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耀聖(ようせい)
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耀聖(ようせい)
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【ブライン国の成り立ち】
数百年前――商業連合は、星団各地に散らばっていた施設を、不毛な惑星へ集約することを決定した。
そして、長い年月をかけて惑星の気候変動を完全にコントロールし、商業に特化した、美しい惑星を作り上げる。
その後、商業連合は独立国家として生まれ変わり――ブライン国が誕生した。
統治体制には大統領制を取り入れ、すべての商人に選挙権が与えられている。
ただし、国家のトップは大統領とは呼ばない。
商人たちの国らしく、その最高指導者は「会頭」と呼ばれている――。
※※※※※
【ブライン国・会議室】
初老の男が会議室の椅子に座り、肘をテーブルにつき、顎を乗せたまま、寡黙を貫いている。
少し前、グレイスと向き合った男だ。
名は――ヴァルター・グレン。
狡猾な軍事会社の顧問である。
「ようこそお越し下さいましたヴァルター様」
ヴァルターに向き合うのは、船の墓場に放置されたディスティアの自爆型戦艦から、システムを強奪した男。
名は――ドレイク・ハルト。
今は亡きコンドラトの意思を継ぐ、裏商人である。
「装置は手に入ったが、ソフトがなければダメだな」
「結局、あの船には残骸しか残っていませんでした。危うく追跡されるところでしたよ」
したたかなアーレイが、そんなミスをするわけもない。逆にトラップを仕掛けられ、危うく逆探知されるところだったのだ。
ドレイクは口には出さず、苦虫を噛み潰したような顔をする――。
「ふむ、となれば、デルタ宇宙軍に保管してあるのか」
「ああ、間違いなくアーレイが持ち去ったからな」
彼らが欲する情報は、デルタ宇宙軍――それも、宇宙港にある指令本部に厳重に保管されている。
買収した程度で簡単に手に入る情報ではない。
だが、ヴァルターは臆するどころか、ニヤリと口角を上げた。
「貧乏貴族を探し出してくれ。こちらで調略のプロを用意する」
「お安い御用です。早速探しますよ」
何を用意すればいいのか、一発で理解したドレイクは、さっそく動き始める。
「準備が終わったら連絡をくれ。上手くいけばジェフを暗殺できるからな」
「承知しました。アーレイの奴に一泡吹かせましょう」
暗躍する裏社会の連中の思惑が、一致した瞬間だった――。
グレイスが求めた禁断の技術。
この小さな依頼が、やがて誰も予想しなかった騒乱へと繋がっていくことになる――。
※※※※※※
【クーン城・客間】
「パルエッタ、パルティータ頼む!」
「了解です!」
客間へ移動するなり、ステイシーは両手を合わせ、バグウサギたちに頭を下げた。
何故この展開になったのか――。
『アーレイ陛下、折角なので、学友とお茶をしてから帰ろうかと――』
ウルフの余計な一言だった。
勿論、ステイシーが逃げ回っていたのが原因だ――。
「ウルフ王子がいらっしゃいます」
「……」
侍女が扉を開けると、ステイシーの緊張度合いはMAXを迎える――。
取り敢えず両脇をバグウサギで固めていた。
「やあ皆、急にお茶会を開いて悪かったね」
そしてウルフが入って来た。
「王子、サラがいなくて残念そう」
ステイシーに顔を向けたウルフが口を開こうとした、その瞬間だった――。
「……パルエッタ君……そういう感情は無いのだが……」
「でも、懇親会で赤い髪の女性を探していましたよね(笑)」
もちろん、これはアデールとの情報共有があってこその先制攻撃だ。
「いや、その、それは……(汗)」
そんな裏工作など知る由もないウルフは、思わず狼狽え言葉に詰まる――。
(ヤバい、もっと慎重にすれば良かった……)
見た目は可愛らしいが、パルエッタとパルティータは王族だ。
その一挙手一投足を観察されていたと気づいたウルフだったが、もう遅かった。
その言葉を聞いたステイシーの顔が引きつる――。
(うわぁ、こっちに振ってきたらどうしよう……だけどナイスよエッタ!)
そもそも、二匹のバグウサギさんは、フリータイムの時にウルフをそばで観察して、小言もキッチリ聞こえていた。
なので――。
「王子、サラがいないと呟いていたよ」
そして、パルティータが突っ込みを入れる――。
「な、なぜそれを……(大汗)」
もうこうなれば、バグウサギの尋問大会だ!
ティータ「サラのどこが気になるの?好きなの?」
ウルフ「いや、それは……ああもう!」
エッタ「じゃあ、嫌い?」
ウルフ「それも違う!」
ティータ「では、好きでも嫌いでもない?」
ウルフ「……そうだ」
エッタ「つまらないな」
ウルフ「君たちは一体、何なんだ!?」
エッタ&ティータ「「恋のキューピッド!」」
ウルフ「……」
この後、ひたすら弄られるウルフ――。
「王子の目的は嫁探し」
「な、なぜそれを……(汗)」
エッタに弄られるウルフを生温かな目で見るステイシー。
<プークスクス、さすがだね~>
「アイラ、受け答えよろしくね」
<はいはい>
ステイシーはモジュールを使って公務中のアイラと繋がり、状況を確認している。
ウルフから何か質問された時に、すぐ対応できるようにするためだ。
「あの二人のコンビネーション凄いね」
<だってバグウサギだもん(笑)>
もっとも、この様子ではステイシーの出番が来ることはなさそうだった。
(二人には後で何か、お菓子でも買ってあげよう)
こうして、クーン女子たちの協力のもと、ステイシーは身バレすることなく、お茶会を終えるのだった……。
※※※※※※
【クーン城・客間】
ウルフが帰った翌日……。
「姫姉様、昨日は大変でしたね」
「そうなのよ、まぁあの二人がキッチリガードしてくれたから何とかなったよ」
公務から戻ったアイラとステイシーは、お茶をしながら昨日のウルフについて話していた。
「ングング、美味しいのだ」
バグウサギさんは、お礼として渡された人参のパイを夢中で頬張っている。
「お茶が済んだら課題を終わらせましょ」
「うふふ、今回はちゃんと先読みしてますね」
前回懲りたので、ステイシーは速攻で課題に取り組み、今日中に終わらせる予定だ。
年末年始は公務が密集しているので尚更だった――。
「ステイの順位落ちてるよ」
「はっ?」
「バーチャの方」
パイを頬張るティータがバーチャルRPGの順位表を見せてくれる。
休み前まではぶっちぎりの一位だったのに、今では十二位まで落ちていた……。
「ああ、みんな休みになったから潜っているんだ」
「必修科目だからね。今夜でも潜ってみたら?」
「そうする」
課題と公務に追われていたステイシーは、最近バーチャルRPGに潜っていなかった。
順位を落としたことが癪に障ったのか、今夜にも首位を奪還せんと、鼻息を荒くしていた……。
※※※※※※
【バーチャルRPG・草原】
自室で、バーチャルRPGに潜ったサラ——。
今回はお金よりも順位を上げることを優先し、クエストを受注するため、草原にある村を目指す……。
『デュエルを申し込む』
「はっ? 潜ったばかりでこれかよ(オコ)」
デュエルを申し込まれることは多々ある。
しかし、今回の相手は――。
「サラ! 私と正々堂々と勝負しなさい!」
「えっ、ああ、ヴァレリア……あなた、プレイヤー名変えなさいよ……」
バグウサギに倒されたヴァレリアだった――。
しかも、プレイヤー名が本名のままだった。
「私に倒されたって、分からないでしょ!」
「……」
サラは少し考え込む――。
(確かバウンデ……ゲーム機は高価で……)
バウンデ王国は急激に発展しているものの、個人がバーチャルゲーム機を買えるほど裕福ではない。
「あー、分かった! ゲーム、初めてなんだ!」
どうやらヴァレリアは、デルタに来て初めてバーチャルゲームに触れ、よく分からないままプレイヤー名を本名にしてしまったらしい。
「くっ! うるさいうるさい!」
どうやら図星のようだ――。
だが、まだ違和感が解消されない――。
(いきなりって、チート……いや、待ち伏せ……まさか、私がここに来ることを読んでいたの?)
ヴァレリアが、そんな裏技を知っているとは思えない――。
「……私が来ることを見越していたの?」
「このクエストは人気が無いけど、単位が多く取れるでしょ、貴女なら来ると予想したのよ」
草原の村で受注できるクエストは、難易度が高く、面倒な依頼が多い反面、単位を最も多く獲得できる。
ランキング一位の常連であるサラなら、ここを狙うと読んで待ち伏せていたのだ。
「えー、まさか、あの時のことを根に持って、待ち伏せしたのね」
「うぐぐ! そんなことより早く勝負しろ!」
またしても図星だ――。
それを裏付けるように、ヴァレリアは顔を真っ赤にしている。
ここまで来れば、もう絶対に引かないだろう。
「いいわよ。さっさと済ませましょう」
「望むところよ! かかってきなさい!」
サラはウィンドウを開き、決闘のアイコンを押す。
3――。
2――。
1――。
バキィィィン!
互いの剣がぶつかり合い、鋭い金属音が草原に鳴り響いた――。
この戦いが、後にサラの運命を変えることになるとは、まだ、誰も想像していなかった……。
コメント
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第22話読了〜!🌙 ブライン国の成り立ちから始まって、ヴァルターとドレイクの密談、不穏な空気がじわじわ来る…。禁断の技術を巡る動き、ちゃんと伏線になってるやつだよね、怖いけど気になる。 その後のクーン城パートで一気に空気変わるの好き。ウルフ弄るバグウサギ強すぎて笑ったww「恋のキューピッド」連呼してるの可愛すぎ。ステイシーが無事やり過ごせて良かったね。 ラストのサラvsヴァレリア、まさかあの因縁がバーチャルRPGで続くとは思わなかった。次が気になる〜!