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# さよならミイラ男
水白
※ 地雷さん注意
夜更けに地震があった。
その揺れは、ぼくの眠りの底からあっさりと引きずりだし、暗いへやの中に置き去りにした。
けれど実際はなんてことない地震だった。
目を開けた時にはもうおさまっていた
あたりは静まり返っていて、きっとぼろぼろのアパートだからよけいに揺れを感じていたんだと思った。
布団から顔だけ出し、まわりの気配をうかがった。
壁の向こうからは水音もテレビの音も、床がきしむ音も聞こえない。
ただとおくから街を走るくるまの音が途切れ途切れにひびいている。
部屋にいるのはぼくひとり。 おかあさんはまだ帰ってこない。
急にさむさを感じ、「もう12月か、」と冷たい空気があたりまえのようにへやの中をおおっている
あきらめたように息をはき、目をぎゅっととじた。
ねむらなきゃって思ったから。
そうしないとまた起きられなくなるから。
耳をふさぎたくなるようないやな音が続いたけど、そんなことはどうでもいい。
何も考えないようにして眠りについた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
音に気がついて起きるともう十時を回っていた。
また寝過ごしてしまった
ふらつきながらも立ち上がり台所のとびらを開けた
テーブルにはぴんくの目立つスマホ、
白_ あの音はスマホの音だったんだ、
スマホの画面をみるとじぶんのがっこうの名前がうつっていた
こんな時間になっても登校しない僕を心配してかけてきたんだと思う。
電話にでてなにか話した方がいいかな、となやんでいると着信音はぷつんと切れてしまった。
白_ どうすれば良かったんだろう、?
今から学校に行っても、じゅぎょうは始まっている。
きっとおくれてきた僕にみんなはあきれるだろう。
それならずっとこのへやにいた方がいいのかもしれない。
もうなんどもそうしてきたし、くり返すだけのことだから
もう一度スマホをみた
ここにスマホがあるということはおかあさんが帰ってきたということだ
もしかしたら何か買ってきてくれているかもしれないときたいしながらおかあさんのへやにいった。
おかあさんの部屋からはこもっていた香水とたばこにおい、それにお酒のようなにおいがした。
おかあさんはぐしゃぐしゃになった布団の上でねむっていた。
たぶん夜明けにかえってきたんだと思う。
白 _ ねぇ、
呼びかけようとしたけど声を飲み込んだ
おかあさんの部屋には寝ているおかあさん以外にもうひとりだれかがいた。
その人はおかあさんの隣でだらしなく寝てる。
おかあさんが男の人を連れ込んで来るのははじめてではない。
今までにも何回かあった
だからもう気にしないようにしたんだ
そんなことはどうでもいいと思うようになっていた