テラーノベル
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ー注意事項ー
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・軍パロ、不仲表現、怪我表現等が含まれます。
・未完結です。
◇◇◇
ciは昔から、妙に人に好かれやすい。
外交官という立場もあって、物腰は柔らかく、誰にでも平等に接する。
けれど、それがかえって仲間たちに庇護欲を与え、気づけば彼は皆から激愛される存在となっていた。
甘やかされ、守られる。
危険な任務には勝手に同行を外され、食堂に行けば好きな料理が勝手に並び、寒そうにしていれば勝手に上着をかけられる。
最初は温かさを感じていた。
だが今は、その温かさに窒息していた。
◇◇◇
朝、ciがまだベッドの上でぼんやりしていると、カーテンを開ける音がした。
「おいci、もう起きろ。日が昇っとる」
「えっ、tn??俺、自分で起きられるから…」
「お前は寝起きが弱いやろ。遅刻でもしたら俺が怒られる」
「…子どもちゃうんやから」
tnは呆れ顔をしながらも、カーディガンを肩に掛け直してくれる。
次にやって来るのはhtだった。
「おはよう。ci、猫舌だよね。コーヒー冷ましておいたぞ」
「…ありがと」
そんな調子で、朝からciの周りは大騒ぎだ。
◇◇◇
訓練場、ciが的を見据え、弓を引こうとすると。
「危ない!手袋してないやろ」
「そんな力の入れ方じゃ肩を痛める」
「矢は俺がセットしてやるわ!」
弓に精通しているrbが言うのを聞いた皆が、慌てて駆け寄ってくる。
「ちょ、ちょっと待ってや!俺だってできる!」
皆が本気で心配して止めるものだから、ciは一射も撃てないまま時間が過ぎる。
後ろでshpが猫みたいに伸びをしながら、呆れ顔で笑う。
「ciってさ、ほんと溺愛されすぎよな。まー、俺もするけど。」
それから、shpはciの肩に腕を回した。
◇◇◇
夕方、風呂に入ろうとした瞬間、osが駆けつけてきた。
「ci、お湯の温度はちゃんと確かめた?」
「え?別に…」
「ダメだよー。肌弱いんやから。俺が見てあげるめう」
「いやいや!!さすがにそれは恥ずかしいって!」
ciが赤面する間にも、osはタオルを用意して湯気の立つ浴場を整えてしまう。
◇◇◇
夜、やっと一人で寝られるかと思えば、shoが布団の端を掴んだ。
「暗いの苦手やろ?今日は俺が付き添ってやるよ」
「…別に、もう平気なのに」
「はいはい、ciは素直じゃねーな!!怖い夢見たら俺を蹴って起こせ」
横になるshoの声は明るくて、安心感を与えてくれるけれど。
ciは目を伏せて小さく思う。
俺は、こんなに守られないとダメな人間なのだろうか。
心の中の小さな不満。
優しさは確かに嬉しい。
でも、それ以上に胸の奥でじわじわと広がっていくのは、子ども扱いされる悔しさだった。
何かを手にしようとすれば奪われ、
自分で立とうとすれば支えられる。
「……俺の力でできることなんて、ないのかな」
呟いても、返事は夜風にさらわれて消えていった。
◇◇◇
新兵のrpが配属されたのは、そんな時だった。
彼はciより少し年下で、ひょろっとした体格。明るい笑みを浮かべるものの、まだ軍に馴染めていない雰囲気が漂っていた。
「はじめまして!rpです。よろしくお願いします!」
その真っ直ぐな挨拶に、ciは久しぶりに胸が軽くなるのを覚えた。
rpはciを特別扱いせず、ただ普通に仲間として接してきたからだ。
ある夜、ciはついに耐えきれなくなり、訓練後に人気のない廊下でrpに愚痴をこぼした。
「…みんな、優しすぎるんよ」
「え?」
「優しいのは嬉しい。でも、全部先回りして何もさせてくれない。俺、子供ちゃうのにね。」
吐き出した途端、胸の奥の苦しみが震えとなって滲み出す。
「俺、ただの人間なのに。軍人なのに。自分のことくらい、自分でやりたいのに」
rpは驚いた顔をしたが、すぐに柔らかく笑った。
「なるほど。ciさん、ずっと我慢してたんですね」
「…rp」
「俺は、ciさんがそうやって愚痴言ってくれて嬉しいです。もっと言っていいですよ」
その普通の言葉に、涙が出そうになった。
◇◇◇
しかし、その様子を遠くで見ていた者たちがいた。
tnをはじめ、shoやut、snたち。
彼らは、ciがrpに心を許している姿に嫉妬と焦燥を覚えた。
「なんであいつにだけ…」
「ciが、俺たちに言えない愚痴を…」
「rpのせいでciが俺らから離れていく…?」
苛立ちが募り、ciの周囲には微妙な空気が流れ始める。
だが、事態はさらに奇妙に進んでいった。
rp自身も、ciのことを守ってやりたいと思い始めてしまったのだ。
ある日、物資運搬をしていたciが重い箱を抱えようとすると、rpが即座に手を伸ばした。
「危ないです!俺が持ちます!」
「え、rp…?でも」
「だめです。ciさんに怪我させられへん」
それは、これまでの皆と同じ過保護だった。
気づけばrpまでが、ciを甘やかす一人になっていた。
「…俺、やっぱり守られるだけの存在なんやな」
夜、ciは自室でぽつりと呟く。
自分では気づかれないようにしているが、その瞳には孤独が滲んでいた。
彼を愛するがあまり、皆が束縛し、過保護にし、独占しようとする。
そして今や、新人のrpまでもが同じように。
それでも、彼らの愛情が嘘ではないと知っているから、拒絶できない。
◇◇◇
やがて戦闘の気配が近づく。
前線に出る準備を進める中、ciはひとり立ち尽くしていた。
「俺は…みんなの何なんやろう」
その呟きは誰にも届かない。
彼の知らぬところでは、tnもutもshoもsnも、そしてrpまでもが心の中で同じ思いを抱えていた。
「ciを失いたくない」
戦況は日に日に逼迫していった。
前線に送られる兵士たちの顔は硬く、物資も不足し、緊張は基地全体に広がる。
ciは外交官として直接戦場に立つことは少ない。
けれど、彼はどうしても役に立ちたくて、補給や負傷兵の手当を手伝っていた。
それが、また皆の神経を逆撫でする。
「ci、お前は危ないからやめろ」
tnが低い声で言う。
「でも、俺にだってできること、」
「できなくてええ!」
その剣幕に、ciは胸を詰まらせて黙り込む。
その様子を見ていたrpが、そっと声をかけた。
「ciさんの気持ち、俺は分かります。やりたいんですよね」
「…うん」
「じゃあ、俺がそばにいます。一緒にやりましょう」
その言葉に救われるように笑ったciの横顔は、確かにrpにだけ向けられていた。
それを見ていたtnの胸が焼けるように痛んだ。
「…rp。あいつから離れろ」
「え?」
「ciは俺たちが守る。お前なんかに…」
「お前なんかって」
rpは言い返しかけたが、tnの瞳の奥の嫉妬に気づき、唇を噛んで黙った。
◇◇◇
そして、その夜。
敵軍の急襲が基地を襲った。
砲声が、空気を裂いた。
甘ったるい食堂の匂いも、仲間に囲まれて笑い合う時間も、音ごと焼き払われていくようだった。
ciは耳を塞ぎながら、信じられない思いで立ち尽くした。
ついさっきまで、shpがスプーンを差し出し、tnが口開けろと笑っていた。
utやsnも代わる代わる果物を剥き、ciはいつも通り皆に弄られ、守られ、甘やかされていた。
そこにrpの姿は見られなかったが。
ともかく、それがどうして、一瞬でこんな惨状になるのか。
「ci!下がれ!!!」
叫んだのはshpだった。
鋭い声が耳を打ち、次の瞬間には彼の影が覆いかぶさってきた。
爆風が背後を抉り、砂塵が舞い上がる。
ciは咄嗟にshpの服を掴んだ。
「s、shp!おれ、!!」
「大丈夫や、俺がいる」
だが、敵襲は容赦なく押し寄せる。
訓練場を抜け、基地の外壁に至るまで、赤黒い煙が広がっていくのが見えた。
「本格的な侵攻や!!!」
tnが呻く。
utが舌打ちしながら銃を構え、snは即座に周囲の避難を指揮した。
混乱の中でも、皆の視線は一瞬ごとにciへと戻ってくる。
ciを守れ。
その無言の共通認識が、呼吸のように全員の動きを支配していた。
狙われたのは、やはりciだった。
瓦礫の影から伸びた銃口が、真っ直ぐ彼に向けられる。
「…え?」
瞬間、時間が凍った。
視線が銃口に縫いつけられ、声すら出ない。
引き金の音。炸裂音。
弾丸は、ほんの数センチで軌道を逸れた。
shpが身を投げ出し、肩を掠めながらciを押し倒したのだ。
「shpッ、!!!!」
血の匂いが鼻を突く。
彼の肩口から流れる赤が、ciの手を汚した。
「動くな!!!、」
shpの怒鳴り声に、ciは息を呑む。
震える体を抑え込まれながら、ただ彼の背中にしがみついた。
敵は、ciを守られるだけの存在だと見抜いていた。
彼は戦えない。
その姿を狙い撃ちするように、次々と銃火が集中する。
tnが盾のように立ち塞がり、utが鋭い射撃で応戦し、snが短い指示を飛ばす。
「ciを死守しろ!!!!」
けれどciは、守られるその度に心が軋んでいった。
俺だけが足を引っ張ってる。、
爆風が再び襲い、shpの身体ごと押し飛ばされた。
瓦礫の中、耳鳴りの向こうで仲間たちの声が聞こえる。
「ci!返事しろ!!!」
「やめろ!これ以上狙わせるか!!」
霞む視界の中、ciはようやく理解した。
自分は、皆にとって甘やかす対象でしかなかった。
けれど敵にとっては最優先で狙う弱点だった。
俺がここにいるせいでみんなが。
体は震え、動けない。
でも、心の奥で決意が芽生え始める。
もう守られるだけじゃ、だめだと。
次の瞬間、敵兵が瓦礫を踏み越え、ciの目の前に迫った。
銃口がまた、彼を狙う。
凍り付いた世界の中で、時間が引き延ばされる。
ここで終わるのか。
その刹那。
「ciさん、下がってッ!!!!!!」
鋭い声と共に、瓦礫の陰から影が飛び出した。
金属を弾く乾いた音が響き、銃弾が逸れる。
敵兵が驚きの声を上げるより早く、その影が刃を振るい、銃を持った腕を叩き落とした。
「…rp?」
息を詰めたciの視界に、振り返った青年の顔が映る。
額に流れる汗、土埃に汚れた軍服、それでも迷いのない眼差し。
「立てますか!?こんなとこで終わらせません!!」
伸ばされた手。
反射的に掴んだ瞬間、ぐいと力強く引き上げられた。
その腕の温かさに、ciは現実に引き戻される。
だが、安堵する暇はなかった。
轟音が響き、頭上の建物が大きく軋んだ。
柱が折れ、壁が崩れ、粉塵が降りかかる。
「くそ…俺じゃ持たない!!!!!」
rpはciを抱き寄せ、半ば引きずるように走り出した。
瓦礫が次々と崩れ落ち、道を塞ぐ。
「無理や、rpッ!!外までなんて…」
「黙って掴まって!!!!!」
腕に力が込められ、胸に押し付けられるように抱え込まれた。
rpの心臓の音が、鼓動となって耳を震わせる。
甘やかす優しさでも、溺れるような愛情でもなく。
ここにあるのはただ生かすための必死さだけ。
崩落の中を駆け抜ける。
粉塵で視界は真白に霞み、肺が焼けるように痛む。
だがrpは止まらない。
「まだ、もう少しで出口が見えるはず…!!!」
その言葉を信じ、ciは目を閉じて彼の胸に縋った。
その時、背後で大きな崩壊音が轟いた。
瓦礫が雪崩れ込み、飲み込まれそうになる。
「くッッ!!!!」
rpは最後の力を振り絞り、ciを抱えたまま横へと飛んだ。
瓦礫が背後を埋め尽くし、逃げ道は完全に断たれる。
そこに、かすかな光が見えた。
崩れた壁の隙間、外へと続くわずかな裂け目。
rpは唇を噛み、ciを抱え直した。
「掴まって、絶対に離さないでください!!」
そして、瓦礫を蹴り上げ一気にその隙間へと飛び込む。
鋭い石片が服を裂き、背に擦り傷を刻む。
それでも、腕の中のciだけは決して傷つけさせなかった。
光。
次の瞬間、二人は瓦礫の外に転がり出た。
土の上に倒れ込み、肺いっぱいに新鮮な空気を吸い込む。
「…はぁッ、はぁッ、、!」
ciは喉を押さえ、必死に呼吸を繰り返した。
その横で、rpも肩で息をしながら笑った。
「生きてる…?ッはぁ”〜ッ!!よかったぁ…」
ciは答えられなかった。
ただ、震える手をrpの服に縋り付かせる。
守られるのが当たり前だった自分を、
rpは同じ戦場に立つ仲間として掴み上げた。
その違いが、心臓を熱く締め付けた。
甘やかしてる同士が喧嘩して、甘やかされてる人物が🥺になるっていうやつね
ほんとはもっと明るい感じにしたかったんだけど、気づいたらシリアスになっちゃった
コメント
5件
リクエストしたいのあってもすぐ忘れるンゴねぇ…でもサイコーでした!!!溺愛とかてぇてぇかよ!!他国に逃げ込んでもそこでも溺愛されるの想像して口角どっか行ったわ、まぁまるちゃんの小説読むといつもどっか行くけど明日月曜日だぁーー絶望ー!!!!
まって私のリクエストですよね? あの語彙力がなさすぎた文でこんな臨場感がでるのか…?? えぐすぎませんか????!!!!!! 最高でした👼