私
自身に照らし合わせてみれば、 それは後者に属する現象だったと言えるかもしれない。
しかし、それはまだほんの始まりに過ぎなかったのだ。
私があの時感じた違和感の正体はなんなのか。
そもそもなぜ私はこの世界に召喚されたのか。
その答えを知るためにも、私は再びあの地に足を踏み入れる必要があった。
だが今となってはその必要もない。
なぜならば既に私自身が答えそのものなのだから――。
***
「――えーっと……これ、どういうこと?」
「だから言ったでしょう? これが私にとっての最善策だとね」
「いやまぁ確かにそうなんだけどね……」
「この世の終わりみたいな顔してない?」
「いやー、それは言い過ぎだよ。それにしても、あの子なんだったんだろうねぇ」
「本当にね~。今度会ったら聞いてみるよ」
「うん!お願い!」
「お安い御用ですよっと」
「うわぁ~すごい勢いだなぁ」
「えぇ!?ちょ、ちょっと待ってよぉ」
「ほら!急がないと見失っちゃうよ!!」
「うぅ~わかったよう」
「あそこが例の場所かな?」
「多分そうだと思うけど」
「じゃあさっそく行ってみよう!」
「はぐれないように気をつけてよね」
「わかってるってば」
「よし!ついたぞ!」
「うひゃ~ほんとに大きいねぇ」
「なんかこう見ると圧倒されるな」
「あっ!見てみて!あれじゃない?」
「ん?どれだい?」
「えっとねー。『愛』っていうのがあるんだけど……」
「うん」
「これの意味がわかんないんだよねぇ~」
「ふむ。愛とは……LOVEだよね。ラブ&ピースとかいう単語もあるくらいだし。それはつまり平和を意味するわけだが」「あぁ!なるほど!」
「まぁ、他にもいろいろ解釈はあるけどね。愛の反対語は憎しみだとかいう話もあったかな。この世で一番強い感情かもしれない」
「じゃあさ、もし私が死んじゃったら……」
「ん?」
「君はどう思う?」
「そうだなぁ……君がいない世界で生きるくらいなら死んだ方がマシだね」
「それは嬉しいけど……もう少し前向きになってよ!」
「うーん……でも、それが難しいんだよねぇ~」
「ふぅん……わかった!もう聞かない!!」
「えぇ!?なんでだよぉ!!そこは聞いてくれよ!!!」
「嫌だもん!」
「あはははっ!」
「おいおい……俺が真剣に答えたっていうのに笑うなんて酷いじゃないか」
「ごめんなさい……でもおかしくってつい笑っちゃったの!」
「まったく、君という奴は本当に意地悪だな」
「違うわよ!だってあなたが悪いんだもの」
「俺は悪くない」「だって仕方がないじゃないか」「どうして俺ばっかり……」「あの子が悪いんだ」「なんでわかってくれないんだよ!」「もう知らない!勝手にすれば!?」
【概要】
「小説家になろう」では異世界転生モノと呼ばれるジャンルが人気を博していますが、その中でも特に人気の高いものが『悪役令嬢』を題材としたものです。
この物語の主人公は基本的にヒロインとなります。そして多くの場合、『主人公→悪役令嬢→ざまぁ』の流れをたどることとなります。
なぜ人気があるのか。それは主人公が最終的に幸せになるからだと思います。
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