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デイモスと言う滅びが地球に向けてまっしぐらに迫る中、周囲の悪魔達が必死に対応する中、リョウコとカイムは突然に悟りを得る事となった。
それは愛知県のある浜辺に打ち上げられたポリタンクに、いつも通りに話し続けていた十六日目の夕暮れ、不意に訪れた気付きである。
カイムがリョウコに言う。
「ねぇリョウちんってかリョウコ様ぁ…… やっぱりこのポリ…… 生きてないみたいだね、キョロロン……」
リョウコが答える。
「うーん、今の所返事は無いねぇ~、粘ってるよねぇ~、この子ぉ~」
カイムはポリから目を離してリョウコを凝視しながら聞き返す。
「キョロッ! そ、そう? 粘り強いの? うーん、そうなのかなぁ~? キョロロ~」
リョウコはポリに集中しながら答える。
「うん? なんでぇ~?」
質問に質問を返し続ける二人であった…… カイムは誰に言うとも無い言葉を紡いだ、多分我慢の限界だったのだろう。
「なんでって~、確たる理由は無いんだけどね~、強いて言うとね、さっきからさぁ~、リョウコ様の周りの草とかがね、何をしてるの? 的に話し掛けてるんじゃないかなぁ、って思ったからさぁ~、あと、空中を飛んでる花粉かな? 杉とか檜のヤツがお話ししたそうだなって思ったんだけどぉ~…… ねぇ? 彼等と話した方がさぁ、早くない? どう? キョロロロン?」
リョウコはすっくっと立ち上がって答える。
「まあねぇ、無機物や化石燃料、化学繊維なんかは生命の定義的にまだまだ不確定な所が多いってバアルちゃんやアスタさんも言ってたからねぇ、取り敢えずペンディングにして生き物から仲間を増やす事にしよっかぁ」
「そそ、そうしましょそうしましょ♪ キョロロン」
他のメンバーが数十年前の昔に気が付いていた『仲間を増やす』事を、場当たり的に悟った二人はその後も無為に時間を消費してしまう。
実際の進化の流れに沿うように、単細胞生物から始めて多細胞、動物性植物性のプランクトンを経、初期の脊椎動物や樹木、昆虫辺りまで試行が進んだ辺りで、他チームからの声によって正気を取り戻したのである。
声とはズバリ。
「リョウちゃん、戦力の強化が急務なんだよ? 何やってんのさっ!」
「もう直、妾たち悪魔はいなくなるんだよ? 待った無しだと思うよ、違う?」
「カイム、お前だとて例外ではないのだぞ、我と同様に後悔せぬ様しっかり準備しなければなるまいが」
「へー、アンタ等面白い事やってるじゃないのぉ! スキルが使えるアメーバやお魚、木や虫まで仲間にするなんてぇ、ね、善悪?」
「その通りでござるよ! 凄く良いっ! ファンタジー感溢れてて最高でござるよっ!」
こんな感じである。
まともな前半の声には、ちっ五月蝿(うるさ)いなぁ、そんな表情を浮かべていたリョウコとカイムであったが、後半の二人の馬鹿みたいな全肯定の声に、却って危機感を募らせた結果、直ちに遊びをやめて残存戦力の強化に邁進する事となったのである、良かった。
とは言え、この時点でハタンガから悪魔達が旅立つ日まで僅(わず)か三ヶ月余りを残すまでに迫っていたのである。
正に待ったなし、夏休みの宿題が手付かずのまま八月二十九日を迎えた感じであった。