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ぺぽ゜
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けー
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七夕の夜、小柳がある人と出会う話。
星導「ほら、カゲツ。ちょっと大きな明るい星探してみて。あれがアルタイル、こっちがデネブ、上がベガだよ。三角形でしょ?」
叢雲「ん〜…。!ほんまや!すご!」
拠点2階のベランダ。満点の星が見える夜空に指を差し、4人で夏の大三角を探す。
伊波「今日は星が綺麗に見えるね。」
小柳「ああ。この辺は街の光も少ないしな。でも、こんな満点の星空久しぶりだ。」
星導「晴れてよかったね。あ。カゲツ、あそこ。赤い星あるでしょ。」
星導がまた別の星を指差す。みんなでそっちに目を向ける。
そこには白い星々の中に、一つだけ、赤く、それでいて強く光る星が浮かんでいた。
叢雲「ん?…うん!ある。」
星導「あの星がアンタレスって言って、さそり座の心臓の部分なんだよ。」
叢雲「なんであれだけ赤いん?」
星導「あれはね。星の寿命が近いんだよ。もうちょっとで爆発してなくなっちゃうの。」
淡々と告げる星導に、叢雲が少し残念そうに聞く。
叢雲「えぇ……。明日には見られへんって事?」
星導はふっと笑って、大丈夫、と続ける。
星導「もう少し、って言っても、何百年、何万年の話だけどね。」
横からひょこりと、伊波が流石の博識で参戦する。
伊波「そ。それにさ。もう爆発してるかもしんないよ?あの星と地球の距離はめっちゃ遠いから、光とか音が届くのも時間がかかる。今、まさに爆発して光が伝わってる最中かもしれないよ。」
叢雲は、今まさに爆発している最中かもしれない、という事実に少し驚いた。
叢雲「へぇ。星ってずっと残ってるもんやと思ってた。」
星導「人だろうが、魚だろうが、星だろうが、何であっても、必ず終わりは来るよ。そんなもん。」
叢雲「そっか…。なんか寂しいな。」
小柳「寂しい?」
叢雲「うん。」
小柳が少し不思議そうに聞き返すと、叢雲は大したことじゃないけどな、と笑って続ける。
叢雲「いや…。いつか忘れられちゃうって思うとな。人だってそうやん?死んだ後、とかやなくても随分会ってない人、…もう会えない人の顔、うまく思い出されへん。僕だって死ぬのは一瞬やのに、そんな貴重な時間を忍者の任務ばっかりして、時間溶かしてた自分が情けないって思って。」
夏なのに、涼しい夜風が頬を撫でる。まるで風が慰めてくれているようで、叢雲は少し俯く。
星導「だからこそ今を楽しむんですよ。どうせ忘れられるんならいい思い出沢山作りましょ。」
叢雲「…それもそうかもな。」
ふっ、と叢雲が笑った。
少しして、カゲツとライは下に降りていった。二人きりになったベランダで、星導が尋ねる。
星導「もう会えない人、か。ねぇ、小柳君。ほしるべしょうに会いたい?」
小柳「?星導なら今喋ってるだろ?」
星導「じゃなくて、日を3つ書く方の。突然居なくなった、星導晶ですよ。」
ザァッ、と森の葉が音を立てる。小柳は少し目を見開き、ボソリと呟いた。
小柳「…そりゃ、会いたいよ。会って話したい。」
すると星導が少し驚いたような、嘲笑するような顔で、おや、と返した。
星導「まだ覚えてるんだ。カゲツの話みたいに忘れてるんじゃないかと。」
小柳「そんな訳無いだろ。あいつは友達で、最高の相棒だ。」
その真っ直ぐな否定に、星導はニコリと笑って空を見上げた。
星導「…今日、何の日か知ってる?」
夜空には白く輝く、長い道が続いていた。
小柳「何って…。7月7日。七夕だろ。あいつらも短冊つけてたじゃねぇかよ。…星導、どうしたんだ?」
なら、と星導が口を開く。
星導「そのお願い、叶えてあげる。会わせてあげるよ。星導晶に。」
小柳「…えっ…。」
その瞬間、ぐっ、と宇宙に引き込まれた。
グニャグニャとした所を抜けると、ただひたすら白い空間に出る。
星導「到着〜。」
小柳「どこだよ…。」
星導「割愛するよ。宇宙を知りすぎると小柳君も壊れちゃう。」
小柳「小柳君“も”、か…。」
かつての相棒の顔を思い出し、少し淋しくなった。あいつに会えるのか…。それともお得意の嘘なのか…。
しばらくして、星導が遠くを指差した。
星導「…ほら。」
「ぴょん?」
小柳「は…。星導…?」
吸い込まれるような、くすんだ深緑の目。
サラサラと揺れる、銀白色の髪。
そして、「あの」制服。
そこには、かつての旧友であり、突然俺の前から消えてしまった相棒、星導晶がいた。
小柳「なん…で…?」
星導「簡単に説明すると、ライが星から星に距離があるって言ってたでしょ。あれに近しい事。地球で「星導晶」っていう存在が消えても、こっちの星にはまだ消えたって届いてないんだよ。だから生きてる。記憶が残ってるのは…。なんでだろうね。」
星導ショウがニコニコと笑う。どういう原理かなんて、晶の記憶が何故かあることなんて、どうでもいい。
とにかく目の前の星導晶と会って話したい。何があったのか聞きたい。
なんで急にいなくなっちゃったの。
なんで俺を置いてってどこかに行っちゃったの。
なんで記憶がなくなっちゃったの。
ずっと、ずっと会いたかったんだよ。
貴方はどうなの?
こんなに辛かったのは俺だけなの…。
星導晶は俺の近くまで来て、心底嬉しそうな顔で告げた。
「…会いたかった。また会えてよかった。」
小柳「俺も…ずっと……。」
そこからは、ずっと他愛のない話をした。どうやらここは星導ショウが創り出した空間のようで、この星導晶は別世界、所謂もう一つの地球から連れてきたらしい。
「ぴょん、なんかかっこよくなってて悔しい。何だよ、妖魔剣士って。僕もそんなのになってみたかったな。」
小柳「お前もこっちでは美人で狂人の鑑定士だよ。」
「そっか。…狂人?」
小柳「ははw。」
星導ショウはというと、隅っこの方でオトモと話していた。笑ったり、時折悲しそうな顔をしたり。
晶の話を聞いていると、どうやらこっちの星導晶は、死んだのではないらしい。宇宙の全てを知り、壊れかかっていた所を、星導ショウが回収、取り込んだ、とかなんとか。
ずっと話していたい。そう思った。されど時間は、あっという間に過ぎていくもので。
星導「小柳君…。そろそろタイムリミット。申し訳ないけど、君に今から選択肢をあげる。」
どうやら、これ以上長居すると、どちらの世界にも影響が及び、時空が歪むらしい。星導から提案された選択肢は二つ。
星導「一つ。このまま俺、「星導ショウ」とライたちがいる所に帰る。………二つ。…「星導晶」と別の世界へ帰る。」
小柳「…は……。星導か星導で選べ、って事…?」
星導「うん。」
星導ショウが悲しそうに笑う。
本音を言えば、そりゃ、長い事過ごしてきた星導晶と居たい。でも、ヒーロー活動を共にしてきたショウ、ライ、カゲツと別れるのも辛い。
考えた末に出したのは…。
星導Side
小柳君は、楽しそうに星導晶と話していた。きっと、あっちについていくのだろう。このまま星導晶についていけば、惑星と惑星に「ズレ」が生じる。
でも、ライ達には生きていて欲しいし、かといって小柳君たちを殺すこともしたくない。地球を消したくはない。その条件でズレを直そうとなると、俺がここにいる事は難しい。きっと、俺は消えるだろう。
それもまた運命。自分から出した選択肢、後悔はない。けど、少し寂しい、気もする。
しばらくして、小柳君が口を開く。
小柳「星導晶と話した時間は…楽しかった。このまま星導晶についていけば、アカデミーのみんなと話せる。」
嗚呼、そっか。そりゃそうだ。会って少しの得体のしれない「星導ショウ」より、相棒として長く過ごしてきた「星導晶」の方を選ぶ。当然の事。
当然、だけど。やっぱり消えるのは哀しい。カゲツが言うように、いずれ忘れ去られるのは悲しくない。でも、存在から消される、となると凄く辛い。誰も「星導ショウ」を分かってくれないのだから。
星導「そっか。なら…」
小柳「でも。」
小柳「ライ、カゲツ、そして「星導ショウ」ともっと仲良くなりたい。一緒にヒーロー活動をしたい。オリエンスとも、クライシスとも、もっともっと話したい。」
小柳「晶と別れるのは辛いけど…。俺は、今を大事にしたい。一つ目、だ。星導ショウと地球へ帰る。」
満足気に星導晶が笑う。
「うん。それでこそぴょんだ。よく言った!」
星導「小柳君…。」
「もう一人の僕は、星導ショウの中に居る。ぴょんが僕の事を思い出したのなら、僕はそこに居るよ。」
小柳「ああ。じゃあな。星導晶。またいつか。」
「うん!待ってるよ。」
星導「…では、星導晶くん。君も元の世界に返しますね。俺の私情に付き合ってくれてありがとうございました。」
「いやいや!僕こそありがとう。また会おうね!」
星導「ありがとう。またいつか。」
星導晶が消える。きっと元の世界へ帰ったんだろう。
星導「さあ、俺たちも帰りましょうか。ライたちの居る所へ。」
小柳「…おう。」
星導「寂しいですか。そりゃそうですね。…もしかして会わせないほうが良かったですか?ごめんなさい。」
俺が君をここに連れてきたことで、より傷を抉る形になってしまったのでは、と不安を覚える。
小柳「ううん。寧ろ、気持ちに整理がついた、っていうか…。急に行方不明になって何も話せないより、ずっとスッキリした。」
星導「そっか。ならよかった。また何十年か先、もう一度会わせてあげるよ。ズレが生じない程度にね。」
小柳君をまた宇宙から連れ出し、ベランダへと身体を戻す。
小柳「なぁ、星導。お前が晶を思い出す事はないのか?」
星導「…俺は140億年の記憶を持ってる。そこに晶くんの記憶を入れるとなると、今度はキャパオーバーで俺が壊れてしまう。それに第一、この世の理と辻褄が合わなくなる。申し訳ないけど、思い出そうとはしない。」
小柳「ふーん、そ。」
星導「…ありがとう。こっちを選んでくれて。」
小柳「ま、実際こっちの方が沢山思い出は残ってるし、昔に戻るより、新しく歩んで行きたいな、って。あとお前顔に出すぎな。めっちゃ悲しそうな顔してたぞ。」
星導「は…うるさいなぁ。俺の生死に関わってたんだよ。」
小柳「ははw、すまんすまん。」
下からライとカゲツの声が聞こえる。
伊波「お前ら!ご飯できたから降りてこい!」
叢雲「めっちゃうまそうな飯できてんで!」
小柳君はふっと笑い、すぐ行く、と言って降りていった。
今を大切に、か。君たちから学ばされることっていっぱいあるな。
小柳君がこっちを選んでくれた時、心の中が一気にぶわっと暖かくなって、心の底から良かったと思えた。顔には出さなかったけど泣きたいほど嬉しかったんだ。
一緒にいて楽しいって思える事も、忘れられるのは哀しい、と思えたのも、きっとディティカという仲間がいたから。
少し先を行く小柳君に付いていく。
ベランダで、さらりと笹の葉が揺れた。
(202610/28)
あとがき
すみません。あとがきを書くのを忘れていました。翠蓮です。
私自身、沼り歴が浅いのもあり、VTAの事はあまり存じ上げていないのですが、テラーでそういう話を読んでみたり、他アプリで解釈してみたり、と少し勉強しまして。
解釈不一致でしたら申し訳ございません。あくまでも今回の星導晶さん、星導ショウさん、小柳ロウさんの関係性は私の自己解釈ですので。
やっぱり壮大な話は星導さんじゃないと辻褄が合いませんね。
では。(2026/11/1)
コメント
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淡雪さん、こんばんは🌙 第4話読みました。 七夕の夜空の描写、すごく綺麗だった…。星導晶との再会シーン、小柳の「ずっと会いたかった」って気持ちが切なくて。でも最後に「今を大事にしたい」って今の仲間を選ぶところ、すごくじんときました。星導ショウが「こっちを選んでくれてありがとう」って思うところ、泣きそうになった…🥀 本当に素敵な話をありがとうございます。続きも楽しみにしてますね。