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付き合い始めた頃は一緒にいるだけで楽しかった
しかし最近は俊哉の機嫌が悪い日の方が、良い日よりはるかに多く、休みの日は午前中から彼はビールを煽るようになっていた
どうすればこの状態を改善できるのか、まったくわからない
でもたぶんこれは私のせいだろう、他の夫婦の結婚生活はこんなものではないはずだ
普通の妻ならば夫が次に何を欲求してくるかと常に、ビクビクして家で用心深く行動することもない
私の実家だって家庭は主に母が仕切っていて、普段は母が自分の好きなように家庭を切り盛りしていた
父はその事にいちいち口を出すことはなかった
彼は私との結婚生活に自分が抱いていた何かが、欠けているのが気に入らないようだ
ある日彼は私に言った
「俺たちに子供ができたら親父さんに孫を見せに行こう、さすがに親父さんもせっかくできた孫にいつまでも、チンケなアパート住まいをさせているなんて世間体が悪いからな、そうなったらあのケチな親父さんも、何かしらの金をくれるはずだろ?」
「私・・・実家にはあまり頼りたくはないわ、それに・・・まだ子供は早い気がするの」
その瞬間俊哉が缶ビールを冷蔵庫に投げつける、その音が「バシッ」と銃声のように聞こえる
あまりの驚きに血の気が引く
「自分以外の人の気持ちを少しは考えたことがあるのかよっ!」
「俊哉・・・・ 」
心臓がバクバクして冷汗が出る、こんな風に面と向かって男の人に怒鳴られるのは、死ぬほど恐ろしかった
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