テラーノベル
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文化祭の人混みの中。友達と合流する前に、少しだけ校舎裏の通路を歩いていた。
──その瞬間。
「ねぇ、君かわいくない?何組の子?」
知らない男の子が、にやっと笑いながら寄ってきた。
「よかったらさ、一緒に回ろーよ」
「……友達と待ち合わせしてて」
そう言って距離を取ろうとしたのに、
相手が一歩踏み込んでくる。
「えー?ちょっとくらいいいじゃん。
彼氏とかいるの?」
うわ……めんどくさいタイプだ。
早く離れたいのに、通路が狭くて逃げられない。
「やめて──」
そう言いかけたとき。
後ろから、
笑っているのに、どこか刺さる声が落ちてきた。
「……はぁ?おるけど?」
振り返ると宮侑が立っていた。
笑顔。
だけど、あの目は本気で怒ってるときのやつ。
「侑……!」
「なにしてんの。……俺の彼女になに話しかけてん?」
侑は軽く笑いながら、
さりげなく私の腰を引き寄せた。
「他校の子ってそんなに礼儀ないん?
人のもんに手出すとか、教育悪いんやねぇ」
男の子は怯んで後ずさる。
「いや、その……別に触ってないし──」
「あぁ触る前に止めたんは俺やけどな?」
侑は嬉しそうに笑ってるのに、
その声は完全に“怒ってる侑”。
彼の指が私の腰にきゅっと食い込む。
「うちの子に触ろ思った瞬間にアウトなんよ。
分かる?……次やったら指折るで」
一瞬で空気が凍りついた。
相手は真っ青になって逃げていく。
侑はふぅ、と息を吐き、
私の頬にそっと手を添える。
「怖かった?」
「……ちょっと」
「かわいそぅになぁ。
ほら、俺がずーっと一緒におるから」
そう言いながら、当たり前みたいに手を握ってくる。
それだけで、胸が温かくなった。
コメント
1件
Wow侑イケメンすぎんだろがおい え、?まじ好き