善悪は満足そうな笑みを浮かべてコユキに対して確認の問い掛けをするのであった。
「ふむ、ライコー以外はこっちサイドでござるようだし、まあ、無事解決でござるな! んでコユキ殿、こいつらの企みって一体なんでござる? オンドレとバックルを置いてこさせたのもそこら辺に関係しているのでござろ?」
コユキは答えた、表情を変えないままで……
「うん、こいつ等アタシと善悪が死ぬようにストーリーを持って行ってんのよぉ! 嫌になっちゃうでしょぉぅ? 死ぬのよアタシ達って!」
「えっ? し、死ぬの? 拙者達?」
ビックリ善悪にコユキがプンスカしながら答えるのであった。
「そう! 嫌になっちゃうわよねぇ? 生贄よ、生贄、人柱って言うのかな? んでも、それしかないみたいなのよぉ! んだから一緒に死んでくれる? タノムワネ! ぜんあくぅ!」
何を言っているのか? 一体なんだと言うのだ! びっくり仰天は私も同様なのである…………
驚きも見せずにお爺ちゃん、善悪は答えるのであった。
「コユキちゃんがそれを望むのならば、そうならば、僕ちんに嫌は無いのでござるよ! 覚悟は…… えっと、いつ位かな? ハードディスクの中、整理整頓する時間は貰えるのでござろうか? どう?」
中々の勇気だといえよう! コユキは答える。
「すぐにすぐって訳じゃあ無いみたいよ! そうよねアンタ等っ! んでも善悪…… 見られて困るものは常に気を付けて置かないとダメよ! 常在戦場なのよ? 明日も生きているつもりなのか? お目出度(めでた)い! とか言われちゃったらどうすんのよ? 全くぅ…… ねえ、アンタ等さっさと答えなさいよ! 善悪が聞いてるでしょうがぁ!」
『『は、はい…… それぐらいの時間は残されていますが……』』
「んじゃあ、問題ないわね、善悪…… アンタまで死なせちゃうとか…… 何ていうか、本当にゴメンね、そんなつもりは無かったんだけど……」
善悪は顔をテラッテラにさせながら答えた、多分今日のお昼ご飯が油物だったのであろう……
「いいや、そもそも悪魔との戦い、そこに身を投じた瞬間に覚悟していた事でござるよ、死すならば同じ時、同じ場所で! でござるから~」
軽い、しかし、この軽さこそが『聖女と愉快な仲間たち』ならではでは無いのであろうか?
ジーン、見ていただけの私、観察者でさえ、軽い感動を覚えていたというのに、空気を読めないバカヤロウが要らぬ口出しを無理やり押し出してきたのであった。
その時、居間の入り口に立っていたイラが不安そうな顔で口を開いたのであった。
「あー、あの…… んで、家の息子たちって…… 結局、どうなるんですかね? ってかどうしてくれるんですかねぇ!」
ルクスリアが叫んだ。
「もう、もう終わりなんですよね? ひ、酷いですわ! コユキ様ったらぁ! ね? ね? あああぁぁぁ、二度とあの子達には会えないんだわぁ! ストーリー展開的にも閑話(かんわ)扱いだし~! おおおおあああああ! ワァーン! 酷い! 酷いわぁ!」
両親だもんなぁ~、漸く(ようやく)見つけた息子たちを置き忘れてきた事よりも、アーティファクトに宿った幽霊たちの狙いと今後の展開が会話の中心じゃ、そりゃ泣きたくなる気持ちも理解できるって物だ、やれやれ、儘(まま)ならない物だなぁ~。
この言葉を受けてまたぞろ責任を感じてしまったのか、オタオタし始めたコユキの代わりに善悪が堂々と仕切ったのである。
「イラとルクスリア、君たちの気持ちは痛い程分かる、とは言わないけれど結構分かるのでござる! んでも、コユキ殿を責める事はお門違いでござろ? そもそも偶然会っただけの、貴様等の倅(せがれ)、いや馬鹿息子、んいや、犯罪者のゴミ共を一瞬たりとも保護して面倒見てあげたコユキ殿が立派、いんや素晴らし過ぎる人格者ってお話でござろ? ん、んん? お前の息子? うん、寸借詐欺師だから刑務所に居るんじゃないの? 終わり? 終わってんじゃん! 閑話だよ閑話! 図々しいんだよっ! 脇役の癖に、疎(うと)ましいでござるよっ! ねっ! コユキちゃん?」
「え、ううん…… 善悪の気持ちは嬉しいけど…… やっぱりアタシが失敗しちゃったんだと思うよ…… ゴメンねルクスリアちゃん、イラ君…… 明日迎えに行ってみるからさ、待っていてくれると思うんだ! あの子達って、変に真っ直ぐな所ある感じだし、ね?」
「「こ、コユキ様……」」
両親、ルクスリアとイラもコユキの心からの言葉に感動しているようであった。
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