テラーノベル
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の匂いが残る教室に、新しいクラスメイトたちのざわめきが広がっていた。
ベラルーシは窓際の席に座り、無表情のまま外を見ていたが、心の中は少しだけざわついていた。
——新学期。
この学校に通って三年目。クラス替えなんて、もう慣れたはずだったのに。
「……あの席、空いてる?」
声をかけられたのは、始業式が終わった後の休み時間だった。
振り返ると、少しだけ無愛想な顔をした女子が立っていた。短く整えられた前髪と、知的な瞳。
名札を見て、ベラルーシの心臓がドクン、と跳ねた。
“ESTONIA”
「あ……どうぞ。」
思わず一瞬、声が上ずりそうになったが、なんとか落ち着かせて答える。
エストニアはコクリと頷いて、ベラの隣の席に腰を下ろした。
それだけだった。
ただ隣に座っただけ。それなのに。
心臓の音がうるさくて、本の文字が頭に入ってこなかった。
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