テラーノベル
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「お、お待たせしました!」
「おかえり、白川さん。大丈夫だった?」
「へ、平気です! とか言って、注文の時に凄くどもりましたけど……」
前回は全部お金出してもらう形になったので、今日は私が出します! みたいな勢いで。
目に入ったキッチンカー? で良いのかな。
そこでジェラートが売っていた為、思わず黒沢君の背中から飛び出して突撃してみたのだが。
まぁ見事に、私の身長だと周りの人に隠れてしまい。
注文するにも一苦労、更には緊張しっぱなしだった為……奢るにしても、相手に何が良いのか聞くのを忘れた。
もっと言うのなら、何やらお洒落な感じのお名前をしているアイス達に戸惑い、アワアワしながらどうにか注文して来たのだが。
何故か、店員さんから物凄く過保護な感じで商品を手渡されてしまったという。
間違い無く子供扱いされていた気がします。
「え、えっと……最初に聞けよって話にはなってしまうと思うんですけど。チョコとイチゴ、どっちが良いですか? ぁ、それともバニラとかの方がお好きでしたかね……?」
席を取っておいてくれたらしい黒沢君に、とりあえず両方を差し出してみれば。
彼はいつも通りニコッと微笑んでから。
「白川さんは、どっちが好き? 俺はどっちも好きだから、白川さんの食べたい方を教えてくれると……嬉しいなって」
そ、それは良いんでしょうか?
こちらとしては、相手を喜ばせるために買って来たので……出来れば、彼が食べたい方を選んでくれたらなって思ったりもするが。
こんな事を言い出したら、お互いにどうぞどうぞってなってしまうのは目に見えているので。
「でしたら……いちご、食べてみて良いですか? 何かどこかの有名な所の物とのコラボみたいな感じだったので。あ、でもチョコの方も凄そうなチョコレートの名前が書いてありました! 美味しそうだなって思ったヤツ二つを、選んで来たので!」
「あはは、そうなんだ。それじゃ、俺はチョコの方貰うね。ありがと」
それだけ言って、片方のアイスを受け取ってくれた。
こちらもホッと息を零してから、反対側の席へ。
やった、今度はちゃんとお支払いが出来た。
なんて今更な事を考えつつ、チラッと周囲へと視線を向けた所で……もう一つ、気が付いた。
「す、すみません……こういう時は、カップのアイスを買って来た方が……良かったんですかね。皆さん、コーンで食べてる人がほとんど居ないような……」
周りの人達は皆、ビックリするくらいのカップ率。
むしろコーンに乗っかったアイスを食べているの、本当に小さな子供くらいな気がするんですけど。
でも考えてみれば、外出先で食べている訳だし。
他の若い人達を見ていると、皆様お洒落な格好をしている人が多い。
つまり、間違っても汚したりしない様にって事なのだろう。
コーンで食べるのは不合理、という事なのでしょうか。
しまった、さっきから失敗を連続している気がしてならないんですけど。
などと、一人慌てていれば。
「そこはまぁ、どっちでも好きな方で良いんじゃない? 俺はコーンの方が好きだよ? というか、こういうのはワッフルコーンって言った方が良いのかな。パリパリして美味しいし、こっちの方がお得感がない?」
黒沢君に関しては、本当に気にしていませんって雰囲気でそんな事を言ってくれる。
これにもまた、もう一度ホッと胸を撫で下ろし。
「ありがとうございます。私、あんまりこういう所でアイス買った事無かったので……何となく、憧れがあったんですよね。子供っぽいかもしれないですけど、思わずこっちを選んじゃいました」
なんて言ってから、刺さっていた小さなスプーンでアイスを掬ってから一口パクリ。
思わず、表情が緩んだのが自分でも分かる。
美味しいのもそうだけど、ちゃんと喜んでもらえたみたいなので。
とか思いつつ、自分の分のアイスを味わっていると。
ふと、黒沢君の様子がおかしい事に気が付いた。
渡したアイスはそのままに、ポケットからスマホを出した状態で固まっている。
柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「黒沢君? どうか、しましたか? アイス溶けちゃいそうですけど……あっ。も、もしかして……やっぱり、他の物の方が……良かった、とか」
「ち、違うよ!? 全然! 俺もアイス好きだし! そうじゃなくて、変なメッセージ送って来た奴がいて、思わず固まったというか――」
「うん?」
「え、えぇぇと、ねっ!? 白川さん、チョコレートも好きだって、前言ってたよね!?」
「は、はい……好き、ですね?」
何やらギクシャクし始めた彼に対し、思わず首を傾げてしまったが。
何故か、さっきと打って変わって非常に緊張した雰囲気で……ゆっくりとスプーンでアイスを一掬いしてから。
「よ、良かったら……一口、どうぞ。ほ、ほら! 味見というか! 安心して!? 俺まだ食べてないから、スプーンは綺麗なままだし!」
こちらに、差し出して来たではないか。
最初は言っている意味が分からず、しばらく停止してしまったが。
求められている行動を理解した瞬間、ボッと顔面が熱くなった気がする。
お兄ちゃんとかは、結構普通にやって来ると言うか。
デザートを買って来てくれた時とか、「こっちも一口食べるかー?」みたいな。
だからこそ、そこまで特別感のある行動だと認識していなかったのだが。
家族以外の人と、しかも異性とって話になって来ると……何と言うか、物凄く恥ずかしい気がするんですが?
とか何とか、脳内一人会議を繰り返していると。
「や、やばっ! 溶け――」
「あ、えっ、あっ! えぇと!」
差し出された方のアイスが徐々に溶けだし、テーブルに零れそうになってしまったので。
思わず、急いでお口でお迎えしてしまった。
パクリと食いついたところで動きを止めてしまい、更に顔面温度が上昇していくのを感じでいたのだが。
「お、美味しい?」
相手もまた、さっきより赤い顔をしていたので。
そのまま一口アイスを頂いてから、スッと元の位置に戻り。
コクコクと首を上下に振った後、此方もまた……一口分、差し出してみた。
「えと……貰ってばかりでは、悪いので……その、良ければ……」
「うぐっ!? い、いいの? 本当に? 無理しなくても、大丈夫……だよ?」
「始めたのは、黒沢君です……」
「すぅぅ……はい、大変失礼致しました。ありがたく、頂戴します」
そんな訳で二人揃って一口ずつシェアしてからは、真っ赤な顔のまま無言でアイスを食べ続けるのであった。
もはやお互い様なんだけど、可能な限り気にしない様にしようとは自分にも言い聞かせているんだけど。
当然の様に、そのままスプーンを使っている訳でして。
なんか、物凄く恥ずかしいんですが。
◆
「プッ、ククク……ナイス、ナイスだ弟。良くやった」
「9Kさん? 今の間違いなく貴方が焚きつけましたよね? 彼、スマホをチラ見してから急に大胆に動きましたもんね? 何してくれてるんですか?」
少々遠方で監視していた俺等に関しては、随分と両極端な表情を浮かべていた。
此方程視力が良くないらしい白川兄。
目を細めながらめっちゃ覗き込んでるけど……顔、オイ顔。
周囲の人間が見たら思い切り警戒される程、おっかない顔してるぞ。
「そう怒るなって白川さん。お互いに悪い感じじゃないみたいだし、別に不健全な程接触を促した訳じゃないだろ? それこそ、お年頃の可愛らしい恋愛じゃないの。逆に全く異性を知らずに成人する方が不健全だ。今みたいにちゃんと“恥ずかしがっている”事こそ、精神の成長には繋がる。それは白川妹には特に言える事じゃないか?」
「ク、クソッ! 分かってる、分かってはいるんですけどね!? 確かに妹は、対人においてもっと経験が必要なのは理解してますけどね!? こう……兄としては」
「まぁまぁ。ちょいと年の離れた弟やら妹が可愛いってのは、どこでも一緒だから気持ちは分かるが。シックス自身が嫌がっていないのなら、良い経験にはなってると思うぞ? あと、ウチの弟は勢いで“性的な間違い”を犯したりはしないだろうし。変な所でヘタレだからな」
ヘラヘラと笑いつつ、スマホを覗き込んでみると。
弟から、短い返事が。
“ありがと”、とだけ。
此方が促した内容は、非常に単純。
本人には、色々察してますって雰囲気で「デート頑張って来いよー」なんて朝声を掛けたけど。
だからこそ先程のホテルに誘うなよ? ってメッセージだって俺がおちょくっている様に感じていた事だろう。
そして、今回送ったのは……。
『アドバイスその1。その辺でお茶しようって話になったら、自分は手を付けていない状態で相手に一口くれてやりな。嫌われてなくても、恥ずかしいからって断られる可能性もある。なので、初手で攻めろ。“まだ手を付けてないから”って強調しておけば、相手にとっちゃある意味試食と変わらん』
とか何とか、向こうが冷静だったら間違いなく見られている事に気が付きそうな内容だったのだが。
効果は抜群だったようで、傍から見ていると「おぉ~」と言ってしまいそうな程初々しいカップルが爆誕。
素晴らしい、素晴らしいよ君ら二人。
そしてシックス。
やっぱりお前、あんなゲームやってるから薄々感じてはいたけど……意外と、気を許した奴には反発っていうか、やり返したくなる性格してるな?
遠目から見ても真っ赤な顔しつつ、ア~ンをやり返しやがった。
いやぁ……実に面白い、良いモノ見せてもらってるわぁ……。
隣に居る白川兄に関しては、視線で人を殺せそうな勢いになっているけど。
シスコンめ……そろそろ妹を他所の男にやる準備を始めろよ、まったく。
などとやりつつ、非常に充実した休日を送っていたのだが。
ブー、ブーとスマホが煩く振動し始め。
「はい、もしもし」
『弟さん……というか、クロさん凄いじゃん! 意外とプレイボーイ!? とか思ったけど、何かスマホ覗いてから急に動いたし。もしかしてナインの指示ですか!? 何かもう見ててヒャーってなるくらい二人共可愛――』
プチッ、ツーツーツー。
「……どちら様で?」
「場の空気を読まない煩いのから、ちょっと囀られた。さってと……こっちも移動しますかね。そっちのお兄さんはどうします? この後は単独でストーキングします? バレたら多分、大好きな妹さんからはお小言言われますけど」
フッと口元を緩ませてから言い放ってみると、彼は少々悔しそうな表情を浮かべつつ。
「この後も行動を共にして……よろしいでしょうか」
「えぇ、こっちの指示に従ってくれるのなら、いくらでも」
という事で、兄貴同士一緒に弟と妹のデートを監視続行。
はっはっは、またろくでもねぇ休日もあったもんだ。
自分でもどうなのって思ってしまうけど……だって、ねぇ?
面白んだもん、あの二人。
気になっちゃうじゃないですか。
そんな訳で弟の行動パターンを予測しつつ、先回りの為に動き始めるのであったとさ。
コメント
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わあ、122話……!もう、もうもう、最高でした……!白川さんと黒沢くんの初々しさが画面からあふれ出てて、読みながら何度もにやけてしまいました😂 特に、アイスの“アーン”のくだり!お互い真っ赤になりながらも、一口ずつ差し出し合うなんて……もう心臓が持たないですよ、これは。黒沢くんが9Kさんのアドバイスで動いたっていう裏側もニクいですね。お兄様たちの遠隔ストーキング(笑)も含めて、全部ひっくるめて尊すぎました……! くろぬかさん、こんなに甘くて瑞々しいデートシーンをありがとうございます。次の話も楽しみにしていますね🤍