この作品はPrince aux fraisesの完全版となっております。
何度も書き直し申し訳ありません…
今までのPrince aux fraisesは相互さんのみ公開となっており、現在は誰も見ることができなくなっております。
もし見たいという方々がいましたら、この作品で私の投稿したコメントのいいねが15を超えたら再び再公開したいと思います
そして、この作品の他にもう1つ、この作品で出てくるものの公開可能な情報等を連載として投稿させて頂こうかと考えております
長くなってしまいましたが、読んでいただけると幸いです
それではどうぞ〜
Prince aux fraises
0話
紫side
長時間インカムを付けすぎた所為か、若干耳鳴りを感じる
目を閉じて、キーンと鳴るのが収まるのを待って再び目を開けた
見上げると窓の外の月は雲に隠れていた
独特な鉄の匂いが鼻をくすぐって少し眉間に皺を寄せ、視線を戻して足を動かすと、ピチャと音を立てて波紋が広がっていく
歩く度音が鳴るこの床は、とても汚い
「___あ、なーくん。終わった?」
ふと、聞き慣れた声が聞こえて顔を上げると、、そこには山積みになった死体の上にジェルくんが座っていた
笑顔で手を振る姿は可愛らしいが全体的に見たら恐怖でしかないだろう
「____…今終わったところだよジェルくん。あとソレは汚いから座っちゃダメ」
手を差し出すとジェルくんはその手を取って死体から飛び降りた
にへっと笑うジェルくんの頭を手袋を取って撫でる
「ジェルくんは終わった?」
「バッチリや」
嬉しそうに笑うジェルくんに笑い返してもう1人を探す
「さと___」
バンッ!
突如鳴り響く銃声
きっと彼が放ったものだろうと音のした方へと向かう
角を曲がり、一つの大きな部屋に入ると予想通り彼が立っていて何か探しているようだった
「終わった?」
近づいて視線を合わせると一瞬こっちを見た彼はコクリと頷いて少し小さめのアタッシュケースを差し出して来た
「お、今回のお目当てだね。ありがとう」
受け取って立ち上がると彼も立ち上がった
それとほぼ同時にカチ、という音が微かに聞こえた
「___そろそろ此処も崩れるから俺達も早く此処を出よう」
踵を返し、建物の階段を駆け降りる
外に用意しておいた車に乗り込み、発進すると同時にドォーンという重い音が辺りに響いた
「ぅおぉー!」とはしゃぐジェルくんを横目にアタッシュケースを開ける
「……うん、バッチリ。任務完了だね」
ケースを閉じて顔を上げる
喜ぶジェルくんと、逆に暗い表情のさとみくん
「…嬉しくなさそうだね、さとみくん?」
膝に頬杖をついて顔を覗くとさとみくんと目が合った
「…あぁ、此処にも…居なかった、から」
「………じゃあ、そろそろお開きかな。この国も」
「あと行ってない所って何処やったっけなぁ」
「そうだねぇ……1つ、居そうな所はあるよ」
一つだけ、彼処が
「………ほんまに行くん…」
「ごめんねジェルくん。でも行くしかないんだ」
俺達の大嫌いな場所
「_日本に」
窓から見上げる満月は、綺麗に輝いていた
赤side
ふわ、と窓から風が吹いて髪を揺らした
「莉犬くん。それは、美味しいかい?」
生徒会室と名付けられた部屋の中で、向かいに座るころちゃんは首を傾げた
「美味しいよ」
パソコンの横に置かれたいちご味のたけのこの里をころちゃんが取りやすいように差し出す
ころちゃんは手を伸ばし中から2、3個取り出した
1個口に含むと瞳をキラキラさせて美味しそうにもぐもぐと口を動かした
「るぅとくんもどーぞ」
パソコンと睨めっこしているるぅとくんの口元に1個近づけるとぱくっと口の中に入れた
「ん…………ぇ、美味しい」
「でしょでしょ!」
「うん……ってか2人とも。作業をしろ」
「…会長。たまには糖分摂取しないとですよ」
俺がそう言うところちゃんも「そーだそーだ」と声を上げた
「2人は常に取ってるじゃないか。まったく…笑」
呆れた様に、でも愛おしいものを見つめる瞳で頬杖をつくるぅとくん
仕方がないのだ
目の前の仕事の量を見ると、どうしてもやる気が失せてしまう
「しょうがない。休憩にしよう」
「「やった!」」
そう言って立ち上がったるぅとくんに思わずハモってしまい、目を合わせてふはっと吹き出した
ソファーに3人座り、お菓子とココアを飲みながら談笑をする
するとふと、るぅとくんが口を開いた
「____…あ、そういえば。明後日転校生が来るんだって」
持っていたお菓子が、床に落ちた
視界に映るころちゃんはタラっと飲んでいたココアを口から垂らしている
汚い
「……………ぇ、あ、明後日?」
「そう」
るぅとくんはズズ、とカップを啜ってテーブルに置いた
その動作はあまりに優雅で頭の中を?で埋め尽くした
「ドユコト?」
口を拭ったころちゃんは目を丸くし問うとるぅとくんは淡々と答えた
「今日昼休みに理事長に会ったんです。まぁ会ったというか掻っ攫われたんですけど」
「それで転校生が来るって事を教えてもらったんです。手続きとかはあちらで済ましてあるそうですよ」
「当然僕は頭が追いつくわけもなく、気がついたら放課後で、考えついた結果が理事長だしなって感じで今はこうして落ち着いてるってわけ」
暫く無言の時間が続いた
「「…まぁ、理事長…だしな」」
あの人ならあり得ると、俺ところちゃんは結果的にそう落ち着いた
「でしょ?それと、これも頂きました」
るぅとくんは立ち上がると鞄を漁り、クリップでまとめられたプリントを渡してくれた
「……あぁ、その転校生?」
ペラペラと捲り、見た感じ転校生は3人
「……?なんか、変ですね」
その報告書には名前、性別などは書かれているが、重要な住所や学歴等が空欄のままだった
「そうなんだよね、なぜ直前に伝えたのか、なぜ貴重な情報がないのか………」
るぅとくんは悪い顔をして何処かを見つめブツブツと何かを呟いている
「あは、は…」
ふと、視界に映った
瞳孔が開かれ、少し張られた目
無表情だけど、底から湧き溢れる怒りの感情が俺の背筋を震わせた
「……ぜ………す……」
なんだか
嫌な予感がする
「……ころちゃん、?」
ハッと、音が鳴る様に顔を上げたころちゃん
こっちを向いた顔はいつもと変わりはなかった
「えっ?何?」
「……ぁ、ううん。なんでもないよ」
ヘラっと笑って、報告書に目を移す
「………………」
「…………?」
なんか、見た事ある…
ペラっと捲り、出てきた1人の男性
「…………條檻……なな、もり?」
「っ」
そう口にした瞬間、ころちゃんが勢いよく立ち上がり、俺から報告書を取り上げた
「、そろそろ…帰ろうよ。もう、暗くなるよ」
「ぇ…あ、うん。そう…だね」
「………………」
「…ハァ、じゃあ今日はここまで。帰る支度するよ」
るぅとくんが立ち上がるのと一緒に俺も立ち上がって支度を始める
無言の時間が、なんだか苦しく感じた
コメント
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見たいです!
続きは10/10の19時頃になります