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#大森元貴
RanJam
23,004
soFt-dRink
1
o「す、すみません……っ!」
僕は掠れた声でそれだけを言うと、椅子を派手に倒して、勢いよく立ち上がった。
自分のスマホを持って重いドアを開けて会議室から飛び出した。
後ろから「元貴!」「大森くん!?」という声が聞こえたけれど、振り返る余裕なんて無い。
とにかく誰の視線も届かない場所へーー。
遠く、静かな所へ、がむしゃらに走った。
逃げ込んだのは、ここ最近使われていない機材倉庫室だった。薄暗い部屋の隅に座り込み膝を抱える。
o「はっ、はぁ……なんかっ、苦しい?っ…」
心臓が頭がおかしくなりそうな速さで脈を打つ。酸素を上手く吸えなくて、胸が張り裂けそうになる。
過呼吸だ。
隠し通せると思っていたけど、さっきの出来事のせいで崩れてしまった。
w「…元貴ー!」
f「…元貴ー?どこにいるの!」
廊下から、遠く2人の声が聞こえる。
こんな情けない姿を見せたくない、見つかりたくない。けど、やっぱり暖かいなぁ。
o「…あぁ、っ…だからかっ…ゔ、ぁっ…」
苦しい。想像以上に。
いろんな思考が頭に浮かんでパニックになってしまった。
メンバーに迷惑をかけた。フロントマンは僕なのに、こんなの見られたら最悪だ…
f「あ、ここは!?」
w「…確かに。行くか!」
静かに、そして強くドアが開いた。
少しずつ足音が近づいてくる。
どうしよう、話した方がいいのかな?いやでも…
w「…元貴!」
f「どうしたの、大丈夫?」
o「ゎ、!」
急に2人が隣に来ていてびっくりした。
心配している顔をしていて申し訳なくなってしまった。普段なら嬉しいはずなのに、
f「あ、ごめん。びっくりしたよね?さっき何があったの?」
w「大丈夫だから、教えて?ゆっくりでいいから」
o「っ……いや、だ……来ない、で…っ」
相変わらず優しい。でもその優しさが今では凶器に感じてしまう。
o「…離れっ、て…かひゅぅ、ぇ゛ぁっ」
w「っ、俺の目見て。真似できる?すーっ、はぁー」
o「すぅ…っぁ、はぅ…はぁ、げほっ…」
f「ゆっくり。吸おうとしないで吐いてね?そう、今の上手!(背中撫でる)」
o「…すぅー、はっ…ふぅ゛、こわ…い」
w「大丈夫。俺らが近くにいるよ!」
f「手握ってあげる!…温めてあげるよ」
o「すぅー、はぁー…」
f「落ち着いたみたいだね」
w「うん」
2人は元貴を挟んで床に座った。
悲哀で泣きそうな顔をしているのを2人とも見流さなかった。
傷つけないように慎重に話を進める。
f「ねぇ、元貴」
o「…何?」
f「最近泣いた事ってある?」
o「……へ?」
w「寂しくなったり、異変があったら全然相談していいんだよ?」
o「うん。」
w「…今はないの?今相談してくれてもいいんだよ?」
o「っ…」
これは…遠回しにどうしてこうなったのか聞きに来てるって事で合ってるのかな?
…信じるしかない。
o「実は…社交不安障害っていう失敗を恐れて恐怖を感じる病気なんだよね。会議の途中で急にこんな所に逃げてきて、しっかりしないとダメなのに。」
f「…教えてくれてありがとう」
w「…ダメな訳ないじゃん」
o「…いつもお世話になってるのに、突発性難聴の他にもこの病気持っちゃってさ」
f「迷惑じゃないよ。みんなの前で怖くなるのは仕方ないでしょ?」
w「そうだよ。元貴だって、ちゃんとした人間なんだから。」
そういって、涼ちゃんが僕の手を握ってくれた。そして、若井もいつもの眩しい笑顔を送ってくれる。
o「……負担、かけるから…!っ、言えなかった。僕がこんなんじゃ、ミセスが…どうなるか分かんないから…!」
抑えてた感情が壊れて、久しぶりに声を上げて泣いた。
若井は僕の肩を引き寄せ、抱きしめた。
w「馬鹿。何年の付き合いだと思ってんの?元貴ができないんだったら俺達が支える、3人でMrs. GREEN APPLEでしょ?」
涼ちゃんも背中を優しく撫でてくれた。
f「元貴はそこにいて、好きな音楽を作ってくれるだけでもいい。僕たちが、みんなが守るから、約束する。」
2人の暖かい体温と言葉が、胸の奥の冷たさをゆっくりと溶かしていく。
深く、深く息を吸い込むと今度はちゃんと酸素が胸に届いた。
涙を拭き、僕は小さく、確かに微笑んだ。
o「…ありがとう。2人とも……大好きだよ」
「知ってる!」と、若井が笑う。
f「聞こえたよー?やっぱり、そう思ってるんだ、嬉しいな!」
o「は、はずかしいからやめてぇ!!」
聞こえない音量で言ったはずなのになんでこういう時だけ、耳良いんだよ!?
wf「www」
f「じゃあ、戻ろっか。元貴は頷くだけでいいからね?あ、でもちょっと理由も言わないとかもだけど…」
w「一緒に居るから、ほら!」
若井に手を引かれ、立ち上がった。
それから。2人の力を借りて、ほぼ怖くなることは無くなった。自分の隣には1番頼もしい仲間がついてくれているから。
途中に歌詞入れたけど気づきました?
コメント
1件
いやもう、3話読んで涙腺崩壊しかけたわ…。元貴の過呼吸の描写とか「来ないで」って拒絶するところがリアルで胸がぎゅっとなった。でも涼ちゃんと若井の「3人でMrs. GREEN APPLEでしょ?」とか「好きな音楽作ってくれるだけでいい」って言葉が沁みた…。ああいう、弱さを認めてもらえる関係って尊いな。大好きって小声で言ったの聞かれて照れるシーン、ちょっと笑えたw 続き楽しみにしてる🔥