テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
前回の続きになってます。
⚠️変わらず龍×勇太となってます⚠️
苦手な人はブラウザバックお願い致します。
※両片思い
※口調迷子、色々捏造
※何でも許せる方向け
相変わらず長いです
今回は勇太視点です。
随分長い夢を見ていたような気がする。
意識がふわりふわりと雲に浮かされているような不思議な感覚。
そろそろ起きなきゃな、と思えばあっという間で意識が急速に覚醒する。
「……ん」
「ここは……」
目をゆっくり開けると、見覚えのある天井が視界いっぱいに広がる。
それが自分の部屋だとすぐに気づく。
「…なんで家?」
確か龍とダンス練習してて……それから……どうしたっけ?
ゆっくり起き上がり、状況を整理しようと脳を働かせる。
若干の体のだるさや額に貼られているぬるくなった冷えピタ。
熱が出たんだろうなっていうのはわかる。というか体調が悪かったのは覚えている。
だけど、いつの間に家に帰ってきたのか全然覚えていない。
記憶が残ってるのは龍の腕の中で気失った所まで。
うーんと頭を捻らすが、それ以上何か分かることはなかった。
「全ッ然覚えてない……」
ふと、視界の端に人の体が映る。
まさかと思い振り返ると、龍が眠っていた。
「龍……!?」
「(なんで龍が隣で寝てるの!?)」
びっくりしすぎて思わず身を引いて距離取る。
すると、額に貼られている冷えピタが入っていたであろう箱が視界に入る。
それは龍の鞄の中から覗いている。そこで勇太は脳内で真相が何となくだが、線と線が繋がる。
「まさか、龍が…?」
ぴと、と額に手を当てる。ぬるめの熱を持つ保冷シートが手のひらに伝わる。
まさかここまでしてくれたのだろうか。
昨晩のことはほとんど覚えてないけれど、確かに温かい大きな手が触れたような感覚は残っていた。
「(……これ起こした方がいいのかな?)」
近くにあった自身のスマホを見ると時刻は朝の7時半。
龍は朝に弱いので龍にとってはまだ起きるのは早い時間でもある。
起こすのか躊躇していると、起こす暇もなく龍が身動ぐ。
「んー…………?」
龍の目が薄ら開かれる。
目が悪いからか勇太の顔を上手く認識できてないようで、パチパチと小さく瞬きをする。
「あ……おはよう……。」
バチッと勇太と目が合い、龍は声で気づいたのかハッと目を覚醒させた。
「ッ勇太!!!起きた!?」
「わ!大きい声出すなって……ッ」
「それはごめん。
で……勇太、体は?大丈夫?」
「え?何ともないけど……」
勇太が首傾げながらそう告げると、龍はホッとしたように安堵の息を吐いていた
。
それから龍は眼鏡を付け、寝癖を直すように髪を整えていた。
そしてどこからか取り出した体温計を勇太に差し出した。
「一応熱計ってみな。顔色はだいぶ良くなってるみたいだけど。」
「いやもう大丈夫だってば……わざわざ計らなくたって───」
「良いから。俺を安心させると思ってさ。」
龍がそう言うと、無理矢理手の中に体温計を収められる。
渋々体温計の電源を入れ、脇に入れる。
鳴るまでのほんの少しの時間、部屋内では静かな空気に包まれる。
なにか話すべきなのかと思うが特に何も思いつかない。
「(いや気まず……しかもめっちゃこっち見てるし)」
龍はじっと勇太の顔を見つめていた。
そんなに見つめられると照れてしまう、なんて言える訳がなくて。
「…なんでそんなに見てんの?」
ぽつりと独り言のように聞く。
龍は何か引っかかっているような、少しだけ不服そうな顔のまま腕を組んでいる。
「………勇太ってさぁ、 昨日のこと覚えてる?」
「昨日?」
「うん、どこまで覚えてる?」
どこまでとは?となるが、勇太は嘘をつく必要がないので、正直答える。
「龍と練習してて……途中から体調悪くなって……
そこからは………あんま覚えてない…」
何となく気まずい気持ちを抱えながら話すが、龍の質問の意図が全く読めない。
怒っては無さそうだけど、ずっと真顔で腕を組んでるから少しだけ怖い。
龍は少しだけ考えるようにうんうんと捻る。
「…そっか。」
「まぁいいや。」
まぁいいやと言う割には龍は残念そうな顔をしている。
言葉の選択をミスってしまったのだろうか、それとも自分が記憶がないうちに何か醜態でも晒すようなことでもしたのだろうか。
「(え…何その表情。)」
「(俺なんかやらかした…!?)」
もしかして龍に向かって吐いたり、寝ぼけて龍を蹴ってしまったとかだったらとか考える。
だけど、やっぱり心当たりは無いし、龍の表情的に違うみたいだ。
龍は勇太の的外れな思考を読み取ったのか、はたまたは偶然か呆れたような顔で小さくため息をついた。
「1個聞いてもいい?」
「え?…まぁ、いいけど。」
「勇太ってさ…」
「好きな人、居るの?」
「え?」
こいつ今好きな人居る?って言った????
今の話の流れで?どういうこと?
ぐるぐると病み上がりの脳を回転させ思考するが、脳内には?しか浮かばない。
「待って、なんで急に?」
「急じゃないよ。」
「……は?」
龍は真剣な表情を浮かべ、布団の上で座り込む勇太に少しだけ近づいた。
冗談ならどれほど良かったのだろうか。龍は勇太を真っ直ぐ捉え、答えを待っているようにしている。
「勇太。 お前は覚えてないだろうけど昨日の夜、俺に好きって言ったんだよ。」
「ッッ!?」
衝撃的な言葉に勇太は戸惑いを隠せない。
視線をいくら泳がせても、動揺しても龍は視線を固定したまま。
「は、…え…すき…?」
「うん。龍…好きって。」
「だからさ勇太、答えて。
誰が好きなの?」
龍はそのまま勇太が逃げられないように、両腕で包囲をして顔をぐっと近づける。
あと数センチ動かせば鼻息がかかりそうなくらいに近い。
勇太はそんな事をされて平然にできるほど余裕を持っていない。
ましてや好いている相手になんて。
「ちょっ…近ッ…!」
慌てて龍と距離を取ろうと退こうとするが、パシッと左腕を捕まれる。
痛くは無いけれど振りほどくことも出来ない。
勇太は心臓バクバクが止まらない。
あとコイツ、分かっててやってる。
俺の気持ち分かってるのに、言わせようとしてる。
「勇太、逃げないで。」
「俺の目、見て言って欲しい。」
「待って、龍ッ…」
「待てない。」
龍は甘い声で勇太の耳元に囁く。
「答え合わせ、させて?」
「はっ……龍ッ…」
「うん、言って。」
ほら、と急かされる。
勇太はグッと何かが込み上げてくる。
もう熱は下がったはずなのに別の熱がぐんぐん上がるような、そんな感覚。
「……ッ」
「ずるいって、お前…」
「はは、どっちがだよ。 昨日言い逃げした癖に。」
「ッそれは…仕方ないじゃん… 俺、覚えてないんだから…」
「じゃあもっかい言って欲しいな。」
「ッ……」
そして、勇太は口を小さく開けて、心の内を明かす。
自分にも聞こえたか怪しいくらい小さな声。
震えて言葉にもなっていたか怪しい。
龍の服を掴む手が強くなる。龍はその手をそっと撫でるように触ったあと、優しく包み込んだ。
龍にはしっかり聞こえていた。
満足そうに目尻を垂らせ、コツンと額を合わせる。
「…俺もだよ、勇太。」
「…ばか」
「答え合わせ、できたね。」
ふふ、と嬉しそうに笑う龍に勇太は思わず心が弾ける。
2人の答えは大正解だった。これ以上無いくらいに。
ゆるりと両手を繋いだかと思えば、手を離し、そのまま背中に回す。
2人は特に喋ることも無く、相手の背中に手を回して抱擁に答える。
体調不良の熱ではなく、確かな恋の温もりを感じた。
HAPPYEND
コメント
1件