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翌朝目を覚ましたサンタクロースが窓を覗くと、外はすっかり吹雪がおさまっていました。
同じく目覚めたトナカイ達と朝食をとったサンタは、いつものように外に出てプレゼントツリーの様子を見に行きます。
まだ新しい雪をサンタが早足で進むと、その異変がすぐに目の前に現れました。
「な、なんということじゃ……」
すでに随分と大きくなっていたはずのプレゼントの実は、ほとんどが地面に落ちて昨晩の雪をかぶり、ツリーについたままのプレゼントも本来の輝きを失っていました。
「これはまずいぞ」
サンタは急いで道具小屋から長いはしごを持ってきて、それをさらにずっと長く伸ばし、プレゼントツリーに立てかけました。
そしてツリーのてっぺんまで登ったサンタは、頂上に飾られたお星様に手を伸ばしました。
ですが、どういうことでしょう。サンタクロースがそれに手を触れる前に、大きな星が粉々になって雪の上に散ってしまいました。
「あぁ、あぁ……なんてことなんだ」
星を拾い集めようとはしごを降りたサンタは雪をかき集めますが、もう星のかけら一つもそこにはありません。
呆然と雪の上に座り込んだサンタは、ツリーを見上げます。
たった今までそこにあったはずの星がなくなってしまったことを、まだ信じることすらできません。
「クリスマスまであとわずかだというのに、一体どうしたらいいんじゃ……」
プレゼントを楽しみに待つ子ども達の顔がサンタクロースの頭に浮かびます。そこに悲しい顔は一つもありません。
サンタクロースは立ち上がりました。
子ども達の笑顔を守るために、サンタクロースは何がなんでもクリスマスの日にプレゼントを届けなくてはいけないのです。
「新しい星を探さなくては……」
サンタクロースは庭のソリをトナカイ達につなぎ、着の身着のままで空に飛び立ちました。