テラーノベル
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何があろうと
海の中は冷たく苦しい。それでも沈んでいく。何も抵抗は無い。だって死にたいから。上を見る。海の中へ差し込む光。そんな中、神様みたいな人がいる。手を差し伸べている。この人は何かを呼んでいる。
「い――ゃ―!」
聞こえない。あぁ。神様っているんだ。私は幸せだった。そのまま目を閉じた。
「んぅ。」
気がつくと、そこは病院だった。
「こ、ここは…」
「起きたんだね…。」
横には頭が濡れているほとけがいる。
「急に飛び込むからびっくりした(笑)」
そう言うと彼は笑いながらナースコールを押す。あの時、声をかけていた神様みたいな人はほとけだった。てか、何故私が飛び込むところを見ていたのか。何故、助けたのか意味がわからなかった。頭の中が、混乱する。すると勢い良くドアを開く音がした。
バン!
「まろー!!!!」
そこにはお兄ちゃんと、息がきれているお母さんの姿。
「っ…。て、いむもいたんだ。」
急に、すんってなるお兄ちゃんに私は笑う。私か笑うと、ほとけもつられて笑う。その姿に、お兄ちゃんとお母さんはびっくりしている。しばらくすると、病院の人達が来て、私を連れていく。心配そうに見つめるみんな。その心配そうな顔が本当だとわかった時、嬉しかった。
「どうして海に飛び込んだのですか?」
医者が言う。私は、息を吸い、言う。
「もう、どうでも良くなったのです。」
医者はうーんと悩んでからこういう。
「貴方はまだ死ぬべきではありません。」
その言葉が胸に刺さった。だって、私を必要とする人はもう居ないじゃん…。
「あなたを心配する人がいることが何より証拠です。しかも、この病院に連れてきてくれた男の子なんて、びしょ濡れだったし、めちゃくちゃ泣いてましたもん。」
男の子――。恐らくほとけ。彼がないていた。どこか嬉しいような気持ちがある。信じたくなかったけど、やっぱり私は彼が好き。その後、色んなことを話して、いっぱい話を聞いてもらった。
「何から何までありがとうございました。」
私は礼をしてその場を後にした。
病院を出ると、お兄ちゃん、お母さん、そしてほとけが待っていた。こちらに気づいたのか、お兄ちゃんは勢いよく走って抱きついた。
「うぅ。し、ひんぱいしたんだぞ!やっぱい、止めておけばよかった!!」
そう言いなくお兄ちゃん。泣きすぎていて口が回っていない。そんなお兄ちゃんを見るとクスッと笑ってしまう。
「でも、無事でよかった。」
ほとけがホッとしたような顔で言う。そっか。私、ほとけに助けられた。また、助けられてしまった。
「帰りましょう…。」
お母さんが小さい声で言う。
「うん!」
お兄ちゃんが大きい声で言う。
「いむ!バイバイ!!!この恩、一生忘れない!」
そう言い、お兄ちゃんは、私の手を繋いで大きく手を振る。私も息を吸い、
「ほとけ!ありがとう!」
ニコっと笑う。そうすると彼は、
「ば、ばいばい、」
という。私は気づいた。彼の顔が赤くなっていることに。でも、言わない。もしかしたら、夕日で赤くなっているのかも。
家に着く。こんなことがあったから、お母さんに酷く怒られる。そう思った。お母さんが、
「リビングへ2人とも来なさい。」
そう言う。私はゴクリと唾を飲む。リビングのドアを開け、ソファーへ座る。ソファーに座るのも何年ぶりだろうか。こう、3人で、並ぶのも何年ぶりだろうか。ドキドキと心臓が落ち着かない。するとお母さんが口を開く。
「どうして…。海に飛び込んだの。」
悲しそうな表情で聞く。私は、びっくりした。お母さんの偽りない表情。お母さんを信じていいのかな。でも、私は変わりたい――。大きく息を吸い言う。
「疲れちゃったの。全てに。」
「どうして?」
「家では居場所がない。お母さんに怒られ、お兄ちゃんと比べられ、そしてずっと言われてきたこの『 醜い目』を見られないよう、学校では隠すのを必死に。そしたら、なんのために生きてるのだろうと。」
沈黙する。私は続ける。
「『 なんで逃げるの?』『 私は貴方を、育ててあげたのに』『 本当に酷い目よ』って、言われて悲しかった。辛かった。」
泣きそうになる。それをぐっと堪える。お兄ちゃんはまた泣き出す。お母さんもグズグズと泣く。
「ごめんなさい。」
お母さんは言う。
「いいよ。でも、心の傷は治らない。」
そうよね…。と小さくお母さんはいった。お母さんは言う。
「ごめんね。私『 だけ』が苦しんでいる訳じゃないのに。」
だけ…?疑問に思った。するとお兄ちゃんがお母さんに、向けて言う。
「母さん、だけって何?」
真剣な、眼差し。お母さんは息を吸い言う。
「お父さんが死んでしまった時、辛くて…精神科に通ってたの。」
2人とも驚く。まさか、隠し事をしていたなんて…。
「どうしたら忘れるかーとかさ、夜、考えちゃって…。でも、やっと立ち直れた!っと思ったら、いふの目をみてあの深く、青い色。そんな目がすごく似ていて…。どうしても忘れたくて、私は酷いことを言ってしまった…。もう謝っても許して貰えないわよね…。」
なくお母さん。私はそうだったのか。と思う。比べられてたのも、醜い目なのも、酷いことを受けていたのも、お父さんが死んでしまって、精神が病んでたから。もう忘れるために。でも、私を見ると思い出す。それは辛く悲しいことだと思った。
「いふに、こんなに迷惑をかけてると思わなかった。結局、自分のことだけで精一杯。死にたいなんて思ってもなかった。また失うのか。と思った。」
私は体が動いた。お母さんの体を抱きしめる。
「お互い辛かったね。こう、打ち解けられたから、今度は幸せで埋めていこうね。」
お母さんが私の腕の中でなく。つられて私もなく。そしたら、お兄ちゃんが抱きしめる。
「俺もごめんね。何も出来なくて。」
この夜、私は家族に打ち解けられた。沢山泣いた。初めてこんなに泣いた。私は久しぶりに人の温もりを感じられた。
音羽
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コメント
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みぅです🖤 今回のエピソード、すごく心に響きました。 主人公が「もうどうでも良くなった」って言葉に、どれだけ長く苦しんできたかが詰まってて胸が締め付けられた。 でも、それ以上に——母もまた父を失った悲しみを抱えてたんだって知ったとき、単なる“悪者”じゃなくて、ちゃんと傷ついた人間同士の対話が始まったのが本当に良かった。 最後に全員で泣きながら抱きしめ合うシーン、涙腺崩壊しました…。 また続き、読みたいです。大切に紡いでくれてありがとう🌙