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???「そういえば妖怪の長さんはどこにいらっしゃるんですか?」
ここは、鬼灯刑務所。「不山橙」はある疑問を零した。
???「あぁ、あの人は防犯カメラ室にいるよ」
それに答えたのが「紫雲雨花」。
橙「え!?あそこは職員以外立ち入り禁止のはずですよね?大丈夫なんですか?」
雨花「大丈夫だよん!お師匠様にちゃんと許可もらったから!」
橙「そんな簡単に許可出して良いんですか?」
雨花「お師匠様の実力は橙ちゃんも知ってるでしょ?いざとなったらちゃんと対処できるという責任を持ってるから許可出せるんだよ。だから大丈夫」
橙「それもそうですね。でも防犯カメラ室で何してるのか気になります。雨花さん、一緒に行きませんか?」
雨花「うん!良いよ〜」
雨花と橙は、防犯カメラ室に移動した。
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「…………」
橙「何やらずっと映像をみていますね」
雨花「ぬらりひょんさん!こんにちは!」
「……………ん?あぁお前さんたちは雨花に橙だったね。こんにちは」
よほど集中してみていたのか目をパシパシさせている妖怪の長。
橙「どうしてここへ?」
「お前さんたちと和解する約束をしたとはいえ、「人間や神と妖怪との共存」は簡単な事じゃない。だから知ろうと想った。妖怪と話したり遊んだりしている人間や神がどんな表情でどんな気持ちで過ごしているのかを。「共存」するにはやはりお互いを知ろうとする努力をしなくてはならないと想った。だからここでみていたんだ。そうすれば少しは町人を傷つけたことに報いることができるのはではないかと想ってな」
ぬらりひょんは、下を向いて暗い瞳になった。
雨花「ぬらりひょんさん。ぬらりひょんさんにとって「共存」するということは「償う」ことなんですか?」
「え」
ぬらりひょんは、頭をガツンと殴られたような気持ちになった。
雨花「償おうとするのはぬらりひょんさんの勝手で、ぬらりひょんさんの自由です。償うというのは自分の意志でやるべきことで、周りが強要することじゃない。でも、「共存」というのはぬらりひょんさんの勝手じゃない。ぬらりひょんさん以外の意志も含まれているもので、ぬらりひょんだけのものじゃない。「共存」を「償う」ことに使わないで下さい。」
「!」
橙「雨花さん……」
「でも、」と雨花は話を続ける。
雨花「あなたは「償いたい」と想うことが出来る。それもあなたの強さです。その気持ちもわたしは大切にして欲しいです。強さを持っているなら「共存」に繋げることができると想うし、こうやって「共存」するために努力してらっしゃるんですから、あなたはもう充分だと想いますよ。もう充分償ってると想います。」
しばらく沈黙が続くと……
「………なんというもったいない言葉……うぅ……ひっぐ……ありがとう……雨花……」
ぬらりひょんは崩れ落ちてしまった。
雨花「………」
辛いよね
その辛さが自業自得なら
尚更
「償う」って自分の意志でやるべきことだから
罪を犯して一度折れると中々償おうと想っても心がもう手一杯なんだよね
罪を犯すと色々なところから責められて
自分が傷つけてしまった人に
もう二度と関わりたくないとか許さない、許せないとか言われると何にもないところを独りでみえない目で彷徨い続けろと言われてるようで
でも自分が悪いから辛いなんて言うこともできなくて
罪人は
そんなに幸せになっちゃいけないのかな
雨花「もうぬらりひょんさん。自分のこと責めすぎですよぉ。あはは」
橙「(雨花さんは「償う」ことすら許されない……って想っているんでしょうね。だからさっき強い言い方をしてしまったんでしょうか。……彼は償うことができるから)」
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橙「じゃあまた」
雨花たちは、妖怪の長とさよならを交わし、防犯カメラ室を出た。
雨花「じゃあわたしちょっと約束があるから後でここで集合でも良い?」
橙「別に構いませんが……何かするんですか?」
雨花「えっとねぇ……」
「おい、雨花!」
橙「あなたは……先日の……」
雨花たちの前には、前に雨花に想いの丈をぶつけた河童の少年がいた。
「茜も待ってるぞ。早く来い」
雨花「はいはい〜」
橙「で?何するんです?」
雨花「相撲だよ!河童は相撲得意だからね!」
そして、雨花は河童に連れられ、遊びに行った。
「あ!雨っち!こっちこっち〜」「ん?こいつは雨花だぞ?雨っちとは何だ?」「あだ名だね。名前に親しみを込める時に使うんだよ〜」「河童ちゃんはきゅうちゃんだね!」「な、何故だ!」「河童と言えばきゅうりだからじゃない?」「俺には名前がもうある!」「でも教えてくれないじゃん?だからきゅうちゃん」「きゅうちゃんなら可愛いね!」「もっとかっこいい名前にしろ!」「じゃあわたしに相撲で勝てたらね?」「望むところだ!」「ガンバ〜雨っち」
橙「何だか楽しそうですね。そうだ!写真に撮っておきましょう。」
橙は、あまりスマホ操作が得意じゃない。橙が生まれた時はまだスマホが開発されていなかった。本格的なスマホは橙の死亡後に流行したため、橙はスマホを知らない。あの母親が渡すとも想えないが……そのため、操作が苦手なのだ。
橙「確かこれを……あっ!」
橙はスマホを橋から落としてしまった。すると、
「よっと……」
橙「!」
一反木綿の妖怪が空を飛び、橙のスマホを取ったのだ。
「はい、どうぞ。気をつけろよ〜」
橙「あ、ありがとうございます!」
「お前、何でスマホ落としとんだ?」
橙「いえ、知り合いが楽しそうに遊んでるので写真に撮ろうかなと……でも、また落としたら嫌ですし、諦めます」
「…………」
妖怪はしばらく黙ると、提案してきた。
「俺たちは人間や神が使ってるスマホに慣れてないから中々使えないんだ。お前のスマホでその知り合い以外にも撮って欲しい奴らが沢山いるんだ。お前が俺の仲間も撮ってくれるなら、お前がもう落とさないように俺が配慮しながら手伝ってやる。どうだよ?」
橙「え?良いんですか?ではお願いします!」
そういうと、一反木綿が少し大きくなり、まるで魔法の絨毯のようになり、橙を乗せて、橙は沢山写真を撮った。写真には沢山笑い合っている人間や神、妖怪が映っていた。
橙「そういえばどうして写真が必要なんですか?」
「俺の知り合いのばあちゃんがもうすぐ誕生日で、そのばあちゃんすげぇ優しくてさ。みんなが笑ってると楽しくなるって言うから、笑顔の写真撮ってもらえば喜ぶかなって」
橙「素敵な理由ですね」
「うるさい」
刑務所を見渡すと、陽だまりの中、笑っている者たちが沢山いて、穏やかな時間が過ぎていった。