〜 side 小柳 〜
雲一つない青空
下では署員たちの元気な声
俺はヘリポートで1人ヘリのメンテナンス中
部屋の中にいるのが気まずいのもあって、朝からここで過ごしている
特に獅子堂とは顔を合わせずらい
ミランは納得したんだろうか
いや、今は出来なくても時間が解決してくれないだろうか
考え事をしながら直していると無線が入った
“今出勤しているみなさんに連絡です。手を止めて全員会議室に来てください。早めにお願いします”
エクスさんだ
全員を呼ぶなんて珍しい
皆んなが集まりだし会議が始まる
「今朝なんだけど、事件の証拠物が部屋から無くなってました。付帯した資料も無くて、部屋に鍵が掛かって無かったんだよね。誰か心当たりある人いる?」
それぞれ顔を見合わせる
「無いよなぁ。今とりあえず所長とカメラの録画見てるんだけど、証拠物が保管されたのが確か5日前くらいで‥‥その間に怪しい人とか見た人いる?」
ざわつく中1人手が上がる
「俺かもしれません。昨日ここにミランが来て、仲間を待ってたみたいなんですけど、ずっと来なくて探したいからって署の中に入れてしまいました。最初は一緒にいたんですが、仕事の話を署員としてたら居なくなって‥‥探してたら多分ロウがミランを署から出してるとこ見たんだけど、見つけて出してくれてたんだよな?」
ミランの名前を出されてから動悸が激しい
「あ、はい。何もしてないのに署にいるって聞いたので外に出しました」
「‥‥なるほど?」
エクスが考えながら答える
また1人手が上がる
「なんか‥‥ロウ君にはごめんなんだけど‥‥階段からコソコソと何か話してて、怪しい雰囲気で‥‥外に逃してたのかなって笹木は思ったんだけど」
「え、でもミランは何も持って無かったッスよ?」
何だか必死に言い訳じみた言い方になってしまう
でも俺に抱きついてた時、本当に何も持ってなかったよな‥‥?
気づくと署員たちの視線が痛い
「話は分かった。神田さんと小柳は別の部屋に来てもらっても良い?」
「はい」
俺たちは別室に連れて行かれる
中に入ると困り顔のエクスが交互に俺たちを見る
「そうだな。まだ決まってないのに心苦しけど、犯罪してるものを1人で署内に入れた事と確認しないで出しちゃったってことで数日自宅で謹慎してもらおうかな。少し重いけど、最近署内もたるんでたから、2人には悪いけど‥‥いい?」
「大丈夫です。こちらのミスですから」
「俺も大丈夫です。本当にすいませんでした」
「ごめんね。何か分かったらすぐに連絡するから」
エクスさんの部屋から出ると笹木さんがすまなさそうな顔で立っていた
「ごめんねロウ君。ちょっとおもろそうに話しちゃったから‥‥こんな事になるなんて」
「大丈夫ですよ笹木さん。俺達リフレッシュ休暇でももらったつもりで家でのんびりしてますから」
俺たちの周りにも集まった署員達に見守られながら俺達は署を出て行った
正面入り口で神田さんと別れる
1人になってため息をつく
と、入り口の塀に誰かもたれかかっていた
「‥‥獅子堂?」
「‥‥よっ」
「‥‥何だよ。言いたい事でもあるんか?」
「無いよ」
「‥‥なんで俺達の事言わなかった?」
「だって知り合いの家から出てきただけだし。小柳が事件に関わってるなら自分で言うでしょ?」
「‥‥そうか。‥‥ありがとう 」
獅子堂が俺の事を信じてくれてるのが嬉しかった
だから俺は聞きたくなった
「なぁ、この街って‥‥白と黒が付き合ったりした事例ってあった?」
「‥‥無いよ」
「‥‥だよな」
「白が黒に堕ちるか、黒が白に戻るか。どっちかしないとダメじゃない?でも黒が白に戻るのは大変だよ」
それは俺も重々分かってる
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