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【デルタ王国・謁見室】
第九艦隊の再編について相談するため、アーレイはデルタ王国を訪れていた。
「みんな元気そうでよかった」
予定していた仕事を終え、久しぶりに作戦司令室へ顔を出していると、モジュールのアイコンが開き、ジェフから呼び出しが入った。
<アーレイ。仕事が終わったのなら、顔を出せ>
「……嫌な予感しかしないのだが」
フローレンスが里帰りしていることもあり、無下に断るわけにもいかない。
仕方なく謁見室へ向かうことになり。
そして――。
「今年は、アーヴィンの王子がデルタ王立貴族学校へ編入してくるぞ」
「それは大変ですねー」
「フォーレストからも来るぞ」
「人気があって結構なことですねー」
「それから、トレイシーと同い年だな」
「奇遇ですねー」
いつもの、ノーサイド的なやり取りが続くが、ここでトレイシーの名前が出たことで、アーレイは何となく嫌な予感を覚えた――。
「なので、クーンからも参加させることになったぞ」
「……やっぱそう来たか」
「なんだ。不満か?」
「学費が高いですよねー」
「今回はタダにしてやる」
「クソ狸。レンとの相談は済んでいるのか?」
「お前とやり合うなら当然だな」
「……まあ、いいや」
こうして、アーヴィン、フォーレスト、クーン。三つの王国から生徒が集められ、結果として、トレイシーを含む五名が、デルタ王立貴族学校高等部へ編入することが決定した。
※※※※※
【数ヶ月後・クーン城】
入学を控えたある日。ステイシーの母親であるフローレンスの元へ、一通の通知書が届けられた。
「まぁ……なんてことでしょう……」
アイコンを開き、内容を確認した瞬間。フローレンスの顔から、みるみる血の気が引いていく。
そして頭を抱えた――。
届いたのは、デルタ王立貴族学校へ入学する五名の入学試験の結果と、成績に応じたクラス分けの報告書だった。
そして娘、ステイシーの評価とは――。
「F」
赤く表示されるFの文字に、思わずフローレンスは何度も見返す。が、変わるはずもない。
一般の家庭であれば――これから頑張ればいい。
だが――王族は違う。
「Fは……さすがに駄目でしょう」
王族にとって、成績不振は単なる学力不足ではない。
それはクーン王家の汚点になりかねない。
Bなら、まあ問題はない。
Cなら、少し締め上げればいい。
だが――。
「Fは駄目よ……完全に底辺じゃない」
しかも、よりにもよって自分の娘だ――。
王族としての立場を考えれば、到底笑って済ませられる成績ではない。
「今なら……まだ間に合う」
入学式までに、何とかしなければとフローレンスは強く思う。
しかし、彼女一人ではどうにもならない――。
「直ぐにアーレイには頼らない方が良い」
夫であるアーレイには最後の判断を委ねるしか無い。その前に解決策を先に備えないと、妻として失格だ――。
「……先にアデールとタイラーに相談しましょう」
こうなればウルトラCの解決策しかない。
なので自ずと同じ側室であり、子供たちの教育にも関わっている二人の顔が浮かぶ――。
こうしてフローレンスは、アデールとタイラーに協力を求め、相談に向かうことになる。
【城下町・カフェテリア】
「あらあら、これは……遊んでいたからだね」
「うわぁ〜うちのアイラと真逆だわ(呆)」
成績表を見るなり、呆れ顔の二人。
いくら仲が良くても、この時ばかりは恥ずかしい――。
「お恥ずかしいお話ですみません。けど、中等部はこんな成績じゃなかったのよ」
遊び仲間のアイラとは大違いで、成績の悪さにフローレンスは動揺を隠せない。
「最近、ひたすら剣術に没頭していたみたいよ」
「ああ、だから夜は早く寝てたんだ。ならどうにかなるかな」
なんて事はない、勉強せずに大好きな剣に打ち込んでいただけだった。
地頭は元々悪くはない、これならまだ挽回出来る。だが、時間が無さ過ぎる――。
「それでこのまま入学とはならないのでしょ、クーンの学校通わせる?」
「いや……お爺ちゃんが……乗り気で……入れない選択肢は無いわ」
ことの始まりは、ジャスティン国王からだった。
息子を入学させるので、クーン王族とも交流を持ちたい――そう連絡が来たのが発端だった。
ジェフに相談すると孫に会えるのが嬉しくて、学費免除するから是非と言われ決まった話なのだった――。
「ああ……それじゃ断れないのね」
「それでね相談なの……」
「良いわよ、なんでも聞いてあげるから安心して」
そしてフローレンスは大胆な解決策を述べ始める。
内容はというと、成績優秀なアイラをステイシーに化けさせ、ステイシーは一般人として入学させ、成績が上がれば最終的に正体を明かすという作戦だった。
「アイラは協力すると思うけど、ステイは大丈夫かしら」
「うふふ、そんなの問答無用に決まっているわ」
「じゃ!偽装魔法は任せて!」
仲良し側室たちは、フローレンスの悩みを解消する為に、一致団結するのだった――。
※※※※※※
【とある研究施設】
クローン体を生産するとある企業の研究施設。
トップシークレットと明記されるその部屋には、成人男性より一回りほど小さな人間の脳が、保存液の中で浮いている。
「リリア、必ず君を表舞台に戻すからもう少し待ってて――」
大きなガラス管の中を漂う脳に向かって、悲しそうな表情を浮かべる一人の少年がいた。
※※※※※※
【クーン城・アーレイの執務室】
コンコン!
「んっ?何だ、ぞろぞろと……ああ、また何か仕出かしたんだな……」
お茶を嗜み、休憩中のアーレイの元に、入学を控えた五人とアデールを筆頭に母親がぞろぞろと姿を現わす。
その中で、一番緊張しているステイシーの表情を伺えば、口を開く前にアーレイは溜息をもらす。
「まずは、これをご覧になってください」
タブレットを差し出し、五人の成績表を見せる。
「こ……これは……酷いな――」
「ステイシーをこのまま入学させるのは、クーン王族の沽券にかかわります」
母親の言葉に、ステイシーは石化魔法で固まっているかのように微動だにしない――。
(終わった終わった……詰んだ詰んだ……)
ステイシーは内心で反省の念を、念仏を唱えるように複唱していた――
「……それで、解決策を提示してくれないか」
「はい、アイラをステイシーに偽装、ステイシーは偽装後、一般人として入学。アイラの替わりはI・F・Gのフィグネリア嬢に肩代わりして貰います」
頭を抱えたまま、解決策を聞いたアーレイは、その途方もない計画を知ると、既に放心状態だった――。
「爺さんの手前、そうするしか無いな。ステイシー、君には条件を付ける」
「はい、何なりと申し付け下さい」
条件を付けるの言葉で、入学すると分り、一歩前に出たステイシーは一瞬、安堵の表情を浮かべるが、すぐさま力強い目つきに変わる。
そして――
「三年生になるまでにTOP10に入れ。できなければお前を――王籍から外す」
シュバッ!
「……お父様!申し訳ございませんでしたぁぁぁ!」
とんでもない高い条件にも拘らず。潔いステイシーは、スライディング土下座を決めるのだった……。
コメント
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お疲れ様です〜!第2話読みました!🌸 もうね、ステイシーちゃんのF評価にフローレンスが青ざめるシーンから笑っちゃった😂 しかも解決策が「アイラをステイシーに偽装」って、姉さんたちの結束力強すぎない?😭💕 最後の研究施設のシーンで急に雰囲気変わって「リリア」って誰…!?ってなった…次の展開が気になりすぎるよ〜!✨ あとスライディング土下座のステイシーちゃん、潔くて好きです(笑)TOP10に入れるように頑張れ〜!📚⚔️