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※見方の説明
『』→E.M
「」→O.T
ーーーーー →side変更
~~~~~ →月日飛ばし
E.M side
『ねぇ、これ見て笑』
「きも」
『面白いじゃん笑』
「お前、ガキすぎ」
『そういう智はツンが強すぎる』
「…またそっち系の話に持ってく、」
『そんなに言ってないよ?』
「言ってるだろ。最低でも30回以上は…」
『そんなに?ごめん笑、無意識やけん』
「無意識でこんなに言うのかよ…笑」
いつもの会話。いつもの雰囲気。いつもの笑顔。
当たり前になりつつある日常の全部が愛おしい。
智と2人で話すと気持ちがふわふわする。 これが”幸せ”ってやつなんだろうな。
これからもずっと一緒にいたい。
―――――――――――――――――――――
O.Tside
馬鹿みたいな会話を繰り返して、もう何回、何百回になるんだろ。
それでも毎日飽きることなんてなく、楽しいと思えるのは、やっぱり元稀のことが好きだから。
…なんて、伝えることは苦手だし無理だけど。
退団してもこの関係は終わらないよね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「かっえりたーい、かっえりたーい……」
俺も元稀もウルフドッグス名古屋を退団してしばらく経った。
Vリーグも終わり、今は4月でオフシーズンに入ったばかりのところ。
退団して会える機会こそ減ったものの、俺たちの関係は変わることなんてなかった。
俺はジェイテクトの練習帰りに歩きながら某不動産会社のCMフレーズを歌ってる。
まだ少し残る肌寒さも、太陽の温もりに和んで心地よい季節。
「かっえりたーい、あったかい……」(フワッ…
続きを歌おうとした時、春の暖かい風がふわっと横を通り過ぎて行った。
「あったかーい……春が…」
「…春が、好きだな」
『俺も好きだよ』
ふと呟いた言葉に共感してくる声が背後から聞こえた。
その声の主なんて振り向かなくてもわかる、大好きな声。
「元稀?!」
『ふふ、久しぶり』
「なんで?今日来る約束してた?」
『してないよ笑』
『智に会いたくなったけん新幹線乗ってきた』
そう言ってニコニコ笑う元稀は、愛おしそうに俺を見つめてきて。
その優しい目が好きなんだよな…と実感する。
『…かわいい』
「なんだよ急に」
『智が俺のこと好きなんだろうなって顔してるから可愛い』
「は?何言ってんの」
『頬赤いし、上目遣いだし、幸せそうな笑顔になってるよ』
「……嘘つくな」
『本当だって笑』
『鏡見せてもいいよ?』
「あー!うるせ!」
『誤魔化すってことは自覚あるんだ笑』
「…ニヤニヤしてんじゃねぇよ」
「キモい」
『またツンツンしてるー』
「もういい。元稀はおいて帰る」
『えぇ、智待って!』
俺が歩き出すと元稀も小走りで隣に並んでくる。そしたら俺の手を触ってきて。
こういう時にサラッと手を繋ごうとしてくるのが元稀らしい。
『やっぱり智の手冷たい』
「それを口実にして手繋ぎたいんだろ、」
『手繋ぐの嫌?』
「……今日だけな」
『ふふ、ありがとう』
俺が恥ずかしがってるだけって知ってるくせに。
それでも毎回聞いてくるあたり、みんなの理想出来杉な彼氏…なのか?
そんな人が彼氏って、なんか鼻が高いな笑。
久しぶりに会えてるんだしたまには元稀のしたいことを俺もしてあげよう。
あったかい元稀のおかげで、俺の手も少しづつ冷たさが溶かされていった。