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#snjn
のりもちさん
9,016
翌朝。
目を覚ました仁人の頭に、昨日のことが浮かんだ。
――手をつないだ。
しかも、自分から握り返した。
💛「……何やってんだ、俺。」
枕に顔を埋める。
思い出すたびに、昨日の舜太の笑顔が頭に浮かんだ。
💛「……忘れろ。」
そう呟いても、忘れられるわけがなかった。
◇
学校に着くと、いつものように舜太が近づいてくる。
❤️「おはよ、仁ちゃん!」
💛「……おはよ。」
❤️「……?」
舜太がじっと仁人を見る。
💛「何。」
❤️「今日、目ぇ合わせてくれへんやん。」
💛「合わせてる。」
❤️「今、俺の靴見てたやん。」
💛「……うるさい。」
舜太は楽しそうに笑った。
❤️「昨日のこと、気にしてるん?」
💛「……っ!」
図星だった。
💛「してない。」
❤️「ほんま?」
💛「ほんと。」
❤️「じゃあ、俺のこと見て。」
💛「……。」
仁人はゆっくり顔を上げる。
目が合う。
ほんの数秒。
それだけなのに、仁人の頬が熱くなった。
💛「……もういい?」
❤️「うん。」
舜太は嬉しそうに笑った。
◇
放課後。
二人で並んで帰る。
昨日と同じ道。
昨日と同じ夕焼け。
でも、仁人の気持ちは少しだけ違っていた。
昨日は舜太に手を取られた。
今日は――
仁人は歩きながら、隣にある舜太の手を見る。
少し迷って。
そして。
そっと、自分から手を伸ばした。
指先が触れる。
舜太が驚いたように仁人を見る。
❤️「……仁ちゃんから?」
💛「……何。」
❤️「いや。」
舜太が嬉しそうに笑う。
❤️「嬉しくて。」
💛「……そういうの言うなよ。」
❤️「なんで?」
💛「……恥ずかしいから。」
舜太は笑いながら、仁人の手を優しく握り返した。
◇
しばらく歩いたところで、空からぽつりと雨が落ちてきた。
❤️「雨?」
💛「……みたい。」
すぐに雨は強くなった。
舜太が鞄から傘を取り出す。
❤️「仁ちゃん、入って。」
💛「舜太は?」
❤️「一緒に入ったらええやん。」
一本の傘。
二人で並んで歩く。
自然と距離が近くなる。
肩が触れそうになるたび、仁人は少しだけ緊張した。
❤️「仁ちゃん、濡れてるで。」
💛「舜太こそ。」
❤️「じゃあ、もっとこっち来て。」
💛「……近い。」
❤️「でも、こっちのほうが濡れへんやろ?」
仁人は少し迷ったあと、舜太の隣へほんの少し近づいた。
肩が触れる。
💛「……。」
❤️「……。」
二人とも何も言わない。
でも、離れようとはしなかった。
◇
駅に着く。
ここで別れなければならない。
仁人は時計を見る。
💛「……。」
本当は、もう少し一緒にいたい。
でも、それを言うのは恥ずかしい。
❤️「仁ちゃん。」
💛「なに?」
❤️「……まだ帰りたない?」
仁人は驚いて舜太を見る。
💛「……なんで分かるの。」
舜太は少し笑った。
❤️「テレパシー。」
💛「……そんなのないだろ。」
❤️「あるって。」
舜太はつないだ手を見つめる。
❤️「俺と仁ちゃんの間には。」
仁人は何も言えなかった。
ただ、つないだ手をぎゅっと握る。
そのとき。
舜太は少しだけ仁人に近づいた。
そして、そっと仁人の頬に手を添える。
💛「……っ。」
一瞬で、仁人の顔が真っ赤になる。
❤️「やっぱり照れてるやん。」
💛「……うるさい。」
そう言いながらも、仁人はその手を振り払わなかった。
雨の音だけが、二人の間に静かに響いていた。
言葉にしなくても。
触れなくても分かることがある。
でも――
触れられた瞬間に分かる気持ちも、きっとある。
仁人は恥ずかしそうに目を逸らしながら、舜太の手に自分の手を重ねた。
💛「……もう少しだけ。」
❤️「うん。」
二人は雨の中、もう少しだけ一緒にいた。
コメント
1件
**第2話、めっちゃ良かった…!** 仁人が自分から手を伸ばすシーンで、もう胸がぎゅってなったわ。雨の傘の中の距離感、「まだ帰りたない?」って言われたときの仁人の反応、どっちも表情が浮かぶぐらい丁寧に書かれてて刺さった。「もう少しだけ」って呟いたところ、最高だった。続き読みたい🔥