会話が続かない…。
「そういえばさ、私のこと 覚えてる?」
「え…っと、七瀬さんだよね?」
「そうそう!正解〜」
「都築くんであってる?」
「う、うん」
「よかった!」
「あ、そういえばね!」
「私、毎日夢を見るんだけど、
今日の夢、ちょー怖かったの!
もし良かったらさ、聞いてくれる?」
「え?あぁ、、いいよ」
本当は他人の夢の話なんて全く興味ない。
ましてや、ほとんど話したことの無い人の夢の話なんて、至極どうでもいい。
ただ、断る理由も見つからないし、隣の席なら仲良くしておくべきかもしれない…。
そう思って聞くことにした。
「ホント?ありがとう!」
「それはね、夢の中で目が覚めた時の話なんだけどー…」
そう言って七瀬さんは夢の話を始めた。
ん、、もう朝か。
アラームが鳴る前になんとなく目が覚めて、いつも通りゆっくり階段を降りていく。
『おはよう』
挨拶したけど、返事がない。
おかしいな?
いつもは返ってくるのに。
『お母さーん?』
『…!?』
びっくりして声が出なかった。
何より、目の前の光景が信じられない。
そこには、いつもはにこやかな母の顔が まるで悪霊にでも取り憑かれたかのような…
そんな見たことのない顔をした母が包丁を振り回していた。
『ね、ねぇどうしたの…?』
もちろん返事はない。
正直もう怖くて足が動かなかった。
『あっ!お兄ちゃん!!』
偶然、2階から降りて来る足音が聞こえた。
この時間なら兄で間違いない。
ちょうどいい、助けてもらおう。
私1人じゃどうにもならない。
そう思っていた。
なのに、そこにいつもの兄はいなかった。
顔が灰色で、目、鼻、口が穴のように凹んでいて、こちらにフラフラと歩いてくる。
顔も何だか細長い。
怖かった。
息の仕方さえもう分からない。
思わず逃げ出し、2階の父のいる部屋に駆け込んだ。
怖くて仕方がなかった。
涙がこぼれ落ちていく。
『お父さん…!お母さんとお兄ちゃんが…』
声が震えて上手く喋れない。
『…お父さん?』
そこにはカーテンを開けて窓の外をボーッと眺めている父がいた。
ただ棒立ちで外を眺める姿が、不気味だった。
私が来たことに気がついていないのだろうか?
『お、お父さん!』
『みんな!なんかおかしいよ!!』
『どうしちゃったの!?』
思わず、感情が抑えられなくなり声を荒らげた。
それなのに…
…
やはり父の反応はない。
もう、訳が分からない。
『みんな、“狂ってる”』
つい、そんなことを呟いてしまった。
その言葉を口にした時、視界が真っ暗になった。
右下に何か出ている。
黄色い四角に黒の文字で、4秒前のカウントダウンがされていた。
カウントがゼロになると、視界が次第に明るくなり、私は自分の部屋の前の廊下に立っていた。
どういうことだ?
なにがあったんだ?
お母さんは?お兄ちゃんは?お父さんは?
どうなっている?
…まさか、と思い
私は階段を急いで降りて、また、母のいるキッチンへ向かった。
…
変わっていなかった。
そこにはやはり、いつもの母はいなかった。
…ということは。
もうすぐ兄が来る。
あの顔はもうトラウマで見たくない。
そこで私は、唯一、変化の少なかった父の部屋へ急いだ。
『お、お父さん!!』
扉を勢い良く開けると、スーツ姿に着替えようとする父がいた。
『ど、どうした?』
あぁ…いつものお父さんだ。
私はその場に座り込んでしまった。
『大丈夫か!?なにかあったのか!?』
『あ、ぁ、…』
安堵で涙が出てきた。上手く話せない。
すると廊下の方から不安定な足音がした。
私は、それが誰の足音が分かってしまった。
…間違いなく兄だ。
私は父の部屋の扉をそっと閉め、父にこれまでの事を説明した。
『なるほどなぁ…』
お父さんは眉間にシワを寄せて考え込んだ。
『ねぇ!何か記憶はないの?』
『ほら、私が部屋に来た時のさ』
『うーん、上手く思い出せないな…』
本当に、どうなっているのだろう?
じゃあ あの時の父は誰だったんだ?
考えれば考えるほどわからない。
『ねぇ、やっぱりさぁ…』
『なんか、“狂ってない”?』
また、その言葉を口にした。
ほとんど無意識だった。
また視界が真っ暗になった。
そしてまた、カウントが始まった。
…
視界が明るくなった。
でも、ここは…?
そこには、いつもと少し様子の違う
私の通学路があった…。
コメント
2件
需要無さすぎなので続きはないです。 もし、見たいよって思って下さる方がいらっしゃればコメント下さい。
続きます。 初ノベルストーリーですので読みにくかったりアドバイスあれば遠慮せず言って欲しいです!!! てかサムネのロゴ見切れてショック笑