コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「…は?」
「私、実験をしているんです」
「じ、実験、?」
「人は、死んだらどこに行くのか、っていう実験です」
「え、」
そう。これが実験だ。ずっと試したかった。大人に聞いても、天国だの極楽だの地獄だの。つまらない回答しか聞けない。酷い時には、宗教的なことまで言ってくる始末だ。私はそんなことが聞きたいのでは無い。真実を聞いているのだ。だから、自分で見つけてやろうと思った。それが、1番手っ取り早い方法だった。
「そ、それって、まさか、雫がやるんじゃないよね?」
「実験体は、私です。」
「嘘…!」
この実験には、もうひとつの狙いがあった。「現実からは、どうやったら逃げられるのか。」スマホに依存しても、2次元に依存してもゲームに依存しても。いずれは現実に引き戻される。そしてまた、地獄を味わうことになる。そこで考えたのだ。「死ぬことは、現実逃避になるのではないか」と。
「やめて、やめてよ!」
「どうしてですか?」
「そんな、まだこれから長い人生が待ってるのに!そんな簡単に命を捨てないで!」
「じゃぁどうしろって言うんですか!」
「え、?」
「親、先生からの期待に押しつぶされて、応えられなくて、怒られて、殴られて!」
「殴ら…」
「これからの人生?そんなのもう求めてない!
早く楽になりたい!こんな地獄から解放されたい!ただそれだけなんです!」
「楽…」
「もういいですか?」
「…例え死んだとしても、広がる景色は終わりのない地獄だよ」
「そんなのわかんないじゃないですか!
だって、まだ死んだことないんだから!」
「ある」
「え?」
「あるから言ってんの」
あるから?どう言うことだろう。死んだことが?まさか、ならなんで今そこにいるんだ?霊なんてものは、存在していない。科学的にも、説明は着くはずだ。絶対に嘘をいっている。私を止めるための嘘を。なのになんで、
そんな悲しそうな顔でこちらを見ているんだ?