テラーノベル
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「入学式の写真は、全身のり巻きです」
「衣装が違和感しかないって!どんな……」
「成人式は“醤油持参”がドレスコードでした」
「聞いてぇ! いまうちがツッコんどるからぁ!」
寿司子のボケが予測不能に飛び回り、リコのツッコミが追いつかなくなる。空回り、噛み合わないリズム。
「──はい、そこまで」
講師の声が響く。3分の持ち時間が終了した。
場が静まる。
講師はボールペンで頭を掻きながらつぶやいた。
「……まぁ、ネタの発想は悪くないんだけどなぁ。正直、練習不足かな。ツッコミが馴染んでないし、ボケも一人で走りすぎてる」
講師の厳しい指摘に、リコは照れ笑いのような曖昧な笑みを浮かべ、寿司子は落ち込んだ表情で自分の足元を見つめる。勝手に溢れてきた涙が靴先を濡らす。
練習不足と言われたが、決して二人はサボっていたわけではない。
コンビを組んでまだ日は浅いが、この日を迎えるまで、毎日、寝る間も惜しんで練習してきた……はずだ。
──わたしのせいで、台無しにしてしまった…
点数は、平均以下。
「即席コンビは滑りやすい」──それはよく聞く言葉だった。いま、まさにその洗礼を受けたふたり。
コメント
1件
♡50達成ありがとうございます✨