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【韓国・ソウル市・ワールドコリアン放送局】



ソウルのテレビスタジオ、その一角にある楽屋のドアには「BlackRock様」と記されたプレートが光輝いていた



大きな楽屋の中央にはまるで豪華なパーティーの準備でもしているかのように、色とりどりのスナックやテイクアウト食品が山と積まれている、さすがは世界を席巻するロックバンド「ブラックロック」だ、その名にふさわしくまるで小さなコンビニのように楽屋の物資は豊富だ



カラフルなパッケージのスナック菓子、ペットボトル飲料、そして韓国の人気スイーツまでが所狭しと並んでいる



しかし豪華な楽屋の雰囲気とは裏腹に、部屋の中は重苦しい空気に支配されていた



壁に沿ってコの字型に配置された長テーブルには海斗と誠が座っている



海斗は苛立たしげに指で膝を叩き、誠は無表情でスマートフォンをいじっている、その奥の応接間風のソファーに腰掛けた拓哉は、ベースの弦を小さく爪弾きながらどこか遠い目をしている



かつて、力がいた頃の楽屋は、まるで放課後の男子校の様に騒がしく、笑い声が絶えなかった




あの頃の軽快な空気は今や遠い記憶だ、力の不在はバンドに深い亀裂を生み、メンバー達の心に暗い影を落としていた



そして暗い影の原因、部屋の隅に置かれたひと際大きなリクライニングチェアーにふんぞり返って力の「影武者」いた



その男は今やメイクで力の顔立ちを完璧に模倣し、声も、仕草も、まるで本物の力そのものに見えた



しかし一度カメラが回っていない時の男の本性はあまりにも傲慢で、力の温かみや仲間への気遣いとは程遠い




今、影武者はだらけた姿勢で座り、口元に薄笑いを浮かべながらテーブルに座る海斗に視線を投げた




「あ~、だり~・・・」




影武者が大げさに欠伸をしながら言った



「おい海斗! お前、ちょっくらコンビニまで行って『コグマパン』買ってこい!」




その言葉に海斗の動きがピタリと止まり、耳が怒りでみるみる赤くなった、海斗は勢い良く立ち上がり、握り潰したペットボトルを床に叩きつけた




「なんで俺がお前のパシリをやらなきゃいけねーんだよ! あ? ここにあるものを食ったらいいじゃねーか!」



海斗の声は楽屋の重い空気を切り裂くように鋭く響いた、今の彼の目は怒りに燃え、拳を握りしめている




力ならこんなふざけた命令は絶対に出さないはずだ、出会ってからずっと我慢していた影武者の傲慢な態度も、メンバーの神経を逆撫でし、限界に来ていた




影武者はフンッと鼻で笑って、椅子に深く体を沈めたまま挑発的な視線を海斗に投げつける



「お前態度デカいんだよ!わかってんのか?俺がこのバンドの顔なんだから、もっと敬えよ」




影武者の挑発に海斗の顔がさらに赤く染まる



「なんだと!てめぇ!」


「海斗!やめなよ!」



海斗が一歩踏み出して影武者に詰め寄ろうとした時、誠が海斗の腕を掴んで止めた




影武者は海斗と誠を交互に見ながらペッと床に唾を吐いた



「俺が一言プロデューサーに言ったら、お前らなんかたちまち変えられるんだぞ、お前ら自分の立場を考えて行動しろよ!その空っぽの頭をもっと使え!」



影武者は口元に微かな笑みを浮かべて言った、力そっくりな機械的な声はどこか不気味な響きを帯びていた



「ふざけんなっ!てめえ!」



「海斗!やめてったら!」




海斗は拳を振り上げ、影武者の胸ぐらを掴もうとしたが誠に止められた、誠は海斗を押しのけて影武者に不満そうに言った



「・・・僕が行ってきます・・・コグマパンでいいんですね・・・」


「あとタバコも買ってこい!」





誠は深い嫌悪感を隠さず言った



「力は・・・タバコは絶対吸いませんでした、歌手は肺活量が命です、タバコを吸うと肺活量が落ちます」




影武者はバカにした目でメンバー達を見やった



「肺活量が落ちようが!酒に酔ってようが、俺は完璧に歌えるんだよ!この超小型マイクロマイクがあるからな!いいから買ってこい!このボケッ」




ガハハハッと笑い!影武者は満足げに笑い、スマートフォンを取り出して自撮りし始めた、その態度は、まるで自分以外の誰も眼中になかった




ガタッ「くそっ!コイツ!一発殴らせろ!」


「いいから!海斗!もうすぐ本番が始まる!僕・・・行ってくるね」




誠が必死で海斗をなだめて、足早にコンビニに向かった、海斗は再びドカッと座り、テーブルに肘をついて苛立たしげに髪をかきむしった




その一部始終を楽屋の奥のソファーセットに座っていた拓哉がじっと無言で見ていた




あの影武者になってから、分かりやすく感情丸出しの海斗と、終始顔がこわばっているジフンはなんとなく拓哉と同じ、力の事を何も知らないのだろうと思わせた




しかし誠のあの態度・・・



影武者に対する誠の態度は心にひっかかるものがある・・・あれから妙に落ち込み、影武者の傲慢で無礼な態度にひたすら耐えている誠・・・




拓哉はギターの弦をそっと撫でて目を閉じた




拓哉の心に疑問が渦巻いている、誠だけがこの件に関して何か知っているのではないだろうか・・・




その疑念が、拓哉の中で疑いが静かに広がり始めていた、今はさぐりを入れて観察するしかない、誰も信用できない・・・でも必ず尻尾を掴んで見せる




手の中のスマートフォンの画面は真由美の着信画面だった、彼女に連絡したくても確信めいた事が今は何一つ言えない・・・




拓哉自身心の整理をするのも、もう少し時間が必要だ




拓哉はそっと心の中で真由美を思い浮かべて言った






―必ず連絡するからもう少し待ってくれ―

・:.。.・:.。.





・:.。.・:.。.





誠はコンビニエンスストアのパンコーナーの前で立ち尽くし、手にあるタバコをじっと見つめていた



ふわふわのプードル頭に女の子かと思わせる中性的な可愛らしい顔・・・ブラックロックの愛されキャラ・・・ドラムの誠




今、彼のその瞳には、誰にも打ち明けられない秘密を抱えた苦しみが溢れていた




後悔か、罪悪感か、それとも別の何かか・・・誠は誰もが気づかないほどの小さな声でボソッと呟いた




「力・・・ごめん・・・」




・:.。.・:.。.




力の影武者が行う毎日のライブ配信は、世界的ロックバンド「ブラックロック」のファンに衝撃と混乱を与え、SNSやファンコミュニティで大きな波紋を呼んでいた




その内容は、本物の力の親しみやすいキャラクターやカリスマ性とはかけ離れ、奇抜で時に不快感を与えるものだった



影武者の配信は、ブラックロックの音楽や情熱を伝える場というより、今や商業的な宣伝の場と化していた



影武者は新発売のブラックロック公式グッズのTシャツ、キャップ、果ては数十万円もする高額な限定ネックレスなどを執拗に推奨し



『買わないヤツはファン失格だぞ!』



と冗談とも本気ともつかない口調で煽った




さらにジョンハンが関わる新プロジェクトやスポンサー企業の商品(エナジードリンクやスニーカー)をしつこく宣伝し、この行為にファンは




―力の配信が広告だらけ―


―金儲けに走ってる―


―がめつい―


―力!どうしちゃったの?―


―ファン止めようかな―





と失望した声がコメント欄に埋め尽くされた




連日の影武者の傲慢なライブ配信では、影武者とファンの間で次第に確執が生まれ、物議を醸し出している事が話題になっていた



さらにその現象に芸能ニュースサイトも注目し、今では特集を組まれる様になっていた





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【特集】

『激変衝撃』ブラックロック(笹山力)が別人?咽頭癌、闘病中で雰囲気激変!ファン困惑の声続出・・・

※アジア最大のロックスター【ブラック・ロック】の力が激変し過ぎてヤバすぎると「力・影武者説」が、ファンの間で爆発的な議論を巻き起こしている、力の最近の行動やライブ配信での奇妙な振る舞いが、ファンの疑惑を呼び、ソーシャルメディア、特にX上で「#WhereIsRiki」や「#SaveRiki」といったハッシュタグがトレンド入り、この特集では、影武者説の背景、ファンの反応、そしてブラックロックの未来について掘り下げる――という記事に多くのファンの声が寄せられた






―本当に力?―



―あたし達の力?―



―どんな力だって大好き―



―みんな目を覚ませ!どう見ても別人だろ!―



―影武者―



―え?てことは力死んだの?―



―デビューした時から応援してるけど力の所属する韓国の音楽会社はヤバイ噂がある会社、力、消された説―



―皆さん病気の人をつかまえて外見を色々言うのやめませんか?力が配信で痩せたと言ってました!私は信じます―



―これだから日本人はATM扱いされる―



―ライブ配信観てる声は同じでしたよ、力ですよ―



―病気の人に失礼な事を言うな、ここのコメント民度おかしい―



―笹山力・No2―



―整形失敗―



―偽物のコンサートに金を払うアホ日本人―




―本物だよ、変な噂流すな―




―どっちでもいいよ―







・:.。.・:.。.


















【☆五回テノコン最優秀賞】韓国スターの秘密の隠し子〜結婚式で逃げたアイツが父親なんて絶対認めません〜

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