ボツワナのサバンナにすむ動物たち。争っているのは肉食動物と草食動物、同種の争いだけではありません。
闇の軍団を率いる女王、キラーナ。残酷で残忍な女王の一生を描きます。
巨大で組織的な群れを率いるブチハイエナ。そのブチハイエナの名はキラーナ。圧倒的な強さを誇り、上下関係も厳しい群れのリーダーとして君臨している。リーダーシップもずば抜けており、どんなに狡猾な手口を使っても自分の望みを叶えようとする。
そう。それが誰が考えたって無理だと思うことまでなしとげようとするのだった。
ある日、朝早く、キラーナはみなを集めた。
女王の招集命が下り、みなは駆けつけた。その目は期待でぎらぎらとしていた。
ワオッ ワオーーン
キラーナは甲高く、声を明け方の空に響かせた。誰にもわからない宣戦布告を今、告げた。
キラーナ率いる闇の軍団はキラーナのあとを追って闇夜に溶けた。
太陽が照りつける朝。キラーナたち闇の軍団は空を見上げていた。「干ばつが来るぞ」キラーナの冷酷な本能が、そう告げた。
「女王。もうすぐ干ばつが来ますぜ」まるでそういうかのように、一匹の痩せ気味のオスのハイエナがキラーナの顔を上目遣いで覗き込んだ。キラーナは上を向いたままだった。「わかってる。だから殺る。干ばつが何だという」ぎらりと牙をのぞかせ、目にも留まらぬ早さでキラーナはそのオスの首根っこに噛みついた。
だが、本気で噛む様子はなく、すぐに口を開け、離した。オスのハイエナはすごすごと逃げるように下がっていった。
ブチハイエナたちの闇影は朝日にくっきりと照らし出されていた。
マシュー・プライドという縄張りを率いる雌ライオン、セガはゆっくりと起きて伸びをした。
セガは老いた夫を失った。息子たちが後継者争いで争い、息子たちと命を落とした。だから、自分が新たなリーダーとして群れを養っていた。しかし、今、マシュー・プライドは崩壊の危機にあった。これというオスライオンが現れないのもその一つだろう。
ワフッ ワオッワオッ
犬のような声がセガの耳に届いた。セガは耳をひくっとさせると起き上がった。群れの仲間も、みな起きていた。セガは唸り声をあげた。だが犬のような声は、ずっと聞こえてくる。それどころか近づいてきていた。
スッと姿を現したのはハイエナ。そして最強の闇の軍団の女王、キラーナだった。ビクリとして思わずセガの唸り声が止む。
キラーナはその隙を見逃さなかった。見逃すわけがなかった。先陣を切ってバッと飛び出すとセガめがけて走った。
気付いた時にはセガの周りはハイエナだらけだった。キラーナ率いる闇の軍団がゼガたちを取り囲んでいた。
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