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ヒロアカの轟くん
午前のヒーロー基礎学。
教室には緊張感と、少しの眠気が混じっていた。
「次はペアで行動判断のシミュレーションだ」
相澤先生の一言で、ざわっと空気が動く。
名前を呼ばれて、あなたは一瞬固まった。
「……轟と組め」
視線を向けると、窓際の席で轟焦凍が静かに立ち上がる。
いつも通り無表情。でも、こちらを見る目ははっきりしていた。
シミュレーション用の端末を挟んで、隣に座る。
距離が近い。肩が触れそうで触れない。
「状況判断は、お前が前に出た方がいい」
画面を見ながら、轟が小さく言う。
「俺は制圧と牽制をやる」
淡々とした声。
でもそれは、“任せる”って意味だと分かっていた。
訓練が始まる。
画面内の仮想市街地、複数の敵反応。
「右、二階」
あなたが言うと、轟は即座に氷を展開するイメージを操作する。
「了解」
短い返事。
無駄がないのに、不思議とやりやすい。
途中、あなたの判断が一瞬遅れた。
敵の動きを読み切れなかった。
「……大丈夫か」
轟の声が、少しだけ低くなる。
「いけます」
そう答えると、彼は一瞬こちらを見てから、画面に視線を戻した。
「無理なら、言え」
それだけ。
でも、責める響きはなかった。
シミュレーション終了。
結果はクラス内でも上位。
「連携、悪くなかったな」
相澤先生の評価に、教室が少しざわつく。
席に戻ろうとした時、轟が小さく声をかけてきた。
「さっきの判断」
一瞬、どきっとする。
「遅れたの、気にしてるだろ」
図星で、言葉に詰まる。
「俺も、同じミスする」
淡々とした顔のまま、でもはっきりと。
「だから次は、俺が一拍早く動く。お前は、そのままでいい」
それは励ましというより、
一緒にやる前提の言葉だった。
チャイムが鳴る。
いつもの授業。いつもの教室。
それなのに、
隣を歩く轟の存在が、やけに心に残った。
「次の授業も、よろしくな」
そう言って、彼は少しだけ視線を向ける。
その一瞬の柔らかさに、
あなたは返事が遅れてしまった。