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目が覚めると、そこは知らない場所だった。
ひんやりとした空気が肌を撫でる。ぞくりとして瞼を開ければ、そこはさっきまでいたところではないどこかだった。
「ここ、どこ…?」
見渡して見れば、そこは古い電車の中だった。窓の奥には、田舎町の自然が広がっており、奥で夕陽が赤々と燃えている。
電車の中に夕陽の光が差し込んで、薄い影ができていた。
電車の中には誰もいなく、ボクだけが1人ぽつんと座っている様な感じだ。
とても、綺麗な場所なのには間違いないのだが、少し思うこともある。
(ほんとに、ここどこ?)
(何かあるとすれば、きっと朝だろうな)
――――――――
ボクの家は、親が毎日朝早く起きて夜遅くに帰ってくる。
2人とも、ものすごく忙しい。
だから、休日は毎日ゆっくりと寝ている。
そんな2人を起こさないためにも、ボクは、早くに起きて外に出かける様にしていた。
最初のうちは心配していた両親も、最近になるともう慣れたのか何も言わなくなっている。
外の風は、とても気持ちが良くてボクは好きだ。朝一番に見る朝日も、おばあさんが散歩させている犬を見るのも、四葉のクローバーを探すのも、ボクの日課。だけど、それは案外危険だったりする。
出かける様になった最初の頃は、変な男の人に車に入れられそうになったし、路地裏を通った時には、狂暴なワンワンに追いかけ回された。
毎日何かしらスリリングなことがあるから、目を覚ますにはぴったりだ。
そう、何かあるとすればその時に何かあったとしか思えない。
だんだんと頭の中に記憶が蘇る。モヤモヤとしていた何かがパッと晴れそうだった。
「キミ、終点だよ」
―――――――――
突然、誰かに肩を叩かれた。ピクリとして声の方を見ると、そこには昔の学ランをきた男の子がいた。キャップを深くかぶっていて表情はわからないが、とても優しそうに見える。
「あ、ええと…」
「ほら、これを逃したら長いんだ。だから、早く出て。」
少年に促されるままに、電車を降りる。すると、電車はすぐに動き出した。
愕然と電車を目で追っていると、隣で少年も同じように目で追う。
それに少し遅めに気づいたボクは、慌てて男の子の方に向き直った。
(同い年…なのかな。)
「あの、ここがどこだかわかりますか?帰り方がよくわからなくて…」
「え、ここ?…ここに一度も来ない人なんてそうそういないよ。だから、大丈夫 」
男の子の答えは曖昧だった。濁したような言い方だ。男の子も、ボクが何を思ってるのか勘付いているようで、少し困った顔をしている。
「と、とりあえず、ついてきて」