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まきぴよ
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おその★
23,676
岩本と深澤の撮影が終わる。
次は。
宮舘と渡辺。
渡辺は白。
宮舘は黒。
二人がセットへ入った瞬間。
康二は。
カメラを構える前から。
少しだけ嬉しそうだった。
「やっぱ似合うなあ」
「何が?」
渡辺が聞く。
「白と黒」
「それは衣装さんに言って」
「でも二人並んだ感じがええねん」
宮舘が。
自分の黒いジャケットを見る。
「翔太が白で、俺が黒」
「逆でも似合いそうだけどね」
阿部が少し離れたところから言う。
康二は首を振った。
「今日はこれがええ」
渡辺が。
「カメラマンのこだわり?」
と聞く。
「そう」
「はいはい」
口では面倒そうに言いながらも。
渡辺は。
言われた位置へ立った。
その隣へ。
宮舘も立つ。
二人の間には。
ほんの少しだけ距離がある。
康二は。
最初に考えていたラフを確認した。
手を近づける。
少し身体を寄せる。
指先が触れる程度。
そこまで。
事前に決めていた。
でも。
ファインダーを覗いた瞬間。
康二は。
「……待って」
と呟いた。
渡辺が眉を寄せる。
「何?」
「そのまま」
「まだ何もしてないけど」
「ええから」
康二は。
カメラを構え直す。
「だて」
「うん」
「しょっぴー見て」
宮舘が。
渡辺を見る。
「しょっぴーは」
「正面?」
「そう」
「打ち合わせと同じじゃん」
「うん。でも」
康二は。
二人を見ながら少し考える。
「近づかんでええ」
渡辺が。
「え?」
と聞き返した。
「そのまま」
宮舘と渡辺。
触れていない。
肩も。
腕も。
手も。
何も。
でも。
宮舘の視線は。
まっすぐ渡辺へ向いている。
渡辺は。
カメラを見ている。
それだけなのに。
二人の間にある距離が。
不思議なくらい遠く見えない。
シャッター音。
一度。
二度。
三度。
佐久間が。
モニターを横から覗く。
「うわ」
渡辺がすぐ反応する。
「何」
「なんか一番大人」
「うるさい」
「何もしてないのに!」
「だからうるさいって」
ラウールも。
写真を見る。
「でも分かる」
「何が?」
「距離あるのに近い」
渡辺が。
嫌そうな顔をする。
「意味分かんない」
宮舘は。
少し笑った。
「俺は分かるかも」
「涼太まで何」
康二が。
嬉しそうに言う。
「これや」
「何が?」
「打ち合わせで思ってたより、もっと触らん方がええ」
渡辺が。
「普通逆じゃない?」
と聞く。
「普通はな」
康二は。
ファインダー越しに二人を見る。
「でも、だてなべって」
少し間。
「触らんでも分かる」
渡辺が。
少しだけ黙る。
宮舘は。
相変わらず渡辺を見ている。
「だから」
康二が続ける。
「無理に恋人っぽい形にせんでええわ」
渡辺の表情が。
ほんの少しだけ柔らかくなった。
「……それならいい」
「よし」
「でも涼太」
「何?」
「ずっと見るのやめて」
「康二に言われてるから」
「分かってるけど」
宮舘が笑う。
その顔も。
康二は逃さず撮った。
撮影は。
そのまま進んでいく。
渡辺は正面。
宮舘は少しだけ角度をつけて。
互いに触れない。
康二も。
余計な指示をほとんど出さない。
「しょっぴー」
「何」
「顎ほんのちょい下」
「これ?」
「そう」
シャッター。
「だて、そのまま」
シャッター。
「しょっぴー、目線だけちょい右」
渡辺が。
ゆっくり視線を動かす。
その時だった。
左手が。
ほんの少し動く。
無意識だった。
右手の親指が。
左薬指へ触れる。
そこにある。
指輪を。
そっと撫でた。
康二の指が。
すぐにシャッターを切る。
一枚。
続けて。
もう一枚。
宮舘も。
渡辺の手元に気づいた。
視線が。
渡辺の顔から。
左手へ落ちる。
そして。
ほんの少しだけ笑った。
また。
シャッター。
渡辺は。
そこでようやく自分が何をしているのか気づいた。
「……あ」
左手を見る。
「何?」
康二は。
何もなかったように聞く。
渡辺が。
指輪から手を離す。
「今撮った?」
「撮った」
「なんで」
「よかったから」
「俺、何もしてないじゃん」
「してたで」
「何」
康二は。
自分の左薬指を触る真似をする。
渡辺が。
ぴたりと止まった。
「……これ?」
「うん」
「勝手に触ってただけだけど」
「それがええねん」
渡辺は。
少しだけ自分の指輪を見る。
以前とは。
少しだけ形が違う。
石が外れた。
落ち込んだ。
宮舘の石まで外れた。
二人で。
何もない薬指を見ながら。
一緒に落ち込んだ。
そして。
前より壊れにくい形になって。
戻ってきた。
今では。
もうこの形にも慣れた。
それでも。
たまに。
指輪を触る癖は残っている。
宮舘が。
静かに言った。
「翔太、今も触るよね」
渡辺が。
「……たまに」
と答える。
「安心する?」
「別に」
即答。
宮舘が笑う。
「そっか」
「何その顔」
「何でもないよ」
康二は。
二人のやり取りを見ながら。
カメラを下ろさなかった。
「そのまま話してて」
「撮るなよ」
「もう撮ってる」
「康二!」
スタジオに。
笑い声が広がった。
一度。
撮影を止めて。
康二がモニターを確認する。
「しょっぴー」
「何?」
「これ見て」
渡辺が。
宮舘と一緒に近づく。
画面には。
白い衣装の渡辺。
黒い衣装の宮舘。
渡辺は。
左薬指の指輪へ触れている。
宮舘は。
その手を見ている。
二人とも。
カメラを意識していない。
渡辺が。
しばらく黙る。
「……これいつ?」
「さっき」
「全然覚えてない」
「勝手に触ってた時」
「勝手にって言うな」
でも。
渡辺は。
画面から目を離さなかった。
指輪が。
ちゃんと写っている。
以前とは。
少し形が変わった指輪。
康二が。
そのことに気づいたように聞く。
「これさ」
「何?」
「指輪、ちゃんと見えるように撮ってええ?」
渡辺の顔が。
少しだけ止まった。
宮舘は。
何も言わない。
康二も。
急かさない。
渡辺は。
もう一度。
自分の左手を見る。
あの日。
石がなくなっていることに気づいた瞬間。
胸が。
すっと冷えた。
大事にしていたのに。
宮舘からもらったものなのに。
自分が壊してしまったような気がして。
何度も謝った。
修理へ出してからも。
何もない薬指を見るたび。
寂しかった。
でも。
今は。
そこにある。
形は。
以前とは少し違う。
なくなった石だって。
同じものではない。
それでも。
これは。
あの時。
宮舘からもらった指輪だ。
二人で身につけて。
二人で壊れて。
二人で直して。
戻ってきた。
渡辺は。
自分の指輪を一度撫でた。
「……いいよ」
康二が。
「ほんま?」
と聞く。
「うん」
渡辺は。
今度ははっきり頷いた。
「撮っていい」
宮舘が。
渡辺を見る。
渡辺は。
少しだけ照れたように。
でも。
指輪から目を逸らさず言った。
「今はちゃんと戻ってきてるから」
宮舘の表情が。
ゆっくり柔らかくなる。
「うん」
渡辺が。
宮舘を見る。
「涼太のも一緒にね」
「もちろん」
康二は。
二人を見て。
小さく笑った。
「じゃあ撮ろ」
今度は。
二人の左手。
宮舘と渡辺が。
並んで立つ。
康二が。
「手だけ前に出して」
と指示する。
二人が。
左手を出す。
同じデザイン。
同じ形。
一度は。
どちらも石を失った。
そして。
同じように。
丈夫な形へ作り直された。
宮舘が。
自分の指輪を見ながら言う。
「前と少し違うね」
渡辺も。
自分のものを見る。
「うん」
「今の方が好き?」
少し考える。
「……どっちも好き」
「俺も」
宮舘が答える。
渡辺は。
ほんの少し笑った。
「前の形も、大事だったし」
「うん」
「でも今はこれが俺らの指輪だから」
シャッター音。
康二が。
一枚。
撮る。
「ええな」
渡辺が。
「何?」
と聞く。
「今の言葉」
「写真に言葉写らないでしょ」
「顔に出るやん」
「出てない」
「出てるで」
「出てない」
宮舘が。
「出てるよ」
と言う。
渡辺がすぐに見る。
「涼太はどっちの味方なの」
「康二かな」
「何でだよ」
また。
笑い声。
康二は。
二人の手を見ながら。
もう一つだけ指示を出した。
「指先だけ」
「何?」
宮舘が聞く。
「触れてみて」
二人は。
すぐには手を握らなかった。
宮舘の指先。
渡辺の指先。
少しずつ近づいて。
ほんの少し。
触れる。
それだけ。
康二が。
シャッターを切る。
白と黒。
二つの手。
二つの指輪。
握り込まなくても。
しっかり繋がって見える。
康二が。
モニターを確認する。
「これやな」
渡辺が。
「何が?」
と聞く。
「だてなべ」
「雑」
「雑ちゃうって」
宮舘は。
写真を見ながら。
静かに笑った。
「俺は好きだよ」
渡辺も。
画面を見る。
少しだけ。
指先が触れている。
そこに。
作り直した指輪がある。
「……俺も」
小さく答える。
「これなら好き」
康二が。
その言葉を聞いて。
満足そうに笑った。
「よし」
昔と。
まったく同じではない。
形は変わった。
なくしたものもある。
でも。
それでも。
二人が大切にしてきたものは。
ちゃんと。
今もここにある。
康二は。
そのことまで写すように。
もう一度。
二人の左手へカメラを向けた。
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今晩は⭐️ 一気に読みました。 それぞれの良さが凄く出てホッとします。 🧡のこだわりが凄いな〜 付かず離れずの距離感 時々皆んなのよこやりチャチャ笑い声 力まないカッコつけない自然体の写真 癒されます♪ 続き待ってます♪
好きだな💕 3組のカップルと言うか夫婦の撮影ふいんきって独特で唯一無二の関係性、1つのグループに3組のカップルなのに嫌味が無い当たり前で9人がそれぞれに守り、支え助け合い暖かみがある、普通ではあり得ない設定なのに当たり前に受け入れられるストーリー、もっと読みたい、発売されたファンの反応なども読めたら良いな💕 実際には目に出来ないから