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蕎麦が食べたいとか言いながら鍋焼きうどんを注文したら、結子さんもうどんを注文していた。お互いにメニューの美味しそうな写真に惹かれてしまったようだ。


二人で食事をするのはクリスマス以来。まさかこんな短期間に二回も一緒に食事をするとは思ってもみなかった。


「今日はどんな設定ですか?」


「何が?」


「この前はクリスマスデートの設定だったけど」


「ああ〜。じゃあ今日は年越しデートっぽく」


「年越しデートって何? 全然わからないんですけど。そもそも年越しそば食べてない時点で間違えてません?」


あんなに大々的にのぼり旗まで出ているし、蕎麦を食べている客も多いというのに、俺達はうどんを注文している。結子さんは「まあいいじゃん」と楽しそうに笑った。


「長峰は毎年大晦日は何してるの?」


「仕事か家で紅白見ながらゴロゴロですかね」


「私は家で紅白見ながら彼氏と年越し」


「ああ、だから年越しデート?」


「そういうこと」


年末まで仕事をしていることが多い俺達は大晦日だからといってどこかに出かけることは少ないように思う。でも結子さんは毎年彼氏と年越ししてたのか。だとすると今年は一人ということだ。


「その理論で行くと」


「ん? 何の理論?」


「結子さんの年越しデートプランとしては、俺はこのあと結子さんちで年越しすることになる」


「げほっ!」


真っ赤な顔をして盛大にむせた。

あ、しまった。つい名前呼びしてしまった。

……まあいいか、反応が可愛らしいし。


あまりにもゲホゲホするのでいたたまれなくなって水を差し出した。結子さんはそれを一気飲みすると、手を胸に当てて呼吸を整えている。

恋愛対象外に絆される日

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