テラーノベル
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幼子に倣って淡々と嘘を吐く
靉靆と水を撒いている
あなたの姿だけを見ていた
燦然と溺れ死ぬ深淵に身を浸していると
焦燥が不埒に舞って
猛毒が巣立って行った
分かっていたはずだ
此処にはすり合う袖すらないと
そう言って嘆いた君を永遠に愛すよ
喧騒が肥大してきて
君の声を恋しく思う
それすら体裁だなどと
儚くなるよう切り取って
肯定しきれぬように
最後にこれだけは
分かっていたはずだ
藍く鈍く澱む悲を
優しさで縫い合わせているから
霞始靆君を黙って待っていた
その時間すら靉靆としている
相対で交渉しようじゃないか
君に逢いたいんだ
コメント
1件
読み終えました。このエピソード、詩のような流れの中に「靉靆」という言葉が何度も出てきて、曖昧でぼんやりとした情景が浮かびました。最後の「君に逢いたいんだ」がすごく切実で、それまでの淡々とした響きが一気に胸に迫ってくる感じがしました。静かだけど、熱を帯びた一編ですね……素敵でした。