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#原因は自分にある。
宇空#🎹,🐈⬛
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#原因は自分にある。
バディ乃杜バディ子
26,254
朝。
カーテンの隙間から差し込む光で、りょうたはゆっくり目を覚ました。
「……あれ?」
昨夜は隣にいたはずのかなめの姿がない。
少しだけ慌てて部屋を見回す。
「かなめ……?」
返事はない。
リビングへ行くと、人の気配はもうなかった。
その代わり、テーブルの上にはラップのかかった朝食と、一枚のメモが置いてあった。
「ちゃんと朝ごはん食べること。
無理だけはしない。
会場で待ってる。
——かなめ」
りょうたは思わず笑みをこぼした。
「……寝るまでいてくれたんだ。」
胸の奥が少しだけ温かくなる。
「ありがとう。」
小さくつぶやき、朝食を口に運んだ。
⸻
そして、ライブ当日。
会場の外には、開演前からたくさんの人が集まっていた。
控室では、メンバーが最後の確認をしている。
「緊張するなあ!」
じゅんが大きく伸びをする。
「それだけ本気ってことだよ。」
たかとが笑う。
かなめはりょうたのほうを見る。
「大丈夫?」
りょうたは一瞬だけ言葉に詰まり、それでも笑顔を作った。
「……うん。」
その笑顔は少しぎこちなかった。
かなめは気づいたが、もう開演の時間が迫っていた。
「行こう。」
七人は円になり、拳を重ねる。
「最高のライブにしよう!」
「原因は!!」
……
歓声が響くステージへ飛び出した。
⸻
一曲目が終わり、照明がゆっくり落ちる。
会場が暗闇に包まれた。
その瞬間だった。
りょうたの呼吸が乱れる。
(……だめ。)
胸が締めつけられる。
耳鳴りがする。
暗さが、あの日の記憶を呼び起こしてしまう。
(落ち着いて……。)
そう思っても、思うように息が吸えない。
次の曲のイントロが流れ始める。
かなめはステージ反対側の立ち位置にいて、りょうたの異変に気づけない。
りょうたは懸命に歌い始めた。
苦しさを悟られないように。
笑顔を絶やさないように。
(ここで止まれない。)
一歩、また一歩と踊る。
けれど、呼吸は浅くなるばかりだった。
視界が少し揺れる。
照明が明るくなったとき、かなめはようやくりょうたの表情の違和感に気づいた。
(りょうた……?)
顔色が青い。
動きもわずかに遅れている。
「りょうた!」
声には出せないまま、かなめは立ち位置を変えようとした。
その瞬間。
りょうたの足元がふらつく。
一歩踏み出そうとして、力が入らない。
「っ……。」
ステージの中央で、そのまま崩れるように倒れた。
会場がざわめく。
音楽はすぐに止まり、スタッフがステージへ駆け寄る。
かなめも真っ先にりょうたのそばへ走った。
「りょうた!」
肩にそっと手を添える。
りょうたは目を閉じたまま、苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。
「大丈夫。僕たちがいる。」
かなめは落ち着いた声でそう伝え、スタッフとともに安全な場所へ移動できるよう手助けした。
会場ではスタッフが観客へ状況を説明し、公演はいったん中断となる。
かなめはりょうたの手をそっと握りながら、小さくつぶやいた。
「ライブはまたできる。でも、りょうたは一人しかいない。」
その言葉を聞いたメンバー全員が静かにうなずき、りょうたの無事を願いながら、スタッフや医療担当者に後を託した。
コメント
3件
第7話、読み終わりました……。 かなめが朝置いていってくれたメモと朝ごはん、ああいう優しさがじんわり沁みますね。そしてライブ本番、りょうたの苦しそうな様子が本当に心に迫ってきました。特に暗転でフラッシュバックしてしまう描写、すごくリアルで胸が締め付けられました。 でもその中で「ライブはまたできる。でも、りょうたは一人しかいない」って言えるかなめが本当に素敵です。メンバー全員がりょうたの無事を願って静かにうなずくラスト、涙が出そうになりました。続きが気になります……!