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15 - 第15話 「"光”の最後の手紙と、そこに書かれていた名前」

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2025年08月09日

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『その子が遺した手紙……?』

【ええ。光さんが最後にこの町に来たとき、置いていかれたんです。捨てられずに、いまだに店の奥に大事にしまってあって……】

カフェの女性がそう言って、奥から小さな箱を持ってきた。

中には、少し黄ばんだ封筒が一通。

『To:瑛士へ』

そう、丁寧な字で書かれていた。

「瑛士……?」

その名前を見た瞬間、誠也が固まった。

「どうしたの?」

『この名前、夢で何度も聞いたことがある……。誰かに呼ばれてた。“瑛士”って……俺のことを、そう呼んでた声があった。』

私の息が止まりそうになった。

それは偶然?

それとも……

カフェの女性は封筒をそっと開いた。

中には、シンプルな便箋が1枚。

彼女が目を通し、声に出して読み上げてくれた。

“もしも、また会える日が来たら……今度こそ、最後まで隣にいてください”

“あなたの名前を忘れても、きっと心が覚えてる。私は、あなたを愛したことを、消さずに持っていく”

“光より”

その言葉は、まるで今の私たちに向けられているようだった。


誠也くんが、私の手をそっと握る。

『なあ……俺ら、多分ホンマに、前に……』

言いかけて、彼は言葉を飲み込んだ。

でも、その瞳の奥には、確かな“記憶の欠片”が揺れていた。

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