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俺は駆け付けたその場で立ち止まった。
そして、声を絞り出す。
「なんで…いるの…?」
そこには、マイキーと千咒ちゃんと母さんがいた。
「へー、犯人さんってこんなことまでするんだーw」
母さんは笑っているが、母さんの頭からは血が出て止まらない。
これは看過できない事態である。
「マイキー!だからやめろって!」
千咒は力いっぱい叫ぶ。
しかし、当人は全く聞こえてないように感じた。
「あれは…殺される…。」
ワカくんは、そう呟く。
…今、この状況をどう止める?
あの事件か?
そうだとしたら…
今、俺がここで止めなきゃ。
「マイキー!!!」
「馬鹿かお前は!?」
ワカくんに止められようが関係ない。
あいつに…受け止めさせてやる…!
「聞けマンジロー!!!!!!」
…マイキーの動きがぴたりと止まる。
「お前から死にてぇのか?」
そう言って、あの眼を向けてきた。
「…ああ、そうかもな。」
俺はそう言って笑った。
「よく聞きやがれ、お前の大罪を…。」
〈東京都第七小学校教師・生徒大量殺害・傷害事件〉
[別名:悪魔の日]
[2001年3月14日に生徒1名によって起こされたた事件である。]
[当日に登校していなかった生徒以外の生徒が全員死亡。]
[教師は加害者のクラス担任以外が余さず死亡。クラス担任は意識不明の重体となった。]
[この惨劇に、他校教師は「非常に怖い事件である」とコメントしている。]
[尚、この事件の犯人は未だに捕まっていない。]
[この件に、親族はノーコメントとしている。]
「ってよ…。お前はどうなんだよ…。」
そう言うと、あいつは黙りこくった。
そして、やっと口を開く。
「…そうだよ、俺が殺した。」
そのことに、ここに居る一同(一部除く)が驚愕した。
「ってことは…。」
「てめえらが知らねえ「この俺」が出てきた事件だよ!」
そう言うと、マイキーじゃない「あいつ」はそう叫んだ。
「…多重人格。」
そう、武臣が言った。
「は?それってどういう…。」
「あいつが無自覚で抱えてる物だ。黒い衝動も一種のそれだな。」
ココくんの問いに武臣はそう返した。
俺はこいつに敵うのか…?
俺は不安に駆られる。
その時だった。
「ボス!!」
…なぜか、春千夜くんが視界にいる。
精神病棟の隔離部屋に居なかったっけ?
「ハル兄ぃ!」
千咒が叫ぶ。
しかし、春千夜くんはお構いなしにマイキーの皮を被ったやつに近づいて、抱き締めた。
「ボスは何にも悪くない。だから、こんな奴らの事なんて聞かなくていいんですよ。」
そう、あいつに言う。
しかし、その口から出た言葉は意外なものだった。
「じゃあ、お前もそう言えるのか?」
春千夜くんは黙り込む。
その時だった。
千咒が叫んだのは。
「ハル兄ぃ…!」
「…んだよ。」
「ごめんね…。ジブンのせいで…こんなになって…。」
その目は明らかに泣いていた。
しかし、春千夜くんはそれに対し、無視をした。
「ねえ、春千夜。こっち向いて。」
蘭が立ち上がってそう言う。
「…んだよ灰谷兄。」
春千夜くんが蘭くんに近づいたとき、蘭くんが…
春千夜くんの頬を叩いた。
「…なにすんだよ、てめぇ。」
「黙れ。」
蘭くんの一言の圧がすさまじい。
「あのな、お前妹泣かせといてハイ終わりじゃ済まされねえこと自覚してんのか?」
「お前には関係ない事だr(((」
「関係なくない。俺だって竜胆って弟がいる。それに、マイキーだってエマっていう妹が ‶いる”。」
その言葉に、蘭くんの優しさが垣間見えた。
姿は見えないけど、今もなお、心の中で生きているってことか…。
「でも…灰谷!てめえは何も知らねぇだろ!!!」
「ああそうだよ、お前らになにがあってこうなってるか知らねえけど、話は聞いてやれよ!!!!」
「でも、元はと言えばあいつが…!!!!」
「ぐちぐちうるさいんだよ黙れ!!!!!」
場が一気に静まる。
蘭くんは、春千夜くんの胸ぐらをつかんで言った。
「こっち側からしたら、お前が独り歩きしてるようにしか見えねえんだよ!」
その言葉で、春千夜くんは何かに気づいたように目を見開いた。
蘭くんは、春千夜くんの胸ぐらを掴んでいた手を放した。
「…謝ってんだ、返事くらいしてやれ。」
蘭くんはそう言って、竜胆のところへと駆けて行った。
「すごい…。」
俺は、一人でそう呟いた。
その時、俺はココくんに声を掛けられた。
「何?」
「いや、ボス寝ちまったから。運ぶの手伝ってくれ。」
「なんで寝たかなぁ…。」
「分かんない。ま、疲れたんじゃ?」
「だね…。」
俺らがそう考えていると、向こうでは事が円満に進んだらしく、千咒はボロ泣きしていて、それを慰めようと春千夜くんが必死になっていた。
武臣はその二人と話していたようで、とりあえず解決できたなと思った。
…今日だけは、俺も束の間の安堵を手に入れられた。
マイキー殺害まで あと 22日