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共依存

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2025年04月15日

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「おはよー」


普段通り、明るめの声で挨拶をする。


すると、先に来ていた4人のメンバーは次々と挨拶を返す。


だが北斗からだけ、返事がなかった。


よく見ると目頭を抑えている。


体調が良くないのかもしれない。


だが、俺は声をかけず、側にあったソファーに腰掛けた。


特に理由もなくスマホをいじっていると、樹が部屋へ入ってきた。


『おはよ』


いつも通りではあるが、樹のぶっきらぼうな挨拶に安心する。


甘い言葉をかけてくれるのは、俺だけなんだって…


少し頬が緩んでいると、不意に立ち上がった北斗が体勢を崩した。


樹は荷物も下ろさずにすぐ駆け寄る。


『北斗⁈どうした?体調悪い?』


北斗は、しんどそうに頭を抑えながら貧血気味と言った。


薬を求めた北斗に樹はすぐ薬を渡し、自分のペットボトルを差し出す。


間接キス…以前は全く気にしていなかったことが今は俺の心を締め付ける。


樹は北斗を椅子に座らせて、背中をさすっている。


『今日の撮影無理そう?』


そう樹が北斗へ問いかけると、北斗は心配いらないと言った。


『無理すんなよ!』


樹は北斗に喝を入れるようにして背中をポンと叩き、微笑んだ。



微笑んだ…なんで、俺以外にそんな顔見せるんだよ。


樹は、俺だけのものなはずなのに…


俺はドアを勢いよく開けて部屋を飛び出した。



「はぁっはぁ…樹…」


俺の目に涙が溜まってくる。


部屋を飛び出してトイレに駆け込んだはいいものの、気分はどんどん沈んでゆく。


トイレの鏡を見つめていると、目に涙を溜めている自分の姿がとても惨めに思えた。


「樹がいなくなったら無理なんだよ… 」

そう鏡にぶつけると、一筋の涙が流れた。


すると遠くの方から急いでいるような足音が聞こえた。


こっちへ向かっているようだった。



『ジェシー!』


トイレに入ってきたのは、樹だった。


『どうした?気分悪い?てか…泣いてんの?』


俺は涙を止めようとしたが、樹の姿を見て余計に涙が溢れる。


「樹が…北斗に優しくするから…」


『ごめん…ジェシーが嫌だって思うことわかってたのに…でも北斗の体調も大事なんだよ。』


「樹は俺のこと好きじゃないの⁈」


『好きだよ。大好きだよ。』


そう言って樹は俺を抱きしめた。


「分かってる。北斗がしんどいのは分かってるし、心配もしてるけど、樹が…」


『ごめんね。だから泣かないで。ジェシーが泣いてたら俺も悲しい。』



その後の撮影は、ほとんど記憶がない。


他のメンバーにはとても心配された。


ジェシーがボケない。発言しない。ボーッとしてる。


ジェシーじゃないみたい。そう言われた。



そりゃそうだよ。



恋愛は、人を変えるんだよ…

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