テラーノベル
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組織の大魔王二体がどんどんとキーリに迫ってくる。
そしてキーリの『龍滅』が、確実に当たる間合いに入りかけた瞬間に大魔王達は、再びキーリが何かを発動させようとしているのを見て、彼らも対応する為に魔法の準備を始めるのだった。
『発動羅列』を組む余裕はなさそうだと判断した彼らは、同時に無詠唱での中規模である『超越魔法』を『無詠唱』で展開する。どうやらこの世界を程度の低い世界だと認識している彼らは相殺するだけならば、超越魔法で十分だろうと判断したのだろう。
しかしそれでも魔法を発動しようとした瞬間に、少しだけ身体が重くなったように感じたかと思うと、僅かに発動が遅らされていると気づいた。
それはこの世界の龍族達が古来から使っていた『技』の一つで『龍呼』と呼ばれる相手に対して『状態異常』を与える『技』であった。
この『龍呼』には『一段階目』から『四段階目』まであり、キーリが扱う『龍呼』は最終段階である四段階目である。
本来キーリの放った『龍呼』は、大勢の敵の自由を奪いそのまま意識を失わせる程の強さを持っている。
しかしどうやら組織の魔族達は、キーリの魔力を遥かに上回る『耐魔力』を保持している為に、僅かにやろうとしている行動にタイムラグを発生させる程度の効力しか発揮されなかったらしい。
――しかしキーリは口角を吊り上げて笑みを浮かべる。
相手の動きを鈍らせる。たったそれだけで十分だとキーリが判断した為であった。
「纏めて吹き飛べぇっ!!」
――『龍滅』。
輝かしいオーラに包まれたキーリは、その小柄な体を思いきり仰け反らせながら膨大な魔力をその『龍滅』に乗せて全開で発動させるのだった。
キーリの両手から発射された『龍滅』は、まるで全てを滅する波動砲のようであった。
そして高速で発射されたその『龍滅』の光は一瞬で二体の魔族を呑み込んだ。爆音が周囲に鳴り響き、甚大なダメージを与えたという手応えをキーリは両手に感じた。
龍滅は二体の魔族だけではなく、その背後の岩山もろとも全てを吹き飛ばしていた。砂塵が空にまで舞い上がる『龍滅』は、その威力の大きさを示した。
「へっ! ざまぁみやがれ!」
始祖龍キーリの『三色混合』を用いた『龍滅』は『トウジン』魔国にある『闘技場』でかつて『リディア』に放った『龍滅』の威力の規模を大きく超えていた。
『アサ』の世界にも『コープパルスドラゴン』という龍種の最上位に位置する龍族が居るが、その『コープパルスドラゴン』でさえ、今のキーリの放った一撃は、あっさりとその命を奪える程であろう。
まさにそのキーリの全力で放たれた『龍滅』によって、二体の『アレルバレル』の世界の魔族達は絶命したかと思われた。
―――しかし。
直撃した筈の二体の魔族が、砂塵で閉ざされた視界の内側から突如姿を見せたかと思うと、そのままキーリに笑みを浮かべて向かってくるのであった。
「なっ……!?」
二体の魔族は何も小細工などしておらず、彼らが持ち得る耐魔力の高さだけで、始祖龍キーリの龍滅を防ぎきったのである。
そしてキーリはこの後に起こるであろう光景をまるで予知するかの如く、脳内に浮かべてしまう。その光景とは、二体の魔族によってやられてしまう未来であった。
キーリは仕方ないかとばかりにその未来を受け入れたが、その瞬間であった。かつて『ラルグ』魔国でレアと過ごした日の事が、キーリの中で走馬灯のように思い出されるのであった。
向かってくる二体の魔族は速く、こんな事を考えている余裕等ある筈がないのに、まるで少しの間時が緩やかに動いているような、錯覚を覚える中でキーリはその時のレアの様子を思い出していく。
ラルグ魔国城の庭でメイドに渡されたお菓子を二人で分けて食べながらレアはキーリに、フルーフに会いたいと何度も伝えていた。普段他人には自分の事を話さないレアだが、キーリには切実にその思いを伝えてきていた。
その時にキーリは必ずこの苦労者のレアを『父親』の元へ届けてやると決心をした。
「そ、そうだ……。お、俺は……。アイツが幸せになるのを見届けるまでは、死ねないっ!!」
そこでようやく時の流れが戻ったかの如く視界が元に戻った。
そして目の前まで迫ってきていた二体の魔族は、キーリをその手で倒そうと伸ばしてきていた。
キーリの身体を貫こうと伸ばされた手は、そのキーリの吹き荒れる風によって押し返された。
戦力値でも速度でも圧倒的な差がある筈の大魔王領域の彼は、その風に嫌な予感を感じて手を引っ込める。
「!?」
キーリの周囲を纏っていた三色のオーラの内『緑のオーラ』だけが残された。そしてキーリの身体が人型から、龍の姿へと変貌を遂げていく。
――それは正しく『キーリ』の『龍化』である。
しかしこれまでの彼女の龍化と違い、キーリの身体の周囲を『緑のオーラ』が纏われたままであった。
今まで幾度となく理想を描きながらも遂に体現する事が出来なかった彼女の『緑のオーラ』と『龍化』の併用がついに可能となったのである。
そしてそれだけに留まらず、再び『緑』以外の『青』と『紅』も淡くではあるが周囲に纏われていく。
キーリに攻撃を加えようとしていた一体の魔族は、突然のキーリの変貌ぶりに驚いたが、直ぐにその場から脱出しようと『高速転移』を使おうとする。
だが、その転移が行われるより早くキーリの口から炎が放たれた。
――『龍ノ息吹』。
まさにこの場を離脱しかけていた組織の魔族は、キーリの炎にその身を焼かれる。
「ぐっ……!」
『緑のオーラ』だけではなく『三色混合』状態のキーリの龍化によって、一気にその戦力値が膨れ上がったキーリから放たれた炎は、流石の大魔王であっても無視の出来ない一撃となった。
しかし大きなダメージを与える事に成功はしたものの、それで仕留められたワケではなかった。
炎に焦がされながらも組織の魔族はスタックを始めて、一つの魔法を放とうと再び両手を前に突き出す。そして龍の姿となっているキーリの背後から、もう一体の魔族がキーリに近づき攻撃をしようとする。
「危ないっ!! キーリッ!」
守護龍達に抱き抱えられながらこの場から離されようとしていたレアは、大声をあげて自分の親友の名前を呼ぶ。
名前を呼ばれたキーリは、ゆっくりと声のする方を振り返る。
そこで自分の背後から攻撃を加えようとしている魔族の姿が目に入ったが、キーリはそんな奴なんて無視をして、遠くから自分の名を呼ぶレアの顔を見ていた。
レアの顔を見ていたキーリだったが、やがてはどうしようもないという事を悟ったキーリは、困った顔でレアに苦笑いを見せた。
「ごめんなレア。お前は絶対に親父さんを見つけるんだぞ?」
レアを見ながらキーリはそう呟いた後、小さく息を吐いた。
――次の瞬間。
まだ『龍化』と『三色混合』状態ではあるが、魔力が急速に枯渇していっている始祖龍キーリに向けて、二体の魔族はキーリの前と後ろから本気で『神域魔法』を放とうとする。
「い、いやああああ!!」
レアは金切り声をあげながら『ミルフェン』の制止を振り切って、涙を流しながらキーリに向かおうとする。
――そこへ空間から亀裂が入り、一体の魔族が出現したかと思うと、その魔族は嬉しそうにレアの顔を見たが、そこでレアの涙を流す姿も見てしまうのだった。
コメント
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おおっと!第671話、読み終えたわ…! キーリの「♡♡♡ない」って決意がレアとの約束から来てるところ、最高にグッと来た。 龍化と三色混合の併用開放も熱いし、ラストの新魔族登場でまた謎が深まったな…! やっぱ羽海汐遠さんのバトルは技の設計が細かくて刺さるわ。続きが気になる🔥
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