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描くの楽しい……
3話目ですよぉ!!
出海サカキ(16)
クヌギの親友で、シオンとは幼なじみ。
ツッコミが得意。
|サカキmain
6月の2週目。
体育祭の練習で授業や放課後遊ぶ時間が短く
なってきた。
廊下には美術部が描いたポスターが
貼られている。
有名なアニメキャラが甘ったるい絵柄で
描かれていたり、分かりやすくギラギラと
した背景に「優勝!!」と達筆で
書かれている。
俺は別に体育会系というわけじゃないので、
競技はとりあえず綱引きにした。
クヌギはリレーに出ることになって、
シオンも応援団に入っていた。
先輩も確かリレー選手だったはず。
けれど最近会っていない。
忙しいのだろうか。
チャイムの音が鳴る。
やっと6限目が終わって、特に練習もない
俺は挨拶をしてから足早に家に帰った。
家に帰ってスマホを触っていると、
「サカキ、ちょっと早く着替えて。
出かけるわよ」
「ぅえ、どこ行くの?」
「シオンちゃんのお母さんからね、
一緒にご飯食べないかってお誘いされたの。」
「げっ」
正直あそこは嫌いだ。
母親たちは高い声で俺をからかってくるし、
父親たちはよく分かんねぇ話をしてるし、
シオンもきっと俺といるのは嫌なはずだ。
幼なじみと言っても、
幼稚園のときとは身体も心境も違う。
かと言って俺が母親に逆らっても
怒られて嫌味を言われるだけだ。
その辺にあった適当な服に着替えて、
スマホをポケットに入れて家族と家を出た。
焼肉は好きだ。
けれどこの空間で食べるのは酷な話だ。
明らかに面倒くさそうな顔をしながら
シオンがソファに座ってきた。
学校ではよく話したり遊んだりするが、
実は2人きりはそこまで仲が良くない。
シオンの母親、おばさんが「食べて食べて」と
俺の皿に肉を乗せてくるけど、
既に気まずさでお腹がいっぱいだった。
シオンはスマホを見たままでおばさんに
怒られていて、
俺は食べるのに必死だ。
しばらく経って、お酒が回った大人たちは
大声で話をし始めた。
母親たちは生理がどうだの言っている。
別に貶してるとかそんなんじゃないけど、
俺も男な訳で、正直理解しづらいのでこの場
で話すのはやめて欲しい。
シオンは顔を真っ赤にしてるんじゃないかと
思ったけれど、
案外真剣に話に加わっていて、
女ってよく分からねぇと思った。
……これも差別的発言になるのだろうか。
やっと解放された。
時間は10時を過ぎている。
大人たちはもっと話す気満々だったが、
シオンの祖母が
「明日もこの子たちは学校なんでしょ」
と言ってくれてお開きとなった。
ずっと話をしてなかったはずなのに、
シオンは最後に「ばいばい」と俺に言った。
なんなんだあいつ……?
あいつにとって挨拶ってそんな大事なこと
なのだろうか。
すっかり疲れ果てた俺はベッドに
倒れ込んだ。
こんなに疲れるなら、まだ体育祭のほうが
楽しいのかもしれない。
頑張ってみようかな。
そう思いながらあっという間に
眠りに落ちた。
|ケヤキmain
最近は体育祭の準備で忙しく、なかなか
後輩3人たちに会えていない。
会いたいのは山々だけど、
あの日のことを思い出してしまうと、
行きづらくなる。
一度考えてしまったら中々頭から離れない。
小学生のころ、好きな子ができた。
元気で明るい子。
その子に振り向いてほしくて、
その子に近寄るもの全てを妬んで、
その子と遊んでいる友達の髪を引っ張り
あげたり、
その子が飼っていたペットを
思いっきり蹴飛ばした。
それ以来その子は私に話しかけてくれなく
なった。
中1のときにも同じようなことがあって、
両親泣かれてからはしていない。
私が高校進学で家を出ていくとなったとき、
両親はほっとした顔をしていた気がする。
「寂しくなるわねぇ」
「いつでも帰ってきていいんだぞ」
そんな言葉をかけられた。
でも、その安堵した顔を見て、
私の心にはじーんと怒りが広がっていった。
もうしていないとは言ったものの、
その世間から奇妙だと言われる心が
消えたわけではない。
ちょっとしたことがきっかけですぐ
戻ってきてしまうものだ。
……どうしたらクヌギくんは、
私のものになってくれるんだろう。
歯車が……!回り始めたっ……!!!
てことでまた次回^^