「いっ」
急に下腹部に痛みを感じて起き上がった。
やっば何これ…
腰痛は結構くるしなんならヤった後より痛い
じんじんと増してくる痛みに耐えられるかなんて分からない。とりあえず隣で寝てるカルパッチョを起こす。
「ねえ」
普段より一回り小さな手で優しく体を揺らす。
「ん」
不意に抱きついてきたから少しびっくりした。
「ちょっと抱きつかないで!」
「いい匂い」
「それは照れるじゃん…違うそうじゃなくて!」
「いきなり大きな声出さないでよ」
「カルパッチョが悪いんでしょ!」
「それで何」
「なんか下腹部が痛くて…なんでだろ。僕何も変な物食べてないよね。カルパッチョと同じもの食べてるはずだし」
「でも僕痛み無いから」
「忘れてた」
「とりあえず暖かいもの持ってくるよ。寝てていいよ」
「ほんと?ごめんありがとう」
「別に謝ることじゃないし…」
カルパッチョは不器用なだけで根は優しい。流石僕の恋人。それに対して僕は、
やっぱいいや
さっきから無駄にネガティブな事を考えてしまう。今日レモンちゃんに聞いてみよ。
「い”」
時々くるこの激痛いやつ何…不意ついてくるのやめて…
「汗凄いけど」
「急に痛くなってきて」
「…」
カルパッチョは僕の目をずっと見てきた。恥ずかしい…
「な、何見てるの。」
「…別に。タオルあるから汗拭いて」
カルパッチョから渡されたタオルで頬の汗を拭う。
痛すぎてイライラしてきた。何でこんな情緒不安定なんだろう。
お腹を冷やさない為に靴下と腹巻を撮ってこようと立とうとした。
「うわ、」
「危な」
目の前が暗くなって倒れる所だった。運良くカルパッチョが直ぐに支えてくれたお陰で怪我なく済んだ
「ごめん」
「何が欲しいの。僕行くから」
「腹巻と靴下ほしいな。」
「どこにある」
「1番上のタンスの中にあると思う。ありがとう」
「わかった」
うわぁスパダリ
にしても急に貧血気味なんてやっぱりなんか女の子の身体と関係してるのかな。
黙々と考えてるうちにカルパッチョが腹巻と靴下を取ってきてくれた。
靴下を履いて腹巻を巻いて寝る準備万端。
何となく嫌な予感がしたんだ。それが次の日に起きるなんて知りもしなかった。
「フィン、起きて 時間」
「……」
「ねえ、聞いてるの?早く」
「…ない」
「聞こえない。もっとハッキリ喋って」
「起きれ、ない」
「なんで」
「わかんない、昨日より倍くらい下腹部痛い」
「昨日からだよねそれ。」
「ご飯食べられる?」
「わかんない」
「でも今日調合の授業あるし行くなら何かしら食べないとそれこそ倒れるよ」
「カルパッチョにだけは言われたくなかった…」
「僕が言っても誰が言っても同じでしょ」
「そうだけどさ、ちょ、トイレ」
「歩けるの」
「ギリギリ」
「ん」
カルパッチョが僕に優しく手を差し出してくれる。
それに優しく応えるように僕は優しく手を置いた。ちょっと恥ずかしい
「え…なんで照れてんの」
「別になんでもない、てか早く行こ」
カルパッチョを急かす。
なんだろう、下に違和感があるような…
たとうとした瞬間、ドロっとした感覚がする
「ひっ」
「何?」
「い、いや、何も」
「なんか着いてるけど、何これ」
「なんも付いてなくない?」
「血?ドロドロしてるし生臭い」
カルパッチョがそう言った時、何故か僕は凄くドキドキした。
なんだか見捨てられそうな気がして
「とりあえずトイレ行こ」
「う、うん」
「なんかあったら呼んで」
「分かった、ありがとう」
とりあえず下を着替えてからレモンちゃんに連絡する。
もしかしてこれ、
生理ってやつ?
幸いにもすぐに既読がついて生理用品を持ってきてくれるっぽい
羽付きとなしどっちがいいっていわれた時、なんの知識もなかったもんだから1から説明会してもらった。
カルパッチョがレモンちゃんから生理用品を受け取って僕に渡してくれた。
いまココ
なにこれ、ナプキンってとうやって付けるの?てかお腹痛いんだけど…
大体のことをトイレで済ませてかれこれ40分
カルパッチョがノックをしてきた。
「遅いけど。あと今日僕とフィンの休みの連絡入れて置いたから。」
「なんでカルパッチョまで…僕1人でも大丈夫なのに」
「不調者を1人にできないでしょ。あとシーツ片付けて置いたから。」
「ありがとう」
やっとの事でトイレから出てベッドイン
お腹痛いし、気持ち悪いし、腰痛いし。
なんかイライラするし、情緒不安定だし、眠いし。
世の中の女性は大変なんだなと実感した。
ちなみにレモンちゃんから聞いた事だと2日目が重いらしい。僕は1日目だったが症状が重かった。これを1週間だなんて信じられない。
「ああもう!」
ズキズキと痛む腹部を押さえながら声を出してしまった。
「え、何。大丈夫?」
「全く大丈夫じゃない!こっちは死ぬ程お腹痛いのに、そんな気安く言わないで!ふざけないで」
「せっかく心配してあげてるのに。めんどくさ」
「…ごめん」
イライラしてカルパッチョに当たってしまった。色々してもらってるのは僕の方なのに。
ぐるぐると渦巻く気持ちを持ったまま僕は眠ってしまった。
「いたた、」
あまりの腹痛で起きてしまった。カルパッチョは隣の部屋で本を読んでいた。
迷惑をかける訳には行かないのでそのままトイレに行こうとした。
「なに、これ」
視界がチカチカして前に進めない。気持ち悪い。
「か、」名前を呼ぼうとしても腹から声が出ない。
ほんとにやばい。段々と気分の悪さが増してきてしまった。とりあえずトイレに行かなきゃまずい。
歩けない。目を開きたくない。そう思いながらてを伸ばした瞬間
ゴト と鈍いような音がした。
目覚まし時計を落としてしまった。それに気づいたようにカルパッチョが足音を立ててくる。
「…何?」
「か、あ」今の現状を伝えたいのに恐怖が勝ってしまって言葉を上手く発せない。
「用ないなら行くよ」
せっかく来てくれたのに行ってしまう。心配してくれてるのに。
「まって」
「…何の用?」
「あ、…やっぱなんでも…ない」
「そう」
そう言って部屋から出ていってしまった。精一杯の声を出したつもりだった。でも気持ちが引っ込んでしまって伝えることができなかった。
体力の限界が近づいてきてしまった。
ゴミ箱は近くにないしどうしよう。動いたら確実に戻してしまいそうだ。喋れそうにもない。
部屋は静まり返って自分の心臓の鼓動の音だけが響く。
もう耐えらんない…吐き気はもうすぐそこまできてるのに怖くて吐けない。ベッドの上に戻しちゃったら怒られるよね。なるべく落ちないようにしないと、
「…気持ち悪い、」
聞こえるか聞こえないかの声。それが今の僕に出せる声量だった。
瞬間に喉から熱い物が込み上げてきた。
「っえ゛、」
手のひらに抑えきれなかった吐瀉物がボタボタと落ちていく。
吐き気は治まらず背中は大きく波打つ
「う゛ぇ、」
バチャバチャっと大きな音を立ててシーツを汚していく。
怒られたらどうしよう。嫌われちゃったらどうしよう。不安と恐怖だけが心の中に残る。
とりあえずカルパッチョ呼ばないと、
腕を伸ばそうとするも力が抜けてしまって腕が上がらない。
諦めかけてた時、
ヴーッヴーッと僕のスマホのアラームが鳴った。これずっとつけっぱなしにすれば来てくれる…かな
それだけを信じてただただ待った。
けど僕の体力は既に限界を迎えていた。
気持ち悪い…また吐きそうだ
喋れないからスマホのメモで伝えたいことを分子におこす。
「お”えっ、」
僕が大量に戻してしまった瞬間
「さっきからアラームうるさいんだけど。早く止めてくれない?」
というカルパッチョの低い声が聞こえた。
「あ、ごめ、ゲホッう”ぇ」
「ちょ、大丈夫?」
カルパッチョはすぐに僕の元へ来て背中を優しく上下にさすってくれた。
「ゲホッゲホッ、」
「ごめん気づかなくて。」
首を左右に振りながらカルパッチョにさっき起こした文章を見せる。
(シーツ、汚してごめん。僕が洗うから置いておいていいよ。あとトイレに連れて行って欲しい。我儘でごめん 頼ってばっかでごめん)
「別に頼ってくれていいのに。とりあえずトイレ行くから。途中で無理だったら服強く握って」
「あ、りがと」
カルパッチョは僕を優しくお姫様抱っこをしてトイレまで連れていってくれた。
着替えや嘔吐物の処理など僕がトイレで死にかけてる間、色々してくれた。後でお礼言わなきゃな…
「フィン、開けるよ。いい?」
「うん」
「気分はどう」
「まだ完全にって訳では無いけどもう大分」
「…ごめん。ずっと気づかなくて。アラームがなった時だよね?第一波」
「よく知ってるね。僕そんなうるさかった?」
「いや、ちょっと変な音が聞こえたから」
「…そっか。」
『あのさ』
「カルパッチョから先いいよ」
「うん。…ごめん」
「え」
「多分僕が起こったからだよね。本当ごめん」
「謝るのは僕の方だよ!いきなり当たったりしてごめん。生理になってから不調と情緒がおかしくって。言い訳とかじゃないから!でもほんと、吐瀉物の処理とかまでしてもらって。汚いのに…」
「別に汚くなんてない。フィンのだし」
「や、やめてよ汚いよ。あと、照れちゃう、し」
「もっと照れればいいのに、ちょっと血頂戴」
「は!?何言ってるの!?それこそ汚いしやだ」
「脚、開いて」
「ヤダって言ってるでしょ、力つよ、」
「1口だけ、すぐ終わるし」
「1口…なら お腹痛いから早くして、」
「頂きます」
「ほんと、やだ」
ペロっと舌で舐められると僕の身体は大きく揺れた。
「汚い、から、嫌だった、のに、」
「でも美味しかったよ。フィンのだし」
「もう感想いらないから早くベッド連れてって。お腹痛いの」
「ん。わがままなお姫様」
「…ツンデレ王子がさ。」
「ベッド着いた。ご希望は?」
「一緒に寝て。お腹撫でて。温めて。キスして」
「しょうがない奴だな。」
「…あのさ」
「何」
「カルパッチョの事、ずっと好きだから。一緒に居てくれる、よね?」
「今更何言ってんの。」
「そう、だよね」
「居るに決まってるから。」
ウトウトしてきた僕に
「約束のキスね。1人にしないから」
と言ってくれた君は
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