水族館を出ると 、海沿いの風がやけに
冷たく感じた 。
オレンジ色に沈む夕日が波を照らして
光の道が出来ている 。
その隣で 、Atがポケットにスマホを
しまいながらぽつりと言った 。
At「… 思ってたより 、楽しかった 。」
俺が「え ?」と聞き返すと 、
Atは少し視線を落として言った 。
At「人混みとか 、嫌いだけど」
At「… 今日はなんか平気だった 。」
Mz「そっか 。良かった !」
At「… お前が隣に居たからかな」
その小さな呟きは波の音に掻き消された
聞き返そうとしたけど 、Atはすぐに
「なんでもない」と言って歩き出した 。
帰りの電車 。
窓際の席に並んで座ると 、夕日が反射し
Atの横顔を金色に染めていた 。
普段なら無表情なのに 、
今は少し柔らかい 。
At「…一緒に出掛けてくれてありがと」
Mz「いや 、こっちこそ !」
Mz「誘ってくれてありがとう 。」
At「Mz太って変だよな 。」
Mz「は ?なに 、なんでぇ !? 」
At「そんなに”仲良くなかった”俺に」
At「いきなり誕プレ渡すとかさ … 」
Mz「確かに怪しかったかも ?w」
At「 … 嬉しかったけど 。」
そう言って 、ほんの少しだけ笑った 。
その笑顔が 、俺の胸に焼きつく 。
____________
しばらくしてAtの頭が俺の肩に落ちた 。
Mz「!?!?!?」
最初 、心臓が止まるかと思った 。
顔が近い 。息が触れる距離だ 。
Mz(やばい … どうしよ … )
Mz(動いたら … 起きちゃうよな … )
時間が止まったみたいで 、
鼓動の音だけが大きく響いていた 。
外の景色がゆっくり流れていくのを
感じながら 、俺はAtの寝顔を
見つめていた 。
長いまつ毛に 、少し乱れた前髪 。
こんなに近くで見るのは初めてで 、
息が詰まりそうだった 。
突然 、Atが肩から離れて
ハッと顔をあげた 。
Atの顔はほんのり赤くなった 。
At「俺 … 寝てた … ?」
Mz「うん 。少しだけね」
At「… なんで起こさなかった ? 」
Mz「気持ちよさそうに寝てたから … 」
At「 … そういう問題じゃねぇし 。 //」
Atは耳を真っ赤にして 、
そっぽを向いてしまった 。
At「 … ごめん 、重かっただろ 。」
Mz「全然 。むしろ嬉しかった 。 」
その瞬間 、Atは小さく息を飲んで
俺をちらりと見た 。
そしてまたすぐ視線を逸らして 、
ぼそっと呟いた 。
At「 …… ばか 。」
窓に映るAtの横顔は 、夕焼けよりも
ずっとあたたかく見えた 。
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