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きさらぎ駅…2000年代にとあるサイトに投稿された架空の駅。都市伝説として語り継がれている。周辺駅は“ヤミノヨ駅など。静岡県周辺にきさらぎ駅があり、ヤミノヨ駅は愛知県付近にあるとのウワサ。
黄泉よみ…死の世界。黄泉から生き返ることを黄泉帰ると言う。生と死の世界の境目には川があると言う。
「…へえ。こんなの信じるわけないじゃない」
パタン、とかるめは本を閉じる。今、友人同士のかるめと瑠奈は電車に乗って遊園地へ行く途中。結構遠い駅だし、楽しみすぎて昨日あまり寝れていなかたこともあり、とても眠たい。
「じゃあ、次の怖い話ね…“よもつへぐい”って知ってる?その黄泉の世界で食べたり飲んだりすると——現世にかえれなくなるの」
「そうなんだ…ねむくない?」
眠気が強くなると、それにつられるかのようにどんどん口数が減っていく。
「ねえ、まだ何えきかあるし…ねない?」
「ないすあいであ。じゃあ、おやすみ、るな…」
「おやすみ、かるm…」ガクッ
2人は深い深い眠りについた
ガタン、キーッ…ガタン、キーッ…
変な音に、2人は目を覚ました。窓を見ると、空が暗い。もう…夜?よぉ〜くみると、濃い赤色…?
「血みたいな赤い色⁈」
「ええええ⁈それってヤバいじゃん!」
車内も一変していて、清潔だった薄いベージュ色だった壁や床、天井は筆でとばしてしまったかのように濃い赤色が染み付いている。そして、ムッと変な臭い。
「うわッ!何か腐ったような臭いがッ…。と、とりあえずマスクつけよう!」
2人はマスクをつける。そして、車内のスピーカーがザザッ…と音を立てて、アナウンスが始まる。
「ツギハ キサラギ駅 キサラギ駅 フワンパーク、キサラギ商店街ニオコシノカタハ ツギデオオリクダサイ」
「フワンパーク、キラキラ**、、、、**駅…。まさに、私たちが行きたかった場所だよ!行こう!」
瑠奈がかるめの手を掴み、走る。
「えええええ⁈ちょっと、瑠奈〜ッ!」
改札はバキバキに壊れていて、キラキラ駅きさらぎ駅は大きいのに無人駅だった。階段も段が抜けていて、高架駅なのに怖いほど壊れかけていた。外観も怖い。濃い赤色に塗られていて、塗りムラがある。階段脇に置かれていたキラキラ駅きさらぎ駅周辺ガイドマップを取り、それを参考に進むがあるのは駅周辺&平地なのにも関わらずの獣道、そして廃墟的な建物、放置されて草ぼうぼうの空き地。しばらく歩くが、フワンパークには辿り着かない。
「ねえ、私たち降りる駅間違えちゃったんじゃない?」
そう言ったのは、興奮して駅をでた瑠奈。
「そっか…じゃあ、引き返そう」
かるめも引き返そうとする。すると!
ピーンポーンパーンポーン
近くにあった防災無線が音を鳴らす。アナウンスをしている人は、合成音のような声でペラペラしゃべる。
きさらぎ駅周辺へようこそ。こちらは、選ばれしかるめさんと瑠奈さんがこちらを脱出するというゲームです。では、支給品を今から渡しますので、なんとか脱出するためのカギを探しながらこの駅周辺を出てください。制限時間は5日。それを過ぎると…死にますよ…ふふっ
短いハウリングを残して、アナウンスは終了。
「私たち、名前をこんな声の人に告げたっけ?」
「つ、告げてない」
ブルブル震える2人の前に、段ボールが落ちてくる。
「とりあえず、使えるアイテムを確認しなきゃ!」
支給品
・5日分食料×2人分(米、インスタントスープ)
・水5日分×2人分
・医薬品
・レインコート
・ゴーグル
・マスクの予備
・オケ
・マッチ
・薪
・飯ごう
各自持ち物
・スマホ→使えない
・ペットボトルのお茶
・マスクの予備
・お金
・一泊分の服
・遊園地チケット×10(クーポン含む)
確認したあと、かるめは重大なことに気づく。
「…ええ⁈スマホが使えない!」
「ホントだ…。エラーって出ちゃう!!」
「そ、それに廃墟で過ごすのは嫌だ!」
「…ってことは野宿⁈だからゴーグル入ってるの?」
2人は大混乱。でも、すぐにこの不気味な世界から出たい。
「よし!かるめ!私たち早くここからでるよー!!!ねえ、せーので**おーッ!**って言わない?」
「いいね!じゃあ、瑠奈が掛け声言ってよ!」
「いいよ!せーのッ」
「「おー!」」
その声は、静まり返ったきさらぎ駅に大きく響いた。あと、5日。
そうして、2人はきさらぎ駅周辺での生活をスタート。とりあえず、暮らす場所を決めないと!野宿とかは絶対いやだ!廃墟の中でもキレイそうな場所をきめる。
「ねえ!あそことかいいんじゃない?」
2人が暮らすことにした場所は…大型の公民館。そこだけキッチリ片付けられていて、その一角で住むことにした。
「あ!こことかどう?“遊戯室”、給湯室にも近いし!」
瑠奈はそこに支給品の段ボールを置く。
「で、でも給湯室は水とかガスとか…」
かるめはそういい、給湯室直行!しかし、残念。
給湯室は衛生環境的にも悪いし、水もガスもでない。
「あーあ。…ってことは自分で火おこしするの⁈」
「そうみたい。それに、米も自分で炊くし…やりくりはキツイだろうな〜…」
そうして、2人は公民館探検をすることに。
「もしかしたらここに脱出のヒントがあるかもだし、ね!」
瑠奈はそういうが、かるめは乗り気じゃない。瑠奈はスマホのライト機能を立ち上げる。ネットが繋がらないだけで、カメラやライト機能は使えるらしい。
「じゃあ、私は先行ってるから。かるめは電気が使えるかチェックして!」
「わかった!瑠奈!」
瑠奈はかるめが探検などに乗り気じゃないことを知っていた。だからかるめを置いて行った。
(まあ、それも優しさのひとつだと思うし!)
そう思いながら瑠奈は廊下を歩く。すると…
パッパッパッと、天井についていた蛍光灯が、光った。それらは消えたり、光ったりと不気味。
「かるめ、電気つけてくれたのかな…?」
そう呟いて“事務室”と書かれた部屋に入る。事務室は紙が散乱していて、ひどい状態。その紙の束のなかに、ひとつ少し膨らんだところがあった。瑠奈は無心で紙をどかす。すると、出てきたのは…
**「…ヒッ!**か、かるめ⁈」
血まみれで、服もビリビリの人間。髪は長く、ポニテになっている。これ、かるめ⁈
「キャアアアアア!」
瑠奈は紙の束を投げつけ、走って逃げた。かるめだとしても、こんなありさまだったらさすがに近づきたくない!
そして、遊戯室に戻ってきた。かるめがニコニコして駆け寄ってくる。
「瑠奈〜!焚き火台を作ってみたの!米が炊けるよ!やったね★」
でも、瑠奈は笑えなかった。死体だったかるめが、生きてる?瑠奈はかるめの手を取り、脈をはかったり手をにぎったり。
「…あったかい。生きてる…」
「??急にどうしたの、瑠奈?」
「…なんでも」
瑠奈はスマホを見る。そこには、**さっき見たかるめの死体が、写っていた。**しかも、ロック画面の背景になっている。
「ヒッ」
瑠奈は写真データを見るが、そんな写真ない。
(いやだいやだいやだ!)
瑠奈は背景デフォルトに戻した。こうしたら、きっと大丈夫だと思ったから。
そして美味しく炊き立てご飯とインスタントのパスタスープを食べて、遊戯室のおままごと用のコップをきれいに洗い、その中に水を入れて飲み、おままごと用の毛布を敷いておやすみなさい。お風呂はなかったため、入れなかった。
ピーンポーンパーンポーン
外の防災無線が、音を鳴らす。声は朝くらいに聞いた合成音のような声で、短いアナウンスだった。
「2人とも、ヒントは見つかったかなぁ?あと4日だよぉ…キッキッキ」
また短いハウリングを残し、街に沈黙が訪れる。空の色は変わらず、濃い赤色。ポーッと、防災無線から小さい音。午前0時…つまり、あと、4日を伝える音が鳴った。
あと、4日。
スウスウ…スウスウ…
寝息をたて、2人は熟睡中。すると、防災無線が音を鳴らす。
ピィーンポォーンパァーンポォーン!
「ふぇえええ⁈」
2人はビックリして飛び起きる。めっちゃでかいよこの防災無線の音!アナウンスをいれているのは、いつもの合成音の声。
「おっはよーごっざいまっっす!このアラームで毎日君たちを起こすからね★あと4日でーす。頑張ってね。では、今日は本格的に脱出の用意をしてもらうね。脱出方法はカンタン。“恐怖体験を500回味わうか、××××をするか。どっちにしても大変だよ〜。キッキッキ」
またハウリングを残し、アナウンスは終了。
この日は、公民館を出てきさらぎ駅周辺を探検することにした。ただっ広い空き家や空き地。車や人、自転車も通らない、コンクリートで整備されていない獣道。整備されている道は、タイルが敷き詰められてはいるのだが、バリバリに割れていて危険。葉が一枚も生えていない木は、鳥もとまらない。そして、山。2人は山の中に入る。散策路は“放置したらこうなったよ〜★”といった雰囲気がすごい。もっと進むと洞窟があった。
「ねえ!洞窟入ってみよう!ここで休憩、休憩!」
「え〜?瑠奈、まだ入山してから5分も経ってないよ…?」
「いーの、いーの!」
洞窟の中で休憩するか口論でケンカになりつつも休憩することにした2人であった。
「やっぱり、このコンビは気が合わないなぁ。もっといい感じのコンビにできなかったの⁈ねぇ、キサラ?」
「!!で、でも…サラギ様の命令通り、この2人は気が合わないからこそ、××××ができないんだと…」
「でも、アイツらは親友だ。500回でも恐怖体験は受けて立つだろう」
「でも!2人とも怖いコトは嫌いです!でも…あんなサバイバル精神があるなんて…」
「は〜…パスタスープ美味しい…」
2人は、焚き火をして朝食を食べている。ホカホカとしたスープが、極上の味…!!
「はやく遊園地行きたい…」
瑠奈はボソッとつぶやく。でも…
———こんな場所では遊びたくない。
その心が頭をグルグルまわる。そんなの、かるめだって同じ。
「はやく、帰ろうね。かるめ」
「そりゃあ、帰るに決まってる」
かるめは早口でそう言って、スープパスタをサッサと食べた。
(私だって、死にたくない。でも…)
かるめはそう思う。すると…
ガラガラガラ!
公民館の方から、音がした。
ガラガラガラッ!
「今の音…公民館の方から⁈」
「い、行こっ」
体力が切れつつも着いたのは、公民館。公民館は、ひどいありさまだった。がらがらと崩れた建物。そして、事務室にあったたっぷりの書類。しかし、瑠奈が見た死体は見当たらなかった。食料や水や飯ごうに医薬品、ゴーグルやマッチ、そして毛布やオケは長旅になることを想定して持ち歩いていたからセーフだったものの、焚き火台は崩れてしまっていて…。
「あーあ!結局洞窟で…」
瑠奈はハーッとため息をつき、焚き火台の制作中。瓦礫の中や道中に拾ったレンガを並べて、改めて焚き火台制作。どうやら1往復したからという
「ちょっと、瑠奈。真面目にやってよ〜…あ!ここが2mm**も**ズレてる〜。ちゃんと直して」
「は〜?めんどくさ〜…」
瑠奈はハーッとまたまたため息をつき、レンガのズレを直す。
「ふーっ。じゃ、米を炊こう!」
「その前に探検しよ〜。疲れたよ〜…」
「疲れたから探検⁈アホじゃないの?」
「ウッ…うるさいうるさいうるさーい!もうかるめはいっつもそう!真面目すぎて頭が固くなっちゃったんでちゅねー」
「**は〜?何⁈**もういいわ!瑠奈のアホ!」
そして、瑠奈はそのまま奥にいってしまう。すると、「ぎゃああああ!」という大きな悲鳴!
「瑠奈⁈」
かるめは声がした方へ走る。すると、洞窟の端っこが見える。よくアニメで向こうが崖!ということがあるから…キキィッと、かるめはスピードを下げ、用心深く歩く。するとそこには…
「…川?」
崖じゃない。ただの川だ。いつの間にかバチャ、と自分も川に入っている。
「気持ちいい…」
かるめは、どうしても川から足が出せなかった。ちょうどいい温度、そしてちょうどいい水の深さ——
…あ、向こう岸に放送機器と…瑠奈だ!あそこから、放送を出していた…?
「瑠奈ぁッ!」
かるめはバシャバシャと足を動かす。すると、瑠奈はバッと手でダメサイン!
「か、かるめ!こ、こないで!こ、ここはッ…黄泉だよ!きちゃだめ!」
「で、でもッ…って、え?よ、黄泉…?」
(黄泉って、電車の中で見た…ッ——あ!)
瑠奈の他に、もう2人いる。1人は、男にも女にも思えない。
「ははは!こんにちは〜」
アナウンスを入れていた、あの合成音。ちゃんと人間がアナウンスを入れてたなんて…。そしてもう1人、女。
「瑠奈ちゃん、かるめちゃんだね?今日はミーティングがあって呼び出した」
「み、みーてぃんぐ…?」
「そーそーそー。じゃ、はじめよっか。まず、僕たちの紹介だな。僕はサラギ。きさらぎ駅周辺の整備やゲームに参加する人を集めるリーダーなんだ〜。で、アナウンスを入れてくれたのはキサラ。キサラは声がちょっと…」
ぺらぺらしゃべる、サラギ。
「じゃ、このゲームについて改めてしゃべるね。僕たちは失敗者でね〜、次、君たちがミスったら僕たちは消える。…だから、どっちにしろ失敗してすぐさよーならってことはない。ってわけで、まだ残り4日だったね。瑠奈ちゃんは返すよ」
キサラに押されて、川に落ちる瑠奈。
「瑠奈!まさか、ヨモツヘ食い、してないよね⁈」
ヨモツヘ食い——黄泉で何か食べると、完全に黄泉帰りができなくなるというこわい物。
「して、ない」
かるめは、瑠奈の手首を強く強く掴んで逃げた。洞窟を出るといつの間にか、怖いほど空の色の赤みが濃くなっていて、超・不気味。
「瑠奈…全部教えて。なにかアイツらから聞いてるでしょ?」
「ううん!聞いてない!」
「ホント…?」
「うん。…いや、で、でも… ⁈ …ッ!」
瑠奈は、いきなりめまいがするかのようによろめく。クラクラ、クラクラ…。バタッ…。
「瑠奈!」
瑠奈は倒れ、そのままかるめが寝るまで目を覚まさなかった。
そして翌日、かるめは少しの寒気に目が覚めた。暗い。防災無線の音が遠くで聞こえる。風。光。洞窟。
(そうだ、昨日……ミーティングがあって…それで瑠奈が何かおかしくて…)
かるめは、一回洞窟の端っこへいくが、川があるどころか出口も見つからず。今は朝5時くらいっぽく、瑠奈は寝ている。その間に米を炊いた。しばらくして、瑠奈が起きる。
「…かるめ。ごめんね、なんか」
「いいの。それより朝ごはん食べよ」
「うん。いただきます」
瑠奈は米が入ったカップを持とうとした。手が、カップをすり抜けた。
手が、カップをすり抜けた。
「…?る、瑠奈…?」
かるめは異変に気づく。す、すりぬけ…?かるめは瑠奈の手をとる。しかし、それもすり抜ける。膝を触ると、ほのかな温かみ。
「もしかして、昨日サラギとキサラに何かやられた…?」
「………それは言えない」
「で、でも昔に秘密は言い合おうっていったじゃn**「黙ってくんない⁈」**
瑠奈が大きな声で叫ぶ。
黙ってくんない⁈黙ってくんない⁈黙ってくんない⁈黙ってくんない⁈
その声が洞窟の中で反響する。瑠奈はすごくイラついているような顔。すると、かるめの手を膝でツンッと軽く叩く。
「離れてくれる?」
「う、うん」
かるめは朝食を持って移動した後は、何もしゃべらずに別々で朝食をとった。静かすぎる。瑠奈が完食したらしく、「出かけてくる。あんたはこないでよね」と言い去っていく。その間、かるめは考えていた。
(もしかして、あの2人によってああなっちゃった…?)
かるめはカタン、と箸を置く。そして、リュックに色々詰めるとメモを置き、出発する。
瑠奈へ
行きたいところがあります。しばらく戻らないと思うけど勝手にご飯とか食べておいてください
かるめ
行くのはもちろん、あの黄泉だ。
(絶対、瑠奈を戻すから——)
あれからどれだけの時が経ったことだろうか
かるめは瑠奈を探し、色々なところをうろついた。街、駅、そして最終手段の洞窟。
かるめは1人でただ歩いている。ただ、まだ1時間も経っていない。1分も経っていない。
洞窟の奥へ進むと、光が見えた。光を目指して進むと、また遠く見える。そして、やっと端っこについた。端っこは、この前来た川。ちょろちょろ…と水が流れる。ここは、“死”と“生”の境目。ここを渡れば、あの世だ。
そして川を渡ると、キサラとサラギがいた。そして、瑠奈も。縦に長いカプセルの中に入っていて…って、え?
「る、瑠奈!!」
かるめは走って瑠奈に駆け寄る。しかし、キサラがかるめの体を軽く叩く。
「ダメだよ、かるめちゃん。瑠奈ちゃんはもうあの世の住民だから。ミーティングのあとから」
「ま、まさか!あんた…体を透けさせた元凶⁈」
「違うよ〜。私が代理をしただけ。透けはさすがに治せなかったか〜」
「…⁈ま、まさか。バタッと倒れた後、瑠奈とあんたが入れ替わって…」
「あーあ。バレちゃった。キサラは余計なこと吐きまくるマンだからねw」
「る、瑠奈を返してよ!!」
「本当にいーの?」
キサラはリモコンを取り出す。電源ボタンが押されると、音が聞こえてきた。
——瑠奈、ちょっとは考えて行動しなよ!
——かるめはカタブツだなぁ。でも、風紀委員よりマシだよね〜ww
「…これ、はじめて一緒に遊ぶ計画を立てた時の…」
——ねえねえ。もうこんな計画立ててたらめちゃくちゃだよー!それだけで休み時間終わりそう〜
——でも、それでこそ計画なんだから!!
(…もー、瑠奈はなんでもその場で決めようとする。嫌なヤツ!)
「私の心の声…」
かるめがつぶやくと、プツッと音声が途切れた。
「ね?かるめちゃんと瑠奈ちゃんは水と油だから、別に瑠奈ちゃんが消えてもかるめちゃんはプラマイ0。一石二鳥だよ〜」
「ッ…確かに瑠奈と私は水と油で話はほとんど噛み合わない。今回の遊園地の案だってそうだった。…でも」
「でもぉ?」
「瑠奈は大事な親友だよ!だから、研究とかには、使わせない。…っていうか、使うな!!お前らなんか、大っ嫌いだッ…!」
かるめはそういうと、カプセルめがけて手を拳にして…パンチした。
バキッ
「壊れた⁈」
「⁈サラギ、そんな簡単に…?」
すると、バキバキとヒビが入り…カプセルが、割れた。そしてカプセルから出てきたのは…溶けかけた、瑠奈だった。
「じ、実験成功…?」
「素晴らしいわ、キサラ!これで私たちはあの世に行かなくて済む。ウフフフフフ…」
かるめは瑠奈の手を触る。
「あったかくない…透けてる…!最悪…」
かるめはそういうが、瑠奈は戸惑って笑うだけ。
「もうッ…瑠奈のバカ!バカバカバカバカばーーかぁーーッ…!」
すると、サラギが舌打ち。
「あんたらねぇ、もうやめてy…」ピカアアアア
とつぜん、川から光が放たれる。すると、川から声がする。
「とてもかわいそうな女子おなごですね…。では、××××をキッチリ取り戻せた模様なので、願いを叶えてあげませう。なにがいい?ただ、1つだけよ」
美しい声。それに聞き惚れるヒマもなくかるめはさけぶ。
「瑠奈を戻して!!お願い!!」
「わかったわ。では、戻します。そして特典としてキサラ、サラギ。あなたたちをあの世行きとさせていただきます」
「え?」「冗談でしょ⁈」
すると、キサラとサラギの体が浮かぶ。
「待ちなさい!私が消滅したらどうするつもりなの⁈」
「そうよ、私たち“所有者”が消えたら…このきさらぎ駅周辺は消滅しちゃうのよ⁈
しかし、それでもキサラとサラギは体が浮かび…フッと消えた。
「いい?ここはもう2日ともたないわ。早く脱出しなさい。困ったらここへきてね」
「は、はい!」
かるめは瑠奈を引きずり、走って行った。
キサラとサラギが消滅した後。2人がいないときさらぎ駅周辺は消滅するとわかった。黄泉にいたかるめ達は、川の声を聞く。
「あの…、消滅って一体どういう…」
「今のこの世界の所有者はキサラとサラギだったの。所有者はこの世界に自分の養分を供給してこの世界は保たれてきた。でも、その所有者が消えたら…」
「養分がなくて、餓死するみたいに崩れる…?」
「…ヤバいこと、聞いちゃったな」
かるめは後悔しながら冷たい水を瑠奈の頭にかける。こうすれば1日で治るって、川が言ってたのでその通りにしている。もし、瑠奈が目覚めたらなんて言おう?そう思いながら、今日は寝た。
翌日。
「かーるーめ」
声が聞こえる。かるめは体を起こす。最初に見たのは、元気そうな瑠奈の顔!!
「…⁈る、瑠奈!」
かるめは瑠奈に飛びつく。しかし、瑠奈に避けられたため床にガッと体を打った。
「痛ぁッ!」
「あはははは。かるめらしいね」
瑠奈は多分、実験のことがあってからおとなしくなっていた。
「あのさ、瑠奈。このきさらぎ駅の秘密なんだけど…」
「うん。アイツら**、、、、**に全部聞いた。なんとか生きて、還らなきゃ!」
そうだ。生きて、かえるのだ。こんなところじゃなくて、本当は遊園地に…!
「よし!遊園地に行くためになんとか頑張ろう!」
まず、電車アナウンスであった、フワンパークに行かないと!
「…とはいったけど…」「ここが、フワンパーク…?」
フワンパークは、現実世界では遊園地。遊園地エリアと運河が流れていてカラフルなお店が可愛いヨーロッパエリアや植物園がある森林エリア、童話の世界観が楽しめる童話エリアなどがある、バチクソ広〜い遊園地なんだけど…**崩れそうな入場ゲートと、少しの遊具しかなかった。**道にはタイルが敷き詰められていたのかバキバキに割れたタイルが散乱している。ゲートにかけられたボードには“フワンパーク きさらぎ場所 きさらぎ駅周辺所有者失踪のため 閉園しましたと書かれている。これって、昔の所有者がいなくなったから、養分が消えて…ー
「も、もしかして…所有者が消えてできてできさらぎ駅が荒れた…ってこと?」
すると、パアッと光が放たれる。
「…!!眩しいッ…!」
2人の意識は、遠のいた…
「…ッ!」
風の中を、ゴウゴウと飛んでいる。というか、落ちている。下を見ると、活気のある公民館。見覚えのある駅舎。そして、遊園地。
「…ここって…!」「昔の、きさらぎ駅…⁈」
ワイワイと楽しそうな人の笑顔と声。そして、空は血のような濃い赤ではなく、ちゃんとバカみたいに青い。山は、元は市役所。所有者リーダー?が楽しそうに、どこか苦しそうに笑っている。そして、やがて超巨大地震がくる。人がたくさん死ぬ。時間が経って、市役所があった場所は地震で山になる。無人の自治体となった町に、また人が住む。遊園地を改造する。駅舎を改修する。また活気が戻ってくる。そしてまた地震がきて、人が死ぬ。
「……………」
そこに、ホラー好きの億万長者がやってくる。空を実験で赤くし、建物は廃墟的にさせる。人は追い出す。秘密の能力を科学者につくってもらって脱出ゲームをつくる。失敗したら幽霊のチカラを悪用してきさらぎ駅の所有者にさせる。それだけが目的。そのゲームにより、犠牲者は増えている。
「そんなこと、だった、なん…て」
瑠奈はつぶやいた。元々は町だったのだ。人がたくさん住む観光地だったのだ。しかし、結局自然災害と人の手がこんなことにしちゃったんだ。
「…う、そ」
所有者が消えたら、地震が起きる。それで消滅する。だなんて…………すると、**ガラガラガラガラ!**と大きな音!そして、強い揺れが瑠奈とかるめ、きさらぎ駅を揺らす。
「…⁈も、もう消滅しちゃう⁈」
ガラガラガラガラ、と山が崩れる。公民館の瓦礫が下に落ちていく。
公民館の瓦礫が下に落ちていく。
「…⁈」
公民館の方を見ると、陸地がバラバラと崩れ、下に落ちていっていた。
「に、逃げよう!」
2人は駆け出したが…すぐそこまで崩れてきている!2人は走って走って走った。
前回までのあらすじ
崩れまくる陸地から逃げている瑠奈とかるめ。ぶ、無事なのか…⁈
「ううううううう…!!!!」
すぐ後ろが崩れているのが音でわかる。もう、2人の体力も切れそうだ。
「…ッ!」
すると、かるめが落ちた。
「瑠奈ぁ!」
空間に放り出された私。そこは無重力で、フワフワ浮いていた。瓦礫などもそこら辺を浮いているけれど、落ちているようにも見える。
「…ッ!るn…」
しだいに、苦しくなっているような気がする。声が出せない。喉になにかくっついているかのように、なにも声が出ない…。
すると、落ちてくる瑠奈が見えた。
「…かるめ!」
「瑠奈!」
2人は手を握る。
「…瑠奈!なんで…⁈」
「だって、一緒に遊園地に行くんでしょ⁈また仲良くするって思ったのに…ッ。なんで諦めてるの⁈自分が生きて帰るって言ったんじゃん!」
「…‼︎…瑠奈!わかったよ!」
かるめは離そうとしていた手をまた強くにぎりなおす。
「「絶対、帰ろう!!」」
すると、光がパアアアアアアっと放たれる。
「…⁈そ、そういうこと…?」
「××××は、」
「「友情だ!」」
すると、また記憶が遠のいた…
「…ん?」
2人は目を覚ます。目を開けると、そこは普通の電車の中。“都市伝説大辞典!”がかるめの膝の上にのっている。
「「ひっどい夢見た」」
2人は声を揃えていい、アハッと笑う。そして、“フワンパーク前駅”に着いた。2人は、電車を降りた。