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──翌日、昼過ぎ。
ネグはとうとう観念したように、家へ戻ってきた。
リビングの空気は、重い。
すかーと夢魔はソファに座ったまま、どちらも腕を組み、明らかに怒りを隠していなかった。
 ネグは玄関からリビングに入り、小さくうつむいて静かに言った。
 「……ほんとに……ごめん……」
 その声に、すかーは目を細めた。
夢魔は無言のまま、視線だけを逸らしている。
 その場にいた、だぁが優しく問いかけた。
 「ネグ。説明して?何があったのか。」
 ネグはためらいながらも、ポツポツと言葉をつなげる。
 「その……逃げようとした時……すかーくんに……ぶつかって……」
「……で、その後も……色々あって……その、また……」
 言いにくい部分で言葉を詰まらせると、夢魔がため息をつきながら口を開いた。
 「……俺たちからも説明するわ。」
 そして、夢魔とすかーが順番に状況を説明していく。
逃げる時にぶつかって、また蹴って、掴んでしまって――そのたびに苦しんだことまで。
 だぁはその説明を聞きながら、クスクスと肩を震わせて笑った。
 「そんな……ネグらしいというか……」
 マモンも呆れた顔で苦笑いしながら言った。
 「……なんで、そこなんだ……マジで……」
 ネグはひたすら申し訳なさそうに謝り続けた。
 「ほんとに……ごめん……ごめんなさい……!」
 その時だった。
 ネグが立ち上がろうとした瞬間――
 「わっ……!」
 足を滑らせた。
 すかーは反射的に手を伸ばして、ネグを庇おうとした――その時。
 ネグの手がすかーのズボンを思いきり掴んでしまった。
 ズルッ――!
 そのままズボンが下に落ちた。
 「おい……!」
 すかーが言葉を出す間もなく、ネグは倒れ込む途中で何かを掴んで立ち上がろうとした。
 (ん? なんでこんな……)
 違和感。
 その感触が普通の服やズボンとは明らかに違った。
 ネグは無意識に、それをぐにぐにと握ってしまっていた。
 そのたび――
 「……ッッッッ……ぐあああああ……!!」
 すかーは膝をつき、顔を真っ赤にして悶えていた。
 「だから……なん、で……!!」
 すかーの声は怒りと苦しみが混じり、かすれていた。
ネグはサーッと血の気が引き、下を見る。
 すかーはピンク色のハート柄の下着を履いたまま、顔を歪めていた。
 その姿に、ネグは思わず手を離し、慌てて言った。
 「ごめん……本当に……そんなつもり無かった……!」
 戸惑ったネグは夢魔を見る。
だが夢魔は目を逸らしていた。
 そしてネグがその場を離れようと一歩踏み出した――
 「わっ……また……!」
 床が滑りすぎて、再び足元を取られる。
 そのまま今度は夢魔に倒れ込み、手が――
 「ッッ……!」
 夢魔の下半身へ、またもや押し付けるような形になっていた。
 「うぐッ……ッ……!!」
 夢魔は顔を赤くし、うめきながら後ずさった。
 「ごめんっ……!」
 ネグは慌てて手を離し、バランスを取ろうと手を伸ばす――
だがその手は、またすかーに当たってしまう。
 「ッ……ッッ……またかよ……!」
 すかーはもはや何も言えず、完全に地面に膝をついて悶えていた。
 ネグは一瞬思考が止まったが、ふとすかーを見下ろし、呟いた。
 「え……ピンクのハート柄とか……ダサ……笑」
 その一言がすかーの限界を超えさせた。
 「……ッッ……ッッ……マジで……ふざけんなよ……!!」
 拳を床に叩きつけながらも、痛みで動けないすかー。
 夢魔も唇を噛み締めたまま、うつむいていた。
 ネグは「今度こそ!」と思い、体勢を立て直そうと後ろへ手をついた――
 その先にすかーが四つん這いで這っているとは知らずに。
 ズルッ。
 今度はすかーの下着そのものを掴んでしまい――
 「ッッ……あッ……!」
 完全に、モロで。
 ネグは目を見開き、声を震わせた。
 「やだぁ……変態じゃん……」
 すかーと夢魔は同時に叫んだ。
 「誰のせいだと!!」
 ネグは慌てて家を飛び出し、レイの家へ向かった。
 ──レイの家。
 事情を話したネグに、レイはもう頭を抱えていた。
 「だから! なんで!!? そうなんの!? マジで!」
 そう叫びながら、レイは大笑いしていた。
ネグはうつむいたまま、何も言えずにただ座り込んでいた。
 部屋の中には、レイの笑い声と、ネグの沈黙だけが静かに響いていた。